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ひと匙日記

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#エッセイ部門

ひと匙日記 おかゆ顔

 6月6日(火)

 又吉さんのラジオでメールが採用されてうれしい。
いちばんうれしいのは、自由律俳句を考えようのコーナーで、それはもちろん、又吉さんが選んでくださるからで、つまりは、選ばれなくても、目は通してくださっているということで、それだけでもありがたいことなのだが、採用されたら「紺屋小町さん」と又吉さんの肉声で自分のラジオネームが聴ける。他のコーナーは向井さんが読んでくださるので、もちろん

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ひと匙日記 戯れⅢ

6月2日(金)

 小さい方々は、わたくしの顔を、マスクをしている状態でしか見たことがありませんでした。ですのでいよいよ、マスクを外してもよい。というお達しが出てからも、わたくしはマスクをつけて、小さい方々と接しておりました。しかし、夏に向けていよいよマスクをはずしていきたいという思いがむくむくと湧き上がりました。そこでわたくしは、毎日少しずつ、すこぉしずつ、マスクをずらしていく作戦を遂行いたしま

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ひと匙日記 職場の休憩室はせまい。

5月25日(木)

 職場の休憩室はせまい。わたしは昼ごはんを食べたあと本を読みたいのだが、次々と休憩人がやってくるので、自分が食べ終わっていたら「あ、ここ、空くんでどーぞ」と席を譲る。他に休憩できる場所は更衣室しかない。更衣室に入るとそこには休憩難民たちが数名、ロッカーの前に座り込んで、スマホをいじったり、体育座りの体制で顔を膝にうずめて寝ていたりする。(あ、今日日体育座りという言い方はしないの

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ひと匙日記 あなたの大切なものは

5月26日(金)

 どういう会話の流れだったか忘れたが、宗教の勧誘についての話になった。友人が昔、信号待ちをしている時に二人の外国人男性から声を掛けられた。手には冊子を持っていてそれはおそらくその二人が信仰する宗教のものであったので、友人は、"あ、勧誘かな"と思い、少し身構えたそうだ。二人の男性は友人にこう話しかけた。

「あなたの大切にしているものはなんですか?」

友人は少し考えたあと、

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ひと匙日記 「さよならのあとで」夏葉社

ひと匙日記 「さよならのあとで」夏葉社

5月27日(土)

 「さよならのあとで」を最初に書店で見かけたのはもう何年も前だった。装丁の美しさに惹かれ、手に取ろうと思った時、帯文が目に入り手が止まった。

いちばん大きなかなしみに

あぁ…今はまだ読めないかも…と思い、わたしはその本を手に取らないまま書店を出た。

あれから随分と時が経って、わたしは夏葉社の島田潤一郎さんのトークイベントを聴きに行った。島田さんの従兄さんの話、叔父さんと叔

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ひと匙日記 酒場放浪者

5月29日(月)

 地獄の二日酔い。前日に6軒はしごしていた。
(町中華でビールと紹興酒→洋風酒場でワイン→カラオケスナックでお茶割りと歌→友人の店でレモンサワー→知人の店でハイボール→馴染みの店でハイボール)
途中までは気をつけて呑んでいたのに、もう3軒目のカラオケから自主規制が崩壊していた。飲んでいる時は愉しくて仕方がないので、その時間に対する後悔はないのだが、翌朝の「もう一度昨日からやり直

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ひと匙日記 研修

5月31日(水)

 あまりないことなのだが職場の研修に参加した。
会場は役所の講堂と呼ばれるところで、並んだ椅子には小さなテーブルが右脇から出せるようになっている。あの、右脇から補助的に出せるミニテーブルというのはとても疲れる。わたしは左利きだから必然的に右側に少し体をねじらせるようにして書かなければならないので、それのせいで疲れるのか、それとも右利きの人も同様にあのタイプのテーブルは疲れるもの

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ひと匙日記 電車のなかで本を読む

 6月1日(木)

 最近、電車のなかで本を読んでいる人が増えたように思う。
今日の帰りの電車なんてわたしは立っていて、前に座っている人が3人とも本を読んでいたのだ。誰もスマホを見ていない。わたしも張り切って本を取り出し、紙っ子4になった。最近増えたように感じるのは島田潤一郎さんの「電車のなかで本を読む(青春出版社)」の影響なのではないかと密かに思っている。電車で本を読んでいる人を見るのがとても好

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