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Compassion(コンパッション)

書籍「Compassion(コンパッション)」

英治出版より4月に発売予定の「Compassion(コンパッション)〜状況にのみこまれずに、本当に必要な変容を導く、「共にいる」力 〜」をご献本いただいたので出版前に読むことができました。

著者はTEDにも出ていたジョアン・ハリファックス老師。ワークショップで来日された時に2度お会いしたことがありますが、その柔らかく優しい雰囲気は場の空気を変えるようなオーラをまとっている方でした。動画ではそこまでは伝わってこないのですが、実際に会うと感じることができます。

書籍に書かれている主な基本概念として、「エッジ・ステート」と「コンパッション」があります。
エッジ・ステートとは、満ち足りた人生を歩み、他者に役立つための基盤である、内面や対人関係における以下の5つの資質のこと。
健全に行使すれば、崖(エッジ)の上に立つように、豊かな可能性が見渡せる、と言われています。

利他性:本能的に無私の状態で他者のために役立とうとすること。
共感:他者の感情を感じ取る力。
誠実:道徳的指針を持ち、それに一致した言動をとること。
敬意:命あるものやものごとを尊重すること。
関与:しっかりと取り組むが、必要に応じて手放すこと。

コンパッションとは、自分や相手を深く理解し、純粋に役に立ちたいという、人が生まれつき持つ「共にいる」力。
エッジ・ステートを健全に発揮させ、また負の側面に陥っても、健全な状態に戻れるよう導いてくれます。

ですが、エッジ・ステートには負の側面もあって、5つの資質は、一歩間違えると害となってしまいます(崖から足を踏み外すように)。

病的な利他性:承認欲求にとらわれたり、相手を依存させてしまったりする状態。
共感疲労:相手の感情と一体化しすぎて自分も傷つく状態。
道徳的な苦しみ:正義感に反する行為に関わったり、目にしたときに生じる苦しみ。
軽蔑:自身の価値観と異なる相手を否定し、おとしめること。
燃え尽き:過剰な負荷や無力感にともなう、疲弊と意欲喪失。

コンパッションが生まれるための4つの条件

コンパッションはどのような時に生まれるのか。4つの条件があると書かれています。

他者の経験に意識を向け、他者を案じ気遣い、相手に役立つのは何か感じ取り、他者の心身の健康を高めるための行動をする(行動できないとしても、その人のためにできるかぎりを願い、結果に執着しないこと)、の4つです。

ワークショップ「AWARE」

コンパッションを理解するには、定義を覚えるような単純化した方法では難しいかもしれません。この書籍はその理解を深める助けにもなると思いました。
そして、興味のある方は年に1度開催されているワークショップ「AWARE」に参加されるとよいかもしれません。「AWARE」とは、マインドフルネスとコンパッションの変革リーダーシッププログラムです。私は第1回と第2回に参加しましたが、抽象的な概念も多いので、複数回参加しても得るものがあるような内容だと思います。

ですが、今年は新型コロナウイルスの影響でワークショップは中止となってしまいました。その代わりに、Zoom座談会が開催されます。初めて興味を持った方の入り口としては、数日間のワークショップよりも参加しやすいものになっているのではないでしょうか。


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