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読書感想文【青が散る上・下】宮本輝

燎平は、新設大学の一期生として、テニス部の創立に参加する。炎天下でのコートづくり、部員同志の友情と敵意、勝利への貪婪な欲望と「王道」、そして夏子との運命的な出会い。青春の光あふれる鮮やかさ、荒々しいほどの野心。そして戸惑いと切なさを、白球を追う若者たちの群像に描いた宮本輝の代表作<上巻>
退部を賭けたポンクと燎平の試合は、三時間四十分の死闘となった。勝ち進む者の誇りと孤独、コートから去って行く者の悲しみ。若さゆえのひたむきで無謀な賭けに運命を翻弄されながらも、自らの道を懸命に切り開いていこうとする男女たち。「青春」という一度だけの時間の崇高さと残酷さを描き切った永遠の名作<下巻>

1982年発行の作品
40年前のあおはる物語を
40過ぎの私が読んだ感想

あれだな、時節が完全に遅かったな

小説としての刺さり具合は
きっともっとずっと若い時に読んでいたら
ぐっと刺さったと思う

たぶん私自身の大学生活と高低差がありすぎて
創造物としてもピンとこないし
リアリティーからも遠かったんだな
こんな大学生活送ってる人も
中にはいたんだろうけど
共感値が低すぎるので
終始どこか冷めた感覚で読んでしまった

たださすが宮本輝だ!という
物語の書き方は本当に勉強になる作品で
こんな風に進めたら良いのかと
物語を分解して考察しても
なかなかなお手本通りな構成に
本当に感嘆した
まさに小説の「王道」とは
宮本輝のような作家なのではなかろうか

私は基本的に全てにおいて
「覇道」より「王道」
「保守本流」で「正統派」を好むタイプなので
私がテニスというスポーツもわからないので
物語の共感力は下がったというだけで
作品の表現としてテニスに乗っけただけで
真理として「王道」を説くという
宮本輝の手法は本当に好き

そして何が好きって
一貫して有元利夫の装丁っていう
抜群のセンスがとてつもなく好きなのだ

先日、エンタメ小説と純文学の違いについて
ある出版社の編集者さんに
エンタメ小説は「職人」で
純文学は「アーティスト」である

という話を伺い
その裏付けなる話も含め
なるほどなと腑に落ちた
そうなると宮本輝は
エンタメ小説書かせたら天才なので
小説界の天才職人ってことなんだな
と思った次第

ということで
少しでも若いうちに読んでおいたほうが
響く作品だと思います


若者よ、読むべき時は今だ



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