【オカスキ】よみものサイト

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プロのライターが編集・運営する【よみものサイト・オカシナスキイ】の公式Twitterです。毎日「おかし」な読み物を更新しています。エッセイや小説、イラストや漫画、猫もの、育児もの…いつでもきままにお寄りください。https://www.okashinasukii.com/

マガジン

  • 東京サルベージ

    勤続20年のサラリーマンであり、突如宝塚に目覚めた妻とポメラニアンと暮らす脚本家…日々のよしなしごとを哀愁たっぷりに綴ります。 【月2回更新】by 大空ピョートル

  • 米栗カレンダ

    米栗久三郎による、1日1絵の、日めくりエッセイ。 3歳の「彼」の今日を綴ります。 こどものありようって、哲学だなあ…と思うのです。

  • 【言霊ピンポン】

    毎日、言葉についてやりとりしています。ピンポンの球を打ち合うように、ああ言えば、こう返す。言葉って、ほんとうにタマシイ持ってるし、つながりあってる多様系!最新の言霊はtwitterで https://twitter.com/okashinasukii

  • かのぐみ絵日記

    保護猫出身の2匹の飼い猫、かのこ(姉貴分)ぐみ(妹分)について、イラストや4コママンガでつづっております。毎週木曜更新予定。

  • 煩悩ピンポン

    世界(史)的に有名な、 MリーとHームズが…ああ言えばこう返す! 毎日ほぼ200字で打ち返し、拾い返す。 煩悩にまつわる108のピンポンマッチ。

最近の記事

東京サルベージ【第41回◾️味噌ってこれかい?】

私の楽しみは昼飯である。朝職場に着くとあとは(何を食べようか)と考えている。昼間の間も電話の応対がある関係で、昼休憩は早番と遅番に分かれているが、私は絶対に遅番派である。 なぜなら「あー何食べよう」と考える時間をより長く味わうためである。朝8時には出勤しているので、13時までは思考の半分以上は何食べようか考えていればよく、昼食後の1時間はその余韻に浸っている。よって正規の勤務時間8時間のうち、5時間は飯のことを考えていられるのだ。私は空腹に関してはストイックなのだ。 子供の

    • 東京サルベージ【第40回◾️影武者】

      「ピョートル、俺な。事務所とは更新しないこととしたよ」 学芸大学のビストロでKさんはそう切り出した。 私は一時期ライターのマネジメントをしてくれる事務所(仮に「Z」としておく)に所属していたことがあった。 Kさんはそのモデル部門に所属しており、事務所との縁が切れた後も、たまにお互いの近況を報告しあっていた。 彼は、私よりずいぶんと年配だったが、都内の某シティホテルで開催された「Z」の忘年会に出た際に、隣の席にたまたま座ったのが縁だった。かれこれもう15年の付き合いになる。

      • 東京サルベージ【第39回◾️手相と納骨室】

        先日、伯母の49日の法要に参加してきた。 93歳の天寿であったから、湿っぽい雰囲気ではなく、久しぶりに会う親族と和やかな会話を交わすという感じの会であった。 母方の伯母であったから、典型的な内弁慶である父の名代としての参列することになった。 天台宗の寺で、納骨の前に位牌を先頭に導師の読経のもと、ぐるぐるまわるという儀式があった。天台宗の寺だからそうだったのか、その導師の癖なのかはわからないが、とにかく読経をする導師にあとをぞろぞろとついて寺の庭をぐるぐると回ることとなった。

        • 東京サルベージ【第38回◾️断・捨・離】

           引っ越すことになり、必要に迫られていろいろな物を捨てている。  まだ使えるし、捨てるには忍びないもののもうとうに役割を終えているもの、そもそも捨てるのが億劫で収納の奥に突っ込んであったものなどを積み上げ、新居に連れていくかどうかの取捨選択を行った。  中には買ってみたものの、一切読んでいないものや、暫く定期購読してみたものの兎に角積み上げるだけであった書籍など、お金の無駄使いと言われても仕方の無いものがうずたかく積み上げられていた。  「思い出がつまっているから」と第一

        東京サルベージ【第41回◾️味噌ってこれかい?】

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        記事

          東京サルベージ【第37回◾️いきつけの珈琲】

          最近コーヒー屋でぼーっとすることが増えている。 休日や早めに仕事から帰ってきた平日に、妻とでかけていき、何をするともなくぼーっとして帰ってくる。 いきつけのコーヒー屋といえば聞こえはいいが、要は家の近所のスターバックス2件を交互にうろうろしているだけである。スタバはたいてい混んでいるのだが、閉店前の1、2時間前はなんとか席を確保することができる。店員も爽やかで(また夜にほっつき歩いているな)という顔はしない。 お互いに特に会話をするというわけでもなくおのおの読書したりスマホ

          東京サルベージ【第37回◾️いきつけの珈琲】

          東京サルベージ【第36回◾️背中】

          少し前のことだが、夏に母が脚の付け根を骨折してひと月ほど入院した。 雨の日にスーパーのフロアで滑って転倒したとのことだった。 周囲が止めるのも聞かずに、車を運転して帰宅したものの、救急車で病院送りとなった。 転倒して騒然としている、そんな恥ずかしい状況で救急車に乗りたくない一心で、骨折をおして脂汗をかいて車に乗って帰ってきたことを電話口で父は酷く怒っていた。 事故でも起こしたら大事である。 そりゃそうだろう。満足にブレーキを踏める状態ではないのである。 家から救急車に乗っても

          東京サルベージ【第36回◾️背中】

          東京サルベージ【第35回◾️美容室の蟷螂】

          かれこれ20年近く同じ美容院に通っている。 その美容院には、脚本を書いた作品のプロデューサーの紹介で通いだしたのだが、当時の私は東京に住み始めたばかり・・・というのは言い訳にすぎないが、有り体にいえばマッシュルームカットの亜種のような変な髪型になっており(癖でそのようになってしまうのだ)、見るに見かねたのだろう。着席するや否や、「あのう、お任せで切らしてもらっていいですか?」といっさいの注文は聞かずに、スポーティな髪型に変貌したという経緯がある。 何で、映画のプロデューサーに

          東京サルベージ【第35回◾️美容室の蟷螂】

          東京サルベージ【第34回◾️帽子】

          帽子のコレクションが増えてきた。 いい年になってきたので、できればボルサリーノやらKNOXやらのハットが似合う大人になりたいが、一向に似合う雰囲気は身につかぬ。 といっても、もともとカブリモノを嗜む傾向にはなく、服屋ですすめられても「いやぁ似合わないから」と避けて通ってきた。 被るようになったのはストリートダンスをはじめて45歳を過ぎてからである。それもバケットハットの一択、つばが広くないもの、に限るである。 キャップほどカジュアルではなく、かといってハットほど大仰ではなくと

          東京サルベージ【第34回◾️帽子】

          東京サルベージ【第33回◾️自戒】

          根はどちらかといえば楽天的なのだが、あまり希望的観測は口にしないのが性分である。 とりあえず、悲観的な観測を口走っておいて、(そうじゃないといいな)内心思っているというのが昔からのスタンスだ。 うっかり酔っていた時に、前向きなこと、希望に満ち溢れたことを口走ったものなら、酔いがさめたあとに自己嫌悪に陥ってしまうほど身についてしまっている。酔った時に口走ったことを覚えている酔いきれない体質なもんだから余計に始末に悪い。 この体質が何により形づくられたかといえば、幼少のころより

          東京サルベージ【第33回◾️自戒】

          東京サルベージ【第32回◾️懺悔】

          シスター。 本日は懺悔にやってきました。 ええ。 彼女がダンスの名手だということは知っていましたし、私の「推し」である宝塚月組元トップスター霧矢大夢さま、歌って踊って芝居もできての三拍子そろった霧矢大夢さまの三代前にあたる方ですから、もちろんお名前も存じておりました。でも、あれですよね。引退後は舞台やドラマよりはバラエティ番組で名を馳せられていますし、在団中の「代表」であられた「ばあや」との間柄に関する浮世離れしたご発言にめまいを覚えていたのも事実です。 はい、「ばあや」

          東京サルベージ【第32回◾️懺悔】

          東京サルベージ【第31回 ◾️鳩レンジャー】

          ヒーローや戦隊ものといわれるジャンルに興味のない子供だった。 母は兄弟の多い家の末の方で、父は兄弟のなかでは晩婚の方だったから、私は従弟・従妹の方では序列が低い方の味噌っかすで、おにいさん・おねえさんたちに遊んでもらう方の子だった。 耳年増になりやすい環境であるので、気の利いたおにいさんの一人が、早々にヒーローや戦隊ものの「中の人」の概念を教えてくれていたのだろう。「役者さん」といわれる人が暑いおもいをして懸命に演じているということを(大変だなぁ)という思いで観ている、言っ

          東京サルベージ【第31回 ◾️鳩レンジャー】

          東京サルベージ【第30回◾️春の夜の夢】

          海外で働いているKから”武蔵坊”の連絡先を知らないかとの電話が来た。 突然のコンタクトに私は驚いた。 Kは中学の同級生で、大学に入学したくらいまではたまに会ったりしていたが、すっかり疎遠になっていたのだ。 彼が、風の噂で日本の商社で数年働いた後、フランスに渡ったということは聞いていた。確か日韓ワールドカップの頃だったと思うから、それでも随分昔の話だ。 「今どうしているんだ?」と聞くと、フランス語が通じるアフリカの某国で日本の古着を売る仕事をしているという。 「古着の

          東京サルベージ【第30回◾️春の夜の夢】

          東京サルベージ【第29回◾️ピョートルとボウリングシューズ】

           春めいてきたので、薄でのベージュコートに白い靴をあわせてコーヒーショップにでかけた。この白い靴はヴィンテージのボウリングシューズをオールソール(ソールの張り替え)したもので、お気に入りの一足である。 私は、この靴と高円寺のアンティークショップで出会った。8アイレットのレザーシューズで、ボウリングシューズとしてはかなり高級なものであったことが一目でわかった。1960年代のアメリカ製。ボウリング黄金期のただずまい。一目惚れだった。申し分のない造りの靴だったが、問題は私がボウリ

          東京サルベージ【第29回◾️ピョートルとボウリングシューズ】

          東京サルベージ【第28回 ■ ピョートルと黄金の靴 】

          金色の靴を買った。 何を血迷ってと自分でも思うが、買ってしまったものは仕方がない。 私は、つくりのよいモノが不当な評価を受けているところに遭遇すると、つい血が騒いでしまう性分で、つい、「おじさんちに来るかい?」と声をかけたくなってしまう。 下駄屋の丁稚小僧だった祖父の遺伝子がそうさせるのか、この傾向は靴に対して発動されてしまうことが顕著なのだ。 そんなわけで、金色の靴も売れ残って捨て値がつけられていたのに出くわしたのだが、派手な姿こそしていたが、これがつくりの良いものだと

          東京サルベージ【第28回 ■ ピョートルと黄金の靴 】

          東京サルベージ【第27回 ■ グレタと雪の女王2号 】

          先日、ふと立ち寄ったリサイクルショップでレディースのウールコートがぶらさがっているのに出会った。それは、ブルーに染めたフォックスのファーがふわふわとした奇麗なネイビーのコートだった。 以前、いったいどうした風の吹きまわしか、妻にコートをプレゼントしたことがある。私たちは、結婚して以来、お互いの誕生日プレゼントや、結婚記念日といったプレゼントを相殺しあってきた。祝うのは亡き愛犬のエカテリーナ(ポメラニアン)の誕生日だけと決めていた。 何年か前、何の目的もなしに立ち寄ったデパ

          東京サルベージ【第27回 ■ グレタと雪の女王2号 】

          東京サルベージ【第26回 ■ シャンプーマニア 】

          ついに出来たのか…。 私は震えるような手でスマホから予約をし、そこに急行した。 店は恵比寿の商店街を抜けた小綺麗なビルの5Fにあった。 恵比寿に九州発のシャンプー専門美容院が上陸したのだ。九州発というのが良い。天孫が降臨したのも九州だった。私は自転車をぶっこいだ。 私が、シャンプーマニアになってずいぶんと歳月がたつ。 美容院でシャンプーのメニューを掲げていれば片っ端から入っていきたい衝動にかられるし、財布が許せばそれを行ってきた。 シャンプーをされながらうたた寝を

          東京サルベージ【第26回 ■ シャンプーマニア 】