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朝食文集

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特に目的のない文章。事実ではないスケッチ。朝食を食べた後で書くことが多いので『朝食文集』です。
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2022年3月の記事一覧

行く春や鳥啼き魚の目は涙

 ある種の魚は、他の動物に寄生します。  深海性のアナゴやアマゾンの肉食性ナマズのカンジ…

kooop
2年前

さまよう詩集

 私の部屋を詩集がさまよっていた。  私は家を割と散らかすたちだ。そして物も多いので床に…

kooop
2年前

鳥の餌台

 ふと思い付き、ベランダに鳥の餌台を置いてみることにした。  洗濯機を買い替えて、乾燥機…

kooop
2年前

 小さな頃から私には痣がありました、左の頬から顎にかけて、青黒い色のカブトムシを潰したよ…

kooop
2年前
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縮む病気

 人の身体が縮むという病気があった。  表面の皮膚の下で少しずつ筋肉や骨が縮んでいく。内…

kooop
2年前

何故花を買うのか

 母は何でもない日に花を買ってくる人だった。家族の誕生日や、お祝い事のためでもなく、ただ…

kooop
2年前

町のお役目の仮面

 この町のお役目に着くものは、みな仮面を被っている。  彼らは相貌を隠し、個人ではなくその役目のペルソナとなって、それぞれの責務を果たす。仮面は代々そのお役目を受け持つ家系に受け継がれるものである。お役目の権威は仮面にある。町の人間は仮面に従うのだ。町の人間は仮面にこそ力があり、むしろその力をお役目の人間が代行しているに過ぎないと思っている。  誰がお役目なのかはその本人以外は知らないことである。仮面が顔を隠すことはもちろんだが、人々は仮面の方をはっきり見ないからだ。仮面の意

他人の足

 娘は私がかなり高齢になってから出来た子供で、まだ学生である。  対して私はもう老人と言…

kooop
2年前

太陽の冬

 その家の当主には代々「太陽の冬」と呼ばれている宝石が伝えられている。  小指の爪にも満…

kooop
2年前

懲罰者の仮面

 懲罰者の正体は伏せられている。  町には古くから続く家系がいくつかあって、その家から代…

kooop
2年前

珪化木の森

 旅の途中で、珪化木の森に迷い込んだ。  石化したままの木立が延々と連なり、オーカー色の…

kooop
2年前

唸り犬

 唸り犬という愛玩動物を飼う風習がその土地にある。  唸り犬は成獣になっても、両のてのひ…

kooop
2年前
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寮舎

 その学校には古い寮舎があった。学生はみなその寮に住んでいる。  とても古い建物で、学園…

kooop
2年前