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としまえんの乗り物係員の一日

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かつて練馬区にあった遊園地「としまえん」。
94年間多くの人に愛されてきましたが、2020年閉園しました。

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私は94年の歴史の中、2年間だけ乗り物の係員として働きました。
正直なところ、仕事にやりがいを感じられなくなってしまい退職しましたが、楽しかった思い出もあり、たまにとしまえんの夢を見ると懐かしさと切なさが込み上げます。


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閉園直前の8月には、遊びに行ってたくさんお土産を買い込み、今住んでいる部屋に飾って大切にしています。


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としまえんで働いていたのは4年以上前のことなので、もうすでに大分思いでも色褪せ、何もかも忘れてしまいそうです。
せっかくの楽しい思い出が消えてしまうのはもったいないし、愛された遊園地に関わっていたのだから少しでも多くのエピソードを届けたい。
少しでも記憶が鮮明なうちにとしまえんのことを記事として残しておこうと思い、たくさんの写真とともにとしまえんの乗り物の係員の1日についてご紹介します。

乗り物の係員のお仕事

主な仕事は、乗り物を乗りに来るお客様のチケットの確認、お子様の身長確認、安全確認、乗り物の運転です。

出社

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タイムカードを切って一日がスタート。
まずは私服から制服に着替え、控え室に向かいます。

朝礼

朝礼では全体への周知事項、前営業日の乗り物担当から乗り物の異常などについての引き継ぎ、最後は指差称呼という掛け声で締めます。

開園までの準備

開園までの間、周囲のベンチや乗り物の座席などの軽い清掃、乗り物の試運転を行い、異常の有無について報告します。

開園

営業時間が始まるとお客さんが一斉に園内に入ってきます。
乗り物に乗られるお客様がいらっしゃったら、チケット等の確認をして、正しい乗り方をされているか安全確認を行い、お客様の準備が整ったら運転を開始。
運転中は危険な乗り方をされている方がいないか、運転席などから注意深く見守ります。
運転が終わったらお客様をお見送りし、座席などに忘れ物がないかを確認します。
一日は基本これの繰り返しです。

乗り物に異常が発生した時はただちに乗り物の修理を行う担当に連絡し、指示をあおぎます。
また、雨など天候に異常がある時は、乗り物の営業を続けても問題ないか、一旦中止するか決めます。

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園内が空いていてお客様がいないときは延々と周囲の掃き掃除をしたりしています(冬は寒すぎて、掃き掃除などで体を動かさないと死にそうになります)。

休憩

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会社員は同じ時間になったら一斉に休憩をとりますが、乗り物の係員は、休憩だからとそのまま運転手がどこかに行ってしまうと休憩の間お客様が乗り物に乗れなくなってしまいます。

そこで、休憩中は交代要員の係員がいろんな乗り物を回ることで、乗り物の営業を止めることなく、係員が休憩をとることができます。

乗り物の係員は暑い日も寒い日もずっと外にいなければならないので、室内で休めるこの休憩時間が至福の時間でした。
夏は塩分補給のためソルティライチばかり飲んでましたね。
控え室の中ではご飯やお菓子を食べながら同僚と雑談したりして、お腹を抱えるほど笑うこともありました。

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上の写真は、同僚のお弁当が見事に全部茶色で思わず撮った写真。

閉園

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閉園後は、売り上げ金額の計算、乗り物の閉め作業などを行い控え室に戻ります。
各乗り物の売上の計算が合ってるか確認したり、周囲の清掃などを行ったりして、最後に夕礼をしたら解散です。

仕事の後

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としまえんは勤務時間が大体みんな一緒なので、仕事の後はよく飲みに行ったりしてました。
休みの日もほぼ一緒なので、プライベートの時間もよく一緒に過ごせたのが楽しかったです。

写真は、としまえんのすぐ隣にあるめちゃめちゃ美味しいカレー屋さん「マサラ」。
仕事終わりにちょくちょく行ってた思い出のお店です。

働いていて好きだった瞬間

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夏は一日中暑いし、夏休みでお客様も多くて忙しい、営業時間も長く一番大変な時期です。
とにかく営業中のルーティンを何度も繰り返し、少しずつ日が暮れて夕方になってくると涼しくなって、夜が近づくと乗り物のイルミネーションを点灯させる。
点灯させた瞬間、「ラストスパートだ!」と気持ちが上がり、一日の最後の運転を終えたときはいつも達成感に満ちていた気がします。

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また、冬のイルミネーションの時は、イルミネーションのBGMを聴きながら帰るのが好きでした。あの音楽がまた聴きたいなぁ。
(この写真は真夏のイルミです。)

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としまえんは良くも悪くも、季節や天気をたっぷり感じながら働けるのが青春って感じでしたね。
いろいろ思い出しながら書いてたらまたちょっと働きたくなってしまいました(無理だけど)。

今となってはかけがえのない毎日だった

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当時の私にとっては、毎日毎日同じことの繰り返しの毎日でしたが、今振り返るともう味わうことのできない、かげかえのない日々を過ごしていたんだなとしみじみ感じます。

転職したこと自体に後悔はないし、もっと長く働いていればよかったとも思いませんが、もっと全力で働けば良かった、もっと濃い時間を送れば良かったなとは思います。

今日という日は二度とこない、始まりには必ず終わりが来る、いつもと同じ日常が明日以降も続くとは限らない、そういう想いを胸に毎日全力で働いていきます。

最後まで読んでくださるなんて! うれしい~ありがとうございます! これからも思考まるだしの文章を書いていきます(^o^) コメントあればお気軽にどうぞ~♪