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【ほぼネタバレなし】見事に、そして、見事なハリウッド映画「ブレット・トレイン」(弾丸特急)

公開日初日、それも、家から最も近い映画館で朝一で見てきましたよ。

いやあ、面白かった。期待にたがわぬ面白さ。

原作の荒唐無稽、痛快無比、ノンストップの爆走ぶり、見事に壊すことなく受け継ぎ、そして、見事にハリウッド映画に。物騒なストーリーなのに随所に笑いを持ってくる翻案も見事。

悔しいけど、日本ではやはりこういう映画は作れないね。単にアクションだけでなく、なんというのかなあ、このめちゃくちゃぶりが日本ではここまで振り切れないと思うんだよなあ。予算だけの問題ではないと思う(経験の問題はあるかもしれない)。

まあ、日本人が映画化するとしたら、もっと心理戦に焦点を当てるだろうな。『マリアビートル』の前作にあたる『グラスホッパー』の映画が妻を亡くした主人公鈴木の内面にかなり食い込んでいるようだし(ごめん、原作は読んだけど映画は見てない)。

予想はしてたけど、王子の活躍は、映画ではやっぱり限界があるよな。原作の凄みは王子の影響力なんだが。王子が女子学生になってるし、ああ、男女平等ですかね、嗚呼、ハリウッドとは思いましたよ、ええ。ただね…。

”双子”の片一方も黒人。最初、一番、なんでやねん?と思ったところ。ハリウッド映画は人種のバランスをある程度配慮するのがお約束らしいですね。

でも、原作でも映画でもやっぱり檸檬もレモンも最高だぜ。レモンには『人生で大切なことはすべて「きかんしゃトーマス」に学んだ』という本を書いてほしい。買うよ。

レモン演じる俳優さんも素敵でした(ごめん、ブラッド・ピットと真田広之しか出ていた俳優知らん。しかもブラピも言われなければ、いや言われてもそうとわからんかった)。

以下、ちょっとだけ、映画を見るに至るまでの個人的な背景に寄り道。

原作の伊坂幸太郎『マリアビートル』を初めて読み終えたのが昨年の10月6日(5日かも)

映画化を知ったのはその後どれくらいたってからかは記憶に定かではないが、公開を心待ちにしていた。今年の4月か5月くらいとも聞いていたが、あれはアメリカの話だったのか?まあ、それはいい。

映画を見る前に、どうしてももう一度原作を読みなおしたくて、図書館でまた借りようとしたら、ウソだろ、すげぇ長蛇の列(予約が)。

もう、買っちゃったよ。

それが8月29日。その日からお仕事4連休なんだ、実は。さっそく読み始め、昆活と交互にこなしつつ、昨日8月31日はちょっと睡眠不足がたたり、乗換駅で危うく往復するところだった。その後、家では21時半ごろ寝落ち、目覚めたのが0時20分ごろ。31日中に読み終える計画が!読み終えたのはちょうど3時ごろ。そのあと読書メーターに感想アップして、アレして、結局布団に入ったのは5時。なんと8時に自然に?目覚めたよ。

こんな状態で映画見られるのか?と若干不安だったが、全くの杞憂♪

瞼が重くなる瞬間がまるでなかった。

公式ページ見れば、誰でもわかるけど、

そして、そのページで伊坂幸太郎氏、直筆の

何この日本!?

とある通り、なにこの日本(笑)。

ある意味、「アメリカ人」がイメージする二ホンを期待通り作っているんだろうな。いや、なんか、未来風でもあるんだけど。それ、どっちかというと香港?ってところもあったし、パラレルワールドニッポンって感じだったね。

芸者好きだよね(笑)。日本刀好きだよね(笑)。富士山好きだよね(笑)。

そこもう富士山見えない区間に行っていたと思いますけど(笑)。

ツッコめばいくらでもあるけど、背景の凝り方、映画ってすごいなあってしみじみ思う。ほんのワンシーンのためだけにいったいどれだけの時間とエネルギーが費やされているのか。日本だとジブリ映画でよくあるやつね。

原作との事細かな違いなんてのは、きっとそのうちウィキペディアにでも載るだろうから、他の人に任せる。

文化的な違いが面白いなって思う。

男の描かれ方がやっぱりアメリカなんだよな、日本とはほんと異なる。

マッチョの国アメリカ。

強い父親像に、妻を深く愛している夫像。

木村雄一(映画ではユージになってる)の父親がまるで別人。原作では雄一の母が最も好きな登場人物の一人なんだけどね、俺。

それから、細かいところではセラピー、セラピストの話がやたら出てくる(特に前半)のがやっぱりアメリカ。

原作と映画の最も大きな違いは、ラスボス峰岸関連。とだけ言っておこうか。なるほど、それでロシアンルーレットかって今頃気づいたわ。

あ、あと、予告でもさんざん出てるけど、新幹線モドキの弾丸特急、やたらマスコットが出てくる、何て名前だったっけかな、まあいいや、あれって、アニメの国ニッポンのイメージなんだろうね。

あ、あと、これも予告でさんざん出てるけど、新幹線モドキの弾丸特急、脱線するの、「鬼滅の刃 無限列車編」かよ、それへのリスペクトかよ、対抗かよ、これまたアニメの国ニッポンの新イメージか?

ああ、早く、みんな、見てくれ!ネタバレしないの、つれーよ。

客層は、おじ(い)さん、おば(あ)さんが多かった。若い人は少なめかな。大学生はまだ休みだと思うけど、ほとんどいなかったなあ。一人だけ若い女の子いて、地味めで、こういう子好きだなと思って、声かけたかったくらいだが(そんな勇気もなかったが)、それでピンと来た。みんな原作読んでるね。原作のファンがいの一番に見に来てたんだ。二人組以上で見に来ているのも数組だったし、たぶん。

原作が(大)好きな人は、見て損はない作品。きっと。原作通りじゃないとか怒らない人限定でね。

見事な翻案だなと俺は思ったね。別作品だけど、別作品じゃない。

最後のほう、真田広之がいい味出しててさ。年齢調べたら、もう還暦越え。

この9月に「あぶない刑事」の新作もクランクインするみたいだし、あっちは舘ひろしと柴田恭兵の70代コンビで。会社員なら定年越えしてからの俳優・芸能人の活躍って、うれしい。高齢化社会万歳だぜ。

真田広之が

天道虫

といったとき、なぜかジワッときてさ。そのままドライアイになることなく、エンドロールまでいっちゃったよ。

英語の中に突然日本語が表れてくると、不思議な感覚になるよね。日本語と英語のバイリンガルの人はどうかわからないけど。

映画「さよなら銀河鉄道999」の歌もそうだったなあ。「さようなら」の歌詞のところだけ妙な感じで、いい味。

原作、文庫本P539にある内容が映画に出てきたのには、ハッとした。これを映画化したいと思った人は、ここにグッときたのかもね。レディバグって単語は、たぶんここにしか出てこないと思う。

そういえば、よくわからないたとえ、全く別の形で映画でも出てきて、思い出して思わず笑っちゃった。「おまえのたとえはよくわからないよ」

ミカン、渋くてカッコよかったけど、○○青年ではなかったよな、確か。それともそれをほのめかすシーンはあったかなあ。あの辺も映像での難しさかな。

原作読んでない人の映画の感想、早く聞きたい。

原作は文庫本で600ページ近いけど、ウッとくる分厚さだけど、スラスラ、ワクワクドキドキしながら、あっという間に読めるので、どうか騙されてみてほしい。映画より安いよ(笑)。

Kindleアンリミテッドの時もあったんだけどなあ。

あ、で、『マリアビートル』は殺し屋三部作の二作目なので、その前の『グラスホッパー』も読んだ方が『マリアビートル』はより楽しめる。

こっちはなんと今見たら、Kindleアンリミテッドになってた!

あ、映画は『グラスホッパー』読んでなくても全く問題ありません。というか、読んでいても特に意味ありません。原作知っている人にとっては、これは一種のネタバレになってしまうな、ああ、難しい。

そうそう、ここの記事、私も事前に読んでた。これ読んでよけい早く見たくなった。

最後に、とあるシーンでナナホシテントウ出てくるけど、あれ、CGだよね?動きはすごくよくできていると思うけど、しょっちゅうテントウムシ見てる俺からすると、あ、偽物とすぐ思っちゃって、あれは鼻白んだ。

テントウムシ、素朴に可愛いと思う人はどうか知らんけど。そこも虫好きでない人の感想聞きたいわ。

追加。

原作読んでない人の感想発見したので、リンク張っておきます。


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