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父はたぶん頭がおかしかった

父はよく怒鳴る人だった。
そして自分からは折れない人で気性も荒かった。

私は自分が間違っていないのに怒られたりするのは許せなくて、そんな父にも平気で歯向かっていた。
当然、大ゲンカになる。

高校生ぐらいの時に、父とのケンカで馬乗りされたこともある。
大人になってから胸ぐらをつかまれたこともある。

本当に父とは気が合わなかった。

父と母が別れたあと、父から「家へ入れ」と言われた。
母が世話をしていた2匹の犬の世話をやってられないと。

私は、夫と幼稚園児の息子2人とでアパート暮らしをしていた。

「そんなこと急に言われても無理だ」
と断ると、
「じゃあ犬を連れていっておまえが世話をしろ」
と言う。

「アパートだから無理だよ」
と言ったら、
「それなら犬は処分する」
と。

こんなことを電話で荒々しく言われ、私は思いっきり反論しながら涙が出てきた。
反論されたものだから父もさらに怒鳴り口調になった。

電話を切った直後、今度は祖母から電話がきた。
祖母は父と同居しているので、電話のやりとりを聞いていたらしい。

「処分なんてしないから平気だよ。ああ見えて、そんなことをやれる人間じゃあないよ。犬はおばあちゃんが面倒見てるから、おまえたちは気にしなくていいよ」

わんわん泣いたのを覚えている。

だが結局、私たちは実家へ同居することになる。

同居したものの、やはり夫が耐え切れなくなって出て行った。

その後は、姑が息子たちを連れて行ったきり返さなかったり、夫が会社のお金に手を出してしまったり、私は私でまた父とケンカをして家を出たりと、ガチャガチャで何が何だかわからなかった。

父との同居がなければ、私は離婚まではしなかったかもしれない。
父と母が別れることがなければ、こんなことにはならなかったかもしれない。

それより、こんな父を見て育ってきたから、男の人に敵対心を持ってしまうのではなかろうか?

気に入らないとすぐに「出ていけ!ここは俺の家だ!」という父親のせいで『男=威張る』みたいな図式になるのでは?

ああ、この図式はあの社長のせいもある。

一人で自分の家に住んでいる限りは「出ていけ」なんて言う人はいない。
そこだけは、今の私の中でひとつ安心できている点だ。

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