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いつでもどこでも『どうでしょう?』


昔から私は無駄を愛する一族である。

昼まで寝てしまった休日も幸せだと思うし、
買い物に費やす時間も嫌いじゃない。
人よりも体内時計がゆっくり回っているのか、
無駄と感じることは生きててあまり多く無い。

そんな私が大好きなテレビ番組があって。
HTBの『水曜どうでしょう』である。

とはいえこの番組はかなりの長寿番組で、
始まった当初私はまだ赤子だった為
滅茶苦茶詳しいかと聞かれるとそうでも無い。
この番組は魅力の宝庫で、
私より深い愛を持った人も沢山いる筈だ。

そしてこの番組、
感心するほど無駄が多い番組である。
…言わずもがな、褒め言葉として。

番組の良さを語るとキリがない。
大泉洋と藤村Dの小競り合いも大好きだし、
無謀な企画にハプニングが起こって、
それでも強行突破しちゃう無茶苦茶さも好きだ。
こんなの良く許したな?と思う回もあるけれど、
それもファンからすれば魅力になってしまう。

その魅力を掘り下げて考えた時に、
ある企画が頭に浮かんだ。
公式サイトでも購入出来るので、
気になった人は見てみて欲しい。
(公式サイト:https://hod.htb.co.jp/pg/pg_sd_009 )



まだ大泉洋が20代だった頃、
『ヨーロッパ21カ国を1週間で回る』という
無謀な企画が行われた。

今時のYoutuberですらここまでするのは珍しいのでは無いだろうか?
というのもこの企画、かなりの金額が必要とされるのは
容易に予想がつく。

まあ4人もヨーロッパに行くのだから、例えば
『ドイツの建築物散策』だったり『イタリアのグルメ旅』だったり、
国の人々と交流したり。

…が、一切ない。
それもその筈で、本人たちはヨーロッパを21カ国回りきることしか
考えていないのだ。

ヨーロッパに行く番組の趣旨が、
ヨーロッパを見ることでは無い。
これ、ヨーロッパでやる必要はあるのか??
結局一番面白いのは、4人の無駄話では無いか!

そんな視聴者が抱える一抹の不安を掻き消して
しっかりと取れ高を得るのがあのメンバーだ。
だって失敗しても企画倒れしても、
すべてを『アリ。寧ろこっちの方が面白いのでは』
という方向性に持っていくからである。
まるでチートである。

失敗すれば無駄になるハイリスクな材料を集めて、
必ず成功してしまう『水曜どうでしょう』。
そしてそれを気負うことなく
ハプニングや無計画さを発揮するディレクター陣。
こんなにもキャストとスタッフのバランスが絶妙な番組は、
あまり見ないように思える。


ところでこの番組は大泉洋と藤村Dがお互い「バカだ」と罵ったり、
視聴者はキャストに向かって「バカだなあ」と思う場面が沢山あるわけだけど
(勿論どれも愛を込めたバカである)
番組としてはどの企画も確実に面白くて、
その本質に気付いた時、
これは実はかなり質の良い番組なんだと思った。

私はこれと似た感情を持つことがある。
森見登美彦の小説を読んだ時だ。
一見バカみたいな文章が続いているのに、
読み終わって全体を見返すと
伏線がしっかりしていたり、
体たらくな主人公がヒーローになっていたり、
しっかりと意味のある作品に仕上がっている。


部分的には頭が悪いのに、全体を見ると何故か質の良い作品。
そういうところが、『水曜どうでしょう』の魅力の1つである。
だけどやっぱり、企画はいつも頭が悪い。
そこが最高で、他に真似できない部分でもあるのだけど。

今も細長く続いている長寿番組『水曜どうでしょう』。
放送歴もさることながら、
メンバーの面白さも未だ健在である。




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