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“人はなぜ先延ばしをしてしまうのか”を考えてみた

先延ばし、先送り。
とも似たような言葉だが、日常生活や仕事でこういう経験のない人は世の中にいないだろう。

私も常に葛藤してきたし、ある程度訓練してきたので、改善した部分もあるが、子供の時のままの悪い習慣が抜けないことも未だに多々ある。

子供の頃、典型的なのが、夏休みの宿題だ。
皆さんも心当たりあるだろう。その頃の夏休みは40日間ぐらいだったと思う。宿題は、担任の先生によって違っていたとは思うが、毎年の記憶として、日記帳があった。だいたい休みに入った直ぐは、日記は毎日書く。そのうち、書かない1日ができる。後でまとめてかこうとなって、気付いた時には、1か月分空白だった。

また、休み明けに提出をする宿題もあった。例えば、昆虫観察や押し花づくり。こういうのは自由研究だったように思うが、流石に夏休み全部の日数は必要がないとしても、最低でも1週間はみっちり必要になる感覚だったように思う。

こういう宿題は、たいてい、8月の末日の前の日ぐらいから慌ててつじつま合わせになる。
仕事とは違うので、出来が良くないものは成績が悪くなるだけだった。

私にとっては、こういう記憶がいまだに鮮明だが、私たちは、実は、毎日のように先延ばしをしている。簡単に言うと、先の健全なことより目の前の不健全ことを衝動的に選択する。

久しぶりに、タイトルに惹かれて買った本がこれだ。
“ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか”

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実は、さほど内容には期待していなかったが、それに反して、とても充実した納得感のある内容の本だった。
それにしても、著者は、自分自身が先延ばし癖に悩みながらも、このテーマを10年以上研究しているようだ。

世の中には、本当に変わった人と言うか、不思議なことに没頭する人が沢山いるものだ。
おかげで、こういう分野に関しても、本を読むだけで、共感できたり、納得したり、何よりも、同じような悩みや葛藤の中で、人間は生きていることが分かる。

だから、今のままでよいや。と思えば、この本の狙いとは違うだろう。
やはり、人間は動物ではあるが、人間らしさと言うのは、そういう本能に抗って、何かを創造したり、豊かな暮らしを求めたりするものだとしたら、この本を実践する価値は相当あると思う。

皆さんも、きっとなんとなく気づいている通り、どうも私たちの先送り、先延ばし傾向は、人類として誕生した頃の本能的なものだ。

何においても目の前の事しかする必要がなかった時代、逆に言うと、目の前の事をすぐに対処できないと、生命が危ぶまれた時代に必要だった能力だ。

つまり、生きるために本能と直結する衝動的な行動で十分だったのだ。著者によると、脳の役割で言えば、辺縁系のみが支配していて、前頭前野はまだ発達していなかった頃の話である。

この本の中には、あの有名なアリとキリギリスの話が出てくる。
人間もやはり、本能的にはキリギリスなのだ。どうやって、アリさんになるか。
これが人間らしく生きる上で、とても大切なポイントだと思う。

あと、もう一つ、経済メカニズムの話。
今のマーケティングの世界は、人間がすぐに飛びつく、すぐに行動する本能を刺激するような仕組みになっている。

体に悪いと思っていても、目の前の脂肪過多につながる食事に手が出る。タバコが健康を害すると分かっていても、一時の気持ちよさを求める。

今の世の中、先延ばしを助長する生活環境が拡がり続けている。しかも見えないところで巧妙に。
そして、地球環境の破壊についても先延ばしを続けている。

これからは、一人一人の自覚と行動にゆだねられていると痛感する。
実践についてのヒントは、ぜひ、この本読んで欲しいと思う。

以上