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読書感想文【恍惚の人】有吉佐和子

久しぶりすぎて読書感想文の書き方を忘れてしまった
ポツポツと読書はしているのですが
アウトプットするには
インプットが満タンになって内から弾け飛ぶみたいな
そんな感覚
本当は絞りだしてでも文字を書く練習をせねばならないのは
わかっているのです
「書かなきゃな」とは思う毎日でしたが
「書きたい」と思う作品だったので
パソコンを開いてみました

有吉佐和子 【恍惚の人】 新潮文庫

<あらすじ>

文明の発達と医学の進歩がもたらした人口の高齢化は、やがて恐るべき老人国が出現することを予告している。老いて永生きすることは果たして幸福か?日本の老人福祉政策はこれでよいのか?老齢化するにつれて幼児退行現象をおこす人間の生命の不可思議を凝視し、誰もがいずれは直面しなければならない<老い>の問題に光を投げかける。空前の大ベストセラーとなった書き下ろし長編

<感想>

いわずもがな日本の名作
昭和57年に発行されました
私が3歳の時です
なのでちょうど私の祖父母あたりが
曽祖父母を介護していたあたりの時代背景
今からほぼ40年前にはもう悩みの種になっています
高齢化社会と介護問題
40年たった今
少子高齢化はさらに進み
日本は世界一の長寿国です

寿命が延びているのは完全に医学の進歩と
素晴らしい医療制度のおかげでしょう
長生きが良いか悪いかもありますが
医学の進歩がもたらした別の側面に
痴呆症の解明もあると思います
この作品の時には全くと言っていいほど
認知症が医者もよく理解しておらず
一般人にはもっと不可思議な症状だったことが
伺い知れます
文中に「昭和80年になるころには・・」と
主人公の考察する未来が書かれています
私はこの言葉にドキリとしました
とうに昭和80年は過ぎてしまっていて
現代は昭和95年くらいでありましょうか(適当)
文中に書かれた想像された未来と
その日を大きく超えた今は状況が良くなっているようには思えず
これから向かう超高齢社会に
恐れおののいてしまうのです
できるだけ健康で誰にも迷惑をかけず
ポックリ死にたいのは
全ての人の願いじゃないでしょうか
人間の夢って
なりたい職業になるだとか
お金持ちになるだとか
好きな人と一緒にいるだとか
そんな事ではなくて
如何により良く死んでいくかというのが
目標であり夢なのではないかと思いました

この作品は壮絶な介護描写も
近所の人との交流で
なんとかポップに仕上がってます
苦労しながらも家族が踏ん張っていて
最後は嫁としての立派な務めのような
プライドのような
やり遂げた感が光明を見せているので
読後感は救われたような気持になりますが
今の時代はもう同じような状況や思想は
かなり難しいのかなと激しく思うので
少し暗くなってしまったりもします

ぜひ令和を生きるみなさんに読んでもらいたい
昭和の一冊です




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