瞑想への切り替え。ヨガ、呼吸法(足芯呼吸)――動から静へ
瞑想をコツコツと地道に続けて慣れてくると、座って目を閉じて呼吸を落ち着けると、すぐに心が内に向き、心地よい瞑想が始まるようになります。
ついさっきまで会話していたり何か作業していたりしていても、座って瞑想を始めるとそうなるようになります。
瞑想は「脳の働き・構造まで変える!」なんて言われることがありますが、実際にそういう効果もあるのかなぁ~と思うところです。
瞑想を続けることによって、脳の神経の配線が瞑想向きになっているのかなぁ~、、と。
しかし瞑想を始めて日が浅い人の中には、忙しい日常の活動から瞑想へとスムーズに切り替えができない人が多いと思います。
私も以前はそうでした。なかなか瞑想への切り替えができずにいました。
このnoteは瞑想への切り替えのアドバイスです。
動から静へ――動中有静
私は以前に気功を習っていました。
気功にもいろいろとありますが、私が習っていたのは中国の伝統的な思想、養生法、伝統医学とつながりの深い「内丹派」の流れをくむ気功です。
気功には動作のある動功と、立ったり座ったりしたまま動かずに瞑想する静功があります。
内丹派の気功、特に伝統的な気功の場合は静功が重視されることが多いです。上級の段階になればなるほど静功(瞑想)が重視されます。
習っていた気功も、やはり静功が重視されていました(動功も上級段階ほど動きが少なくゆっくり)。
その気功において説明されたのは「子どもや初心者は動功から始めた方が良い。いきなり静功から始めても高度な入静(心身の瞑想状態。瞑想態)は得られない。まず動功によって心身を整えてから静功に進んだほうが良い」ということでした。
また「動中有静」や「動中求静」と言われました。
この場合は動功で体を動かしている最中でも、心には瞑想しているような静けさが有るようにするということでした。
確かに落ち着きのない子どもや、ジッと座って瞑想することに慣れていない初心者は、この方法が良いと思います。
初めから完全に動かずジッとするのが辛いのなら、その前段階にゆっくりとした動功をして、そのゆるやかな動作に集中しながらも、リラックスを心がけるということは、子どもや初心者が瞑想状態に入る訓練に適していると私は実際に感じました。
これは気功以外に瞑想でも応用できると思います。
瞑想するには、まずはリラックス(心身が弛緩)する必要があります。安定した瞑想状態(瞑想態)が弛緩に偏る状態かどうかは、また別の話なのですが、とにかく瞑想の導入部分においてはリラックス(弛緩)は必要です。
そのため瞑想の前段階にする動作はリラックスを目的としたものでなければなりません。
ここではリラクゼーション法としてのヨガ(静的ストレッチ)と呼吸法を提案します。
リラクゼーション法としてのヨガ
この提案においては、ヨガ(のポーズ、体操、アーサナ)を静的ストレッチであると定義します。
なぜヨガをやるかというと、それによって副交感神経優位になりリラクゼーションが得られるからです。
注意事項としてはヨガのポーズの中には、現代の解剖学などの知見では危険であるとされるものがあり、そういったのはやらなくていいです。
「~~市の◯◯代の女性がヨガによって椎間板を損傷しました。ヨガによる事故の報告を受けて厚労省は~~」などとニュースでは報じられることはありませんが、実際にはヨガによってケガや骨折やもっと重篤な例もあります。
例えば「鋤のポーズ(ハラ・アーサナ、ハラーサナ)」は、やり方によっては頸部・頸椎に過度な負担となる可能性が指摘されています。
「頭立ちのポーズ」にもリスクが指摘されています(脳血管の障害、頸髄損傷、失明などの重篤なものも含まれます。私はこのポーズは危険なものであり、やらない方が良いと考えています。たいした健康効果も無いし)。
あと以前と違って現在では、スポーツの前や筋肉に負荷のかかる作業の前の数時間は静的ストレッチは避けた方が良いとされているようです。
筋肉・腱が弛緩してパフォーマンスが低下したり故障につながるとされているためです。
[ ヨガのやり方 ]
選択するポーズはストレッチとして代表的なものを何種類かを好みで選んで良いです。
とりあえずは、ねじり、体側伸ばし、前屈、後屈のポーズがあれば良いです。時間がなければ、ねじりのポーズだけとか、前屈、後屈のポーズだけでも良いです。
やり方は快適な範囲内で反動を付けずにジックリと伸ばしていきます。反動を付けたり痛みを我慢しなければならないほど伸ばすと、神経の反射の働きの点から、副交感神経優位のリラクゼーションが得られません。
呼吸は力まずゆっくりです。どちらかというと呼気を長めにした落ち着いた呼吸です。
ポーズは最低30秒は維持します。これにも神経の反射の働きが関わっていて、副交感神経優位になる目安が30秒です。30秒から1分くらい(時間に余裕があればもっと)維持します。
ポーズを維持している最中は「よし!伸ばすぞ!」と気張るのではなくて、心地良さを感じるようにします。
ポーズを解いたらシャバアーサナ(屍のポーズ、仰向けに横になってリラックスするポーズ)をします。
これはストレッチのポーズと同じ時間維持するのが目安です。できるだけリラックスします。
私が単に静的ストレッチと言わずにヨガと言ったのはこの点においてです。
リラクゼーションを得るためのヨガとして重要なのは、この一定時間のポーズの維持とシャバアーサナです。
柔軟体操でもなくリンパ体操でもなく、リラクゼーション法としてのヨガなので、この点は忘れるべきではありません。
これに欠けるとその分だけ効果が弱まります。
ストレッチのポーズ→→シャバアーサナ→→ストレッチのポーズ→→シャバアーサナの手順を繰り返します。
ストレッチのポーズはそんなに沢山やる必要はありません。重要なのは副交感神経優位にするための一定時間のポーズの維持とシャバアーサナです。
これがリラクゼーション法としてのヨガのやり方です。
このヨガをやると副交感神経優位のリラックスの状態になり心身が瞑想に向くようになります。
最後のシャバアーサナの後に瞑想を始めましょう。
日頃に疲れがたまっていると、このようなやり方のヨガをしてシャバアーサナを長めにすると、すぐに眠くなることがあります。
ストレスなどの不眠にも効果的かもしれません。
動作をともなう呼吸法 ―― 足芯呼吸
落ち着いた呼吸をすることは、副交感神経を優位にしてリラックスするための簡潔な方法です。
呼吸法にもいろいろとありますが、ここでオススメするのは動作をともなった呼吸法です。
西野流呼吸法で提唱されている足芯呼吸は良いと思います。
瞑想の前段階としては足芯呼吸は優れていると思います。
私は朝起きた後に瞑想する場合には、水分摂取して、この足芯呼吸などをして体をほぐしてから瞑想するようにしています。
[ 呼吸法のやり方 ]
実際のやり方は動画で(著作権的にはどーなんだろー?)。2分20秒くらいから足芯呼吸の説明、5分30秒過ぎから「天遊」という動作の説明です。
西野流呼吸法には何種類か動作があるのですが、私がやるのはこの天遊を参考にした呼吸法です。
私は呼気も吸気も鼻からしています。
私のやり方による足芯呼吸を説明します。
原則として力まずに弛緩を心がけます。特に呼気を丁寧に。
1.立った状態から、一旦息を吐き(↑↑の天遊のように前屈しながらでも良い)ます。
2.そして足芯呼吸のイメージをしながら息を吸い腕を上げていきます。
3.呼吸を止めて腕を肩の高さまで下ろしながら意識を下丹田に収めます。この時に肛門・会陰部付近を軽く締め、中の空気も下丹田に収まるイメージです。
締めるのは力まず、軽くでいいです。
中の空気を力を入れて、下丹田に押し込むのではありません。
腕を肩の高さまで下ろすと、自然に空気も下丹田に収まるイメージです。
少し力が入るのは仕方がありませんが、力まないようにします。
すると少し腹圧の感覚が生じます。
4.足芯呼吸のイメージで、肛門・会陰部を緩めながら、吐きながらさらに腕を下ろします。
この時に腹圧のかかった状態から、肛門・会陰部を緩めながら足芯呼吸の要領で脚部に向かって呼気するようにイメージしながら呼気すると、自然に逆腹式呼吸のようになります。
つまり腹圧がかかり、吐く息の始めの内は腹部が膨れた状態になります。これで良いです。
息を吐いていくに従ってもちろん腹圧は抜けてくるし、腹もへこんでいきます。
無理に力んで腹圧や腹部が膨らんだ状態を維持しようとしたり、不自然に力んで逆腹式呼吸をしようとはしないで下さい。弛緩を心がけて下さい。
特に呼気は丁寧に、ゆっくりとです。
この足芯呼吸は上手くやれば瞑想への切り替えとして優れています。
さらに瞑想の初期の頃の訓練に最適だと思います。
この足芯呼吸ではできるだけ弛緩するとは言っても、姿勢を維持するために、また自然に逆腹式呼吸になるために緊張も保たれます。
足芯呼吸のこのような弛緩と緊張のバランスの訓練が、瞑想の初期の訓練に最適だと思うのです。
弛緩を心がけてこの呼吸法を繰り返していくと、自然に瞑想に似たような意識状態になっていくと思います。
これを何回かして心身が整ったら瞑想を始めます。
足芯呼吸のコツ
この足芯呼吸だけでも健康効果、自律神経調整効果はあると思っています。
瞑想の前にする場合には、少し注意点があります。
まずはリラックス、弛緩を心がけることです。
吐いて吸うだけなのですが、しかし呼吸法も奥深くて、熟練者の体験を聞くと興味が尽きないです。そして熟練者ほど弛緩の重要さを説く傾向があるように思います。
特に呼気の時に心身を、とらわれなく弛緩し放下脱落させましょう。
呼吸はゆっくりと落ち着いて。特に呼気を丁寧に。何回か繰り返すごとに、苦しくない範囲で、ゆっくりと静かに長いものにしていきます。
しかし呼吸の調節は、心のリラックスを妨げない程度にして下さい。
呼吸を止めますが、止める時間は長くしないようにして下さい。また力まないようにして下さい。
腹圧が少しかかり、肛門・会陰部を軽く締めますが、やはり力まないようにして下さい。常にリラックス、弛緩を心がけて下さい。
西野流呼吸法では「気」の話が出てきますが、これについては、とりあえずはここでは無視で良いです。
足芯呼吸のイメージは、これによって呼吸を深めるためです。
また足芯呼吸のイメージに関しても、私は大雑把な、いい加減なイメージしかしていません。全然 細かいことにはこだわってません。
リラックス、弛緩することがとても重要なコツです。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
私は朝に瞑想する時は、その前に足芯呼吸をすることが多いのですが、あわせてタントウ功(站樁功、立禅)を行うことも多いです。
タントウ功↓↓
タントウ功の姿勢はいろいろとあるのですが、要は立ったままでジッとする瞑想です。
足芯呼吸をして少しタントウ功、また足芯呼吸をしてタントウ功。
最後のタントウ功は長めにして、それから座って瞑想といった感じです。
ちなみに私の実践している瞑想法は、心を落ち着けるだけのシンプルなものです。
以前習っていた気功では、初級段階ではタントウ功が最も重視されていました。
コツコツと地道な修練を重視する気功で、その中国人の気功老師(先生)は雰囲気からして高い・深い気功の境地に達しているような印象がありました。
日本の気功ブームは去り、さらにその地道な修練について行けない生徒が多かったのでしょうか、現在はその気功教室はありません。
私も地道な修練から脱落した人です。続けていればなぁ、とたまに思い返します。