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ロッケンロールばばあになる方法

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カワイイおばあちゃんになるなんて無理! ならば、ロックなばあさんになればいい!日々のいろいろ、てきとうに更新。
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居心地というもの

イタリアン 昨年の夏、近所に新しいイタリアンの店がオープンした。 さほど広くはないフロアに、ふたりがけのテーブルが7、8席。 小さなカウンター席もある。 チェーン店ばかりが増えていくなかで、 こういうお店はなかなか貴重。 入口付近はガラス張りで、店内の様子がよくわかる。 いつ通りかかっても、いつも混んでいるから、 もう少し落ち着いたら行ってみよう、 と思っていたらすっかり冬になってしまった。 そろそろ行ってみようか。 金曜日だし混んでいるかもしれないから、 念のため、予

一生着られる服

甥っ子の結婚式には、あの服で行こうと決めていた。 10年近く前に購入したワンピース。 一生ものにしようと、ちょっと奮発した記憶がある。 やわらかなジョーゼット生地に、墨絵のような花が描かれていて 色も柄も地味だけれど、 どことなく個性があるところが気に入っていた。 知人の結婚式や、ちょっといいレストランでの食事、 お呼ばれの席など、たびたび重宝した。 シミを付けないように、大切に扱ってきた。 しばらく着ていないが、今回もアレでいけると考えていた。 ところが、緊急事態発生

やばい美容院

これまであちこちの美容院にお世話になってきたが、あれほど落ち着かない店はなかったと思う。 そこは大手チェーンではないけれど、12、3席ある比較的大きい美容院。 ディレクタークラスのベテラン美容師さんが数人いて、そのディレクターそれぞれに2~3人の若手がサポートにつくシステムらしい。 まず驚いたのは、ちっとも落ち着けないこと。 とにかく何度も席を移動させられる。 鏡の前から窓側の席へ。シャンプー台へ。再び鏡の前へ、窓側へ…と、 試しに数えてみたら2時間強で7回、席が代わった

人の話を聞かない人

「それも老化現象なんじゃない?」 Kちゃんがいった。 なるほど。それは思いつかなった。けど、本当にそうかもしれないな。 と、思ったので書いておきます。              ★ キイロちゃんはおしゃべりが大好き。 身の回りに起きた楽しいこと、楽しくないこと、驚いたこと、ときめいたこと、仕事のこと、プライベートのこと、家族のこと、友だちのこと、 どんな話もエネルギッシュに語ってくれる。 キイロちゃんはおしゃべり好きなだけじゃなくて、話がとっても上手。 だから自然と、輪

あたらしい生活

わたしはもともと自宅で仕事をしているので、電車通勤もないし、それまでの生活から大きく変わったことはなかった。 けれど、小さく小さく、日々は「あたらしい生活」へと変わってきている。 昨日の朝、窓を開けたらほんのりいい香りがした。ジャスミンの香り。うちの周りには、垣根や窓越しにジャスミンを育てておられる家が数件あって、その花々が一斉に香りを放っているのだった。 この時期の犬の散歩が、わたしはいちばん好きだ。どこの角を曲がっても、ふんわりあの香りが漂っているから。でもここ一か

気づき

新年あけましたね。 昨日はなんだかすごく「気づき」のある日でびっくりした。きっかけはあるメール。意外な人からの仕事のお誘いだった。やりたいけれどやりたくない。やりたくないけれどやってみたい。本当はどうしたいのか、自分の本心がわからなくなっていた。 決められないまま「よしばな 日々だもん」を読んでハッとする。98歳の美代おばあちゃんのやさしい顔が、昨年亡くなった父と重なった。 父は晩年、認知症になり、おかしなことを言い続けていたが、ごはんを食べられなくなったあたりから、言

死体の横で眠る

もうすぐ日付が変わろうとしていた。 すっかり支度の整った父は、さっきより少し硬くなっていた。死後硬直というやつが始まっている。ドラマなどでよく聞くセリフだけれど、生の人間で見たのは初めてだった。それでも体とベッドの間に手を入れると、まだほんのり温かいのが切ない。 父の体を清め、着物を着つけてくれたケアマネFさんとナースのKさんを見送った。心優しいKさんは泣いていた。毎日通ってくれた訪問看護師さんたちに、もう会えなくなるんだ…。そう思ったら急に寂しくなった。 ケアマネFさ

ちちが死んだあとにしたこと

あの夜には、まだ続きがある。 父が息を引き取ったのは、11月2日pm8:30ごろ。ごろ、というのは、だれひとり正確な時間を見ていなかったから。「たぶん8時半くらいだったよね」ということで満場一致。ひとしきり泣いたり笑ったりしたあと、「そのときが来たら、ここに電話してください」と、いわれていた訪問看護ステーションへ長姉が電話をかけた。 15分か20分か、いつものように自転車でかけつけてくれたのは、敏腕ケアマネジャーのFさんと、緊急の呼び出しで休みの日や夜中にも何度か来てくれ

ちち、逝く 1102night

夜になり、父の容態も変わらないので「一度家に帰ろうか」と考えていたところに来客があった。母の妹である叔母と従妹夫婦が、父の見舞いに来てくれたのだった。今日まで叔母は、父の容態を知りながらも見舞いを遠慮していたのだという。母や私たちが、父の介護以外のことで気を使わないようにとの配慮らしかった。そのかわり電話や手紙(これが毎回笑える!)を頻繁にくれていた。そんな叔母が、その夜に限って突然やってきたのは、なにかの知らせを受けたからだったのかもしれない。 母のきょうだいは誰一人例外

ちち、逝く 1102pm

仕事を早回しで終えて、地下鉄に乗った。今夜は泊りになるかもしれないから、一度家に帰ろうか。と思ったが、そんなことをしている間に逝ってしまったら、たぶん一生後悔することになりそうだからやめた。コンタクトをしたままで眼鏡を持っていなかったし、携帯の充電器も持っていない。おまけに今日に限って薄着で出てきてしまった。ま、いいか。なんとかなるだろう。 実家に着いたのは13:00ちょっと前。母と長姉がお昼ご飯を食べているところだった。父の顔を覗くと、確かにいつもとは少し違う気がする。口

ちち、逝く 1102am

11月2日金曜日。 「仕事が終わったら来てくれる? 今日はいつもと違う」 長姉からLINEが入ったのは、昼までまだ少しある時間だった。いつもは「来なくていいよ」という長姉が「来て」というくらいなのだから、本当にいよいよなのだろう。 その日は朝から仕事で出かける予定が入っていた。仕事は早ければ昼すぎに終わる。そして夕方からは楽しみにしていたライブを観に行くつもりだった。姉たちには「今日は(実家に)行けない。明日行く」と伝えていた。 ライブはやっぱり諦めないと。いよいよと

クワイエット・プレイス

怖い話は大の苦手だったけれど、ナイト・シャマラン監督の『シックス・センス』を観てから「感動するホラー」が好きになった。そして昨日観たのは、予告編からしてすっごく怖そうな『クワイエット・プレイス』。 とにかくこの映画は「映画館で」観てください。ほんとうに怖いけれど、それ以上に感動します。配信とかスマホとかはお勧めしない! もし映画館以外の場所で見るなら、真っ暗にして、静かな環境で、できればひとりで、ぜひ! 始まった直後から、観ている方も「音を出したら死ぬ!」と本気で思って

ひげ

父が退院して2週間。敏腕ケアマネジャーFさんのおかげで、あっという間に万全の体制が整った。あとはサポートしてくれる人たち(訪問看護師さん、往診の医師、ヘルパーさん、訪問入浴の業者さん、介護器具の業者さんなどなど)に助けてもらいながら、なんとか父を生かしていく。 最初の1週間はとにかくぐったり疲れた。ハイになった母は、動きっぱなしにしゃべりっぱなしで、寝たきりの父より上手につきあうのが難しかった。そんな母もようやく落ち着き、わたしたちも泊まり込みはなくなり、今がいちばん静かな

在宅介護はじまる

父が退院して1週間。姉の友人であるケアマネさんのスピーディな手配のおかげで、看護師さんの訪問介護、専門医のリハビリ、医師の往診、週2の訪問入浴が決まり、手が回らない部分を助けてくれるヘルパーさんもお願いできることになった。 たった1週間で、たくさんの方々が父のために動いてくれ、母は何枚もの契約書にサインをした。 私たち3姉妹は日替わりで泊まり込み、父の食事の介助からシモの世話までできる限りのことをした。夜中に高熱が出たり、顔だけ異常に火照ったり、毎日なにかしら起こる父の変