見出し画像

三重旅行〜危うく悔し泣きするところだった編〜

つい先日、三重へ一泊二日の旅行に行った。
『つい先日』とは彼氏との交際記念日でもあり、丁度ワクチンの接種証明があればお得に国内旅行ができるという国のキャンペーン中とのことで、折角だから行くことにしたのだ。

私は三重が結構好きだ。
大阪にいた頃から定期的に遊びに行っていて、大抵は鳥羽水族館とおかげ横丁を1日で回る。
本当は夫婦岩を見たり地中海村に行ったり、ちょっとしたスポットにも遊びに行きたいのだが、車を運転出来ない私は結局同じようなルートになってしまう。

今回は【VISON】という商業施設に行った。
VISONは2021年の4月に出来たまだまだ真新しい施設で、
体に優しい食材や調味料、お洒落なお菓子などを販売する傍ら、温泉と宿泊施設も併設している。

宿泊施設もキャンペーンのおかげで3000円安くなるということで、いつもより少しだけ高い部屋に泊まることにした。
私は最高潮に楽しみだった。

何を隠そう、私はVISONという施設が出来たと聞いた時からずっとずっと行きたくて、今回は念願の旅行だったのだ。

私の住む名古屋からVISONは直通のバスが出ていて、それが大変有り難かった。
運転できる人が1人しか居ない場合、免許を持っていない側の私も結構気を遣う。
運転が好きな人ならお言葉に甘えたりもするのだが、最初から手放しで楽しめるバスや電車を使うのも、気持ち的には良かったりする。
お互い気を遣わなくて良いので、心の余裕が生まれるのだ。

ちなみに運転免許を持っていない話をすると大抵の人は「え、取りなよ??」と言うのだが、「じゃあ、私が運転する車に一緒に乗ってくれる?」と聞くと全員が口を紡ぐ。
私を知らない人も、このミニエピソードで大体知ることが出来るだろう。
できれば私も乗りたくない。

旅行前、彼氏には柿の種を持ってくるようリクエストしていた。
私もカバンに芋けんぴを入れて旅行に挑んだ。

これは甘いものとしょっぱいものを同時にいきたいという願望ではなく
『長時間バスに乗るときは渋滞しても良いように食べ物と飲み物を持っておきなさい』
という親の謂れを守った結果で、炭水化物と糖分が含まれた100点満点の非常食だった。
はしゃいでると思っただろう。
意外と考えているのだ。

幸い、今回は全く渋滞も無かったので、彼氏は言われるがまま持ってきた柿の種を一度も出すことなく家に持って帰った。
これをお菓子の母川回帰という。

バスは人も多すぎること無く、ゆったりと座れて居心地が良かった。
到着まで1時間半程あったので寝ようかとも思ったが、
彼氏がついこの間出張デビューをしたのでその話を聞くことになった。
それはただの日常会話で、些細なエピソードになるはずだった。
しかしその宿泊先のホテルの話をしているとき、私はとんでもない事実に気がつき、話を遮って小さく長い悲鳴を上げた。

ワクチンの接種証明を忘れたのである。

冒頭からあんなにも言っていた、あれのことだ。

現物だけでなく、写真すら撮り忘れていた。
なぜなら私は「今なら旅行が安くなるらしいよ」と電話で計画を練り始めた一歩目以降、一度もワクチン証明の存在を思い出さなかったからである。
昨日まで覚えていた、とかそういう次元ではない。
一瞬たりとも思い出さなかったものは、どれだけ悔やんでも成功ルートは無い。
逆に言えば、不幸中の幸いだったかもしれない。
朝まで覚えていたとかだったら、比喩とかではなく本当に悔し泣きというものをしていた可能性があった。

忘れたことにより払うことになった差額の3000円は本来、このキャンペーンが無ければ払っていた3000円のはずである。
しかし何故か2倍に悔しい。この気持ちは何故だろう。
自家用車ならもしかして引き返せたかもしれないけれど、
バスだから、引き返すことも出来ない。
何が心の余裕だ。この瞬間から私は悔しすぎて、到着するまでの景色を一切覚えていない。
天気だけは良かった。
それだけは覚えている。

私は間違いに気づきながらも後には戻れないという、
まるで人生を煮詰めたみたいな失敗から旅行を始めることになったのだった。

次回へ続く。


VISONに落ちてた巨人の枕

更新しました


この記事が参加している募集

#この経験に学べ

54,146件

よろしければサポートをお願い致します!頂いたサポートに関しましては活動を続ける為の熱意と向上心に使わせて頂きます!