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読書感想文〜書きあぐねている人のための小説入門〜

我がヤクルトが阪神に13−3で負けている
私クラスのヤクルトファンにもなると
3−3の同点として試合を観れる能力があるが
そんなうんこな試合は横目に
今日のnote

保坂和志 「書きあぐねている人のための小説入門」 

<あらすじ>

小説を書くときにもっとも大切なことは?実践的なテーマを満載しながら、既成の創作教室では教えてくれない、新しい小説を書くために必要なことを丁寧に追う。読めば書きたくなる、実作者が教える『小説の書き方』の本。著者の小説が生まれるまでを紹介する、貴重な「創作ノート」を付した決定版

<感想>

この本はこの間今月の本を買いに行った時に
奇跡のアガサクリスティと出会った
古本屋のワゴンセールの中にありました
「小説を書きあぐねているか」と問われれば
そんなの永遠に書きあぐねているので
タイトルに惹かれて購入しました
なんとなしに読んでみたら
思いがけず興味深い内容だったので
途中で読書を中断し
思わず著者の他作品を調べてしまいました
残念ながら小説はひとつも
読んだことはありませんでしたが
この方の新書を読んでいました

今本棚にないので
完全に紛失してしまってますが
大学生の頃にこの本を読んで
いたく感動していた自分を思い出し
「あーーーー!!!あの本の著者か!」と
これまた出会いに
西野カナばりに震えました

私が今通っている学校は
「ベストセラー作家になるための」と
大きな命題をつけてあり
さらに学校ということもあり
教わることは基本テクニカルな事です
もちろん物語の「特異性」は
優先順位の1番にありますが
次にくるのがどうしても「読みやすさ」なんですね
保坂氏はこの「商業小説」と「文学」との違いを
この本で言語化して語られています
それはとても腑に落ちる考え方で
読み進めていくと
私の心にぼんやり引っかかっていた
トゲのようなものが抜き取られ、削られて
整理されて棚に並べられていく様でした
要するに考えがまとまり体系化できたという
ことです
そうなれたのは著者と割と同じ方向性の
考え方を持っていたという事になります

とても良い本に出会いました
しかも、私が「今」読むべき本でした
これはこの先何度がお世話になる本なので
常に手元に置いておこうと思います
しかし、保坂氏の全てが全てではないという
思いもあり
このロジカルの中には
いくつかの矛盾が生じていると感じました
6割ぐらいは感動・共感・納得
残りの4割は保坂氏も知らないであろう
「作家」たるものの未知なる可能性を信じつつ
私も頑張って行こうと思いました
(この理由については後日の感想文で!)

全ての事象には表裏があって
この場合「小説家」という書き手について
書かれていますが
裏を返すと「読者」のあり方にも通じるのです
「読者」のレベルが上がると必然的に
「小説家」のレベルも上がる
「売れている本」が「芸術作品」
であるかは別事項である
という現代文学の構図説明は
とてもわかりやすく
共感する箇所がたくさんありました
100年前のフランス文学やロシア文学
などを読んでいると
この小難しい作品がベストセラーだったのか!
と思うたび
小説の素晴らしさはもとより
このレベルの作品を民衆が普通に読めていて
なおかつ大勢が感動していたという事実があり
私はそこに感動したりするのです
現代日本の読書離れは
難しいと思われる作品を
読めなくなっている力も
あるのかもしれない
でも本来そういうわかりにくいものが
小説だったりするのです
保坂氏はそもそも
小説が読みやすくわかりやすいもので
あるはずがないと
その書き手の精神論というか
「芸術の創作」という視点で
わかりやすいものにはならないという事を
ジャズや絵画の作品に
なぞらえて語られています
本当に面白いです!
小説家を目指している人は
決して書きあぐねていなくとも
一読ありの作品だと思います
より深い読書体験を求める方にもおすすめします!





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