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プリンセス・クルセイド

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王子の結婚相手を決めるため、少女たちは剣を取る。剣と魔術で闘うファンタジーです。
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2017年5月の記事一覧

プリンセス・クルセイド #3 【心の剣】 1

 ファムファンクの王家に三兄弟あり。

 長兄のエイドリアンは勇敢で気高く、リーダーシップ溢れる若者だ。しかし彼の一番の魅力は、その慈悲深さにある。誰とでも分け隔てなく接し、思いやりがあり、国民を第一に考える。そんな彼のカリスマめいた人気は、国の宝だ。

 次兄のアルバートは大柄で、屈強な見た目通りの力自慢だ。しかし彼の最大の長所は、日々の鍛錬を惜しまぬひたむきさにある。武芸に精進し、常に強さを追

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プリンセス・クルセイド #2 【太陽のプリンセス】 5

「さて、ここで決着をつけましょうか。多少、行儀は悪いかもしれませんが!」

「ひゃっ!」

 イキシア王女が横薙ぎに振り回した薙刀を、アンバーはかがみ込んで躱した。頭の上で風が鳴る。

「まだまだっ!」

 アンバーが顔を上げると、イキシア王女が流れていく薙刀を強引に振りかぶり、今度は縦に振り下ろそうとするのが見えた。アンバーは屈んだ姿勢のまま、真横に飛び退いて回避を試みる。間一髪で直撃は免れたが

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プリンセス・クルセイド #2 【太陽のプリンセス】4

 チャーミング・フィールドに降り立ったアンバーは、自分の感覚をすぐには信じられなかった。目の前には草原が広がり、湖も見えた。ここまでなら何ら問題の無い風景だ。しかし所々に立ち並んでいる石柱には、奇妙な違和感があった。何かを支えるために立っているのでもなければ、等間隔に立ち芸術性を醸し出しているわけでもない。途中でひび割れ、折れているものさえ少なくない。不可解な物体はこれだけではない。湖の上空には、

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プリンセス・クルセイド #2 【太陽のプリンセス】3

 翌朝、アンバーは竹箒を手に、毎日の日課である軒先の掃除をしていた。通りに立ち並ぶ民家や工房にまだ人の気配は無く、まだ穏やかな眠りについているようだ。それでも、彼女は手際良く軒先を履き終えてしまうと、そのまま流れるようにして工房のシャッターに手をかけた。

「……そっか、今日からは開けられないか……」

 アンバーはそう呟くと、シャッターから手を離した。父があの状態では、もう工房を営めない。幸か不

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プリンセス・クルセイド #2 【太陽のプリンセス】2

 アンバーが目を覚ますと、目の前は真っ白だった。おぼろげな意識が回復してくるにつれ、そこが自宅のリビングであることに気がついた。目の前にあるのは天井だ。彼女はソファに上に横たわっており、体の上には普段ひざ掛けとして使っている布が掛けられている。しかし何故か、服はエプロンドレスのままだ。

「……私、どうして?」

「起きたようだな」

 突然どこからか声が聞こえて、アンバーは咄嗟に身を起こした。す

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