遊園地で働いていた時の仕事の工夫

遊園地で働いていた時の仕事の工夫

どうやら、かつての職場である「としまえん」が閉園するらしい。

私はとしまえんで乗り物の係員をしていました。
夏は暑くて暑くて辛いのにほとんど外にいなくてはいけないし、冬は寒くて寒くて厚着して着こまないと耐えられない。
理不尽なことでお客様に怒られることもある。
毎日同じ仕事の繰り返しだし、自分の担当の乗り物を増やす講習もなくなるからステップアップもできないし、暇でやることない時間が多いし、仕事の提案しても通らないし、やりがいやモチベーションは低下するばかりで、正直私にとっては良い思い出より嫌な思い出や辛い思い出の方が多い場所ではあったけど、やはりなくなってしまうとなると残念な気持ちではある。

毎日同じ仕事の繰り返し、ルーチンワークの中で私が見つけていた仕事の工夫をまとめてみました。

空き時間は徹底して清掃

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としまえんは水と緑の遊園地。
毎日毎日掃除しても枯れ葉などでいっぱいになってしまいます。
平日はお客様の来園も少なく、ぼーっとしていると何もしていない時間の方が圧倒的に長いくらいだったので、自分が担当する乗り物の周辺や運転席の中、乗り物などくまなく清掃しました。

やはり園内が汚いとお客様の心も荒んでしまうものだと思います。
お客様のため、というよりかは接客していた時はとにかくクレームを恐れていたので、自分の身のためにも拭き掃除掃き掃除をしていました。
あと、本当に冬はとにかく寒くて動いていないと死にそうだったので「生きるための掃除」でもありました。

身の回りを見てカバーかけなど積極的に手伝った

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夏なんかは特に急な雨に打たれたりするのですが、カバーをかけるタイプの乗り物は雨の中1台1台にカバーをかけなければなりません。
自分が担当する乗り物にはカバーをかけるタイプの乗り物がなかったので、雨が降ったらすぐ周りの係員の手伝いをするようにしていました。

あとは乗り物周りの清掃も手伝ったりしてましたね。
自分の担当する乗り物はわりと客入りが落ち着いているのですが、自分の周りの乗り物は結構人気なので掃除をしたくても手が回らない。
なので自分の担当する乗り物の周りだけではなく、他の乗り物周りまで足を伸ばして掃除してました。

身長制限や営業時間のアナウンスをこまめに行った

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遊園地で一番クレームになりやすいのは身長制限だと思います。
1cmでも満たなければ身長制限のある乗り物は乗れないわけですが、保護者の方はなんとしてでもご自分のお子さんを乗せたいのか、身長が満たないと行ってもなかなかご納得いただけませんでした。
中には怒鳴りだす人もいるほどです。
平日はのんびりしているとしまえんですが、ゴールデンウィークやお盆などの繁忙期になるとどの乗り物も30分~1時間待ちぐらいになり、それだけ待たされたにも関わらず身長制限で乗れなかったら最悪です。

そのため、身長制限についてのアナウンスは何度も何度も丁寧に行いました。
長い間お待ちいただいたとしても身長が1cmでも満たなければ乗れないこと、90cm以上で110cmに満たないお子様には必ず付き添いの方が必要なこと、身長を測った目印のリストバンドをつければ付けている限り再度身長を測りなおさなくてもいいこと、身長を満たしているか不安なら並ぶ前でも測るから測りに来てほしいこと。
身長のことでトラブルになることを極力抑えるために何度も何度もアナウンスしました。

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実際にアナウンスしていた身長制限の放送です。
「気をつけの姿勢で立ち止まることが難しいなど、こちらで身長測定にご協力いただけなかったため90センチ確認できないお子様も、安全のためご乗車をお断りしております」
これはお子様がふらふらして身長が測れなかったため断ったら怒鳴られたお客様がいたためです。
20歳以上のお付き添いが必要な旨を伝えているのは、中学生や高校生の兄弟
を付き添いにしようとするパターンが多いためです。

また、営業時間もクレームになりやすいです。
人気の乗り物は営業時間よりも前に待ち列を締め切ることがあるのですが、それがご理解いただけずクレームにつながることもあります。
そのため、営業終了時間が近づいてきたら本日の営業終了時間と、人気の乗り物は待ち列の状況によっては早めに締め切ることがあることを繰り返し伝えました

私の担当する乗り物のひとつであり、入社してから一番初めに担当した乗り物でもある「ミニイーグル」の放送設備は声がよく通るので、私がミニイーグルで案内すれば園内に響き渡るようです。

講習の時は具体例を出す

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としまえんのアトラクションスタッフは自分の担当の乗り物を増やすためには数日間講習を受ける必要があり、講習の結果その乗り物の担当として一人で運転・営業を任されるようになることを「免許を持つ」といいます。
そして、その講習を担当するのは既にその乗り物の免許を持っている人です。
私もスタッフの間、いろんな方々の講習を担当させていただきました。

教える時に気をつけていたのは、実際に起きたクレームや非常時の話など体験談を交えるようにしていたこと。
よくクレームになりやすいポイントを伝えることで同じようなクレームが起きないようにする、それと自分が実際に体験した乗り物の異常が起きた時のこととその対処法などを伝えることで、同じことが起きても対応できるようにしました

講習で習ったことは全部メモに取る

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乗り物の講習時は、基本的なこと以外にも細かいことまでプラスアルファ教えてくれる方がほとんどなので教わったことはすべてメモに取りました。

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全部メモに取ることで教えてもらったことを全部活かすことができるし、自分が教える側になったときも伝えることができます。

リストバンドにはイラストを描く

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としまえんでは、一度身長を測ったお子様には、身長を満たしていることを確認した目印としてリストバンドを巻きます。
お子様を持つお客様としては何度も身長を測られることがストレスになりますし、他の乗り物の身長確認ではOKだったのに、次に乗りに行った乗り物では身長制限NGで「前の乗り物は乗れたぞ!」とクレームになってしまうことがあります。
一度測ったら紙のリストバンドを巻くことで、そういったトラブルを防ぐことができます。

リストバンドには最低日付と担当者の名前を書けばいいのですが、サービスとしてイラストを描く担当者もいます。
ウサギやネコ、チューリップを描いたり、アンパンマンの乗り物ではアンパンマンのキャラクターのイラストを描いたりしました。

「見て見てー!ねこちゃん!」って自分の描いたリストバンドを家族に見せつけて喜んでくれた女の子がいたりして嬉しかったですね。
ただイラストを描くという些細なことでも喜んでくれる人がいることを実感しました。

座席が熱くなる乗り物にはタオルを

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30度を超える暑さになると、乗り物の座席はかなり高温になります。
中には座席が熱いことが理由で乗るのをやめる人がいるくらい耐え難い暑さです。
そんな暑い日は、快適に乗れるようにお客様に座席に敷く用のタオルをお貸ししました。
小さな工夫ではあるけど、少しでも気持ちよく楽しんでもらうためにはどうするか考えて工夫し行動することは大切だと思います。

お誕生日バッジをつけている人にはお祝いする

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まぁ当たり前のことなんですが、スルーしてしまう従業員もいます。
「木馬の会」という年間パスポートをつけている方は名前が分かるので、名前を呼んでお祝いしたりもしました。

どうしたら相手のためになるだろうか

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少しでもお客様が喜ぶにはどうすればいいか。
少しでも従業員が働きやすくするにはどうすればいいか。

仕事にやりがいは持てないにしても、一応自分なりに一緒に働く従業員や接するお客様のことを考えて工夫をしていたし、今の仕事にもそのマインドは生きているかもしれません。
案内の放送で話す内容を考えたり、仕事のことを事細かくまとめたノートは今でも宝物です。

長い歴史の中ずっと営業してきたとしまえんの残りの営業日もあとわずか。
閉園してしまう前に1回くらいは遊びに行って、働いていた時の自分を思い返してみたいです。


最後まで読んでくださるなんて! うれしい~ありがとうございます! これからも思考まるだしの文章を書いていきます(^o^) コメントあればお気軽にどうぞ~♪