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ITプロデューサーという仕事の今

ITが世間で騒がれだした20数年前、SE(システムエンジニア)の役割が、問い直された時でもあった。SEとは、PG(プログラマー)と対で存在する。
いわゆるコンピューターを動かすソフトウェアを作成する仕事である。
一戸建てのオーダーメード建築に例えると、建築士と大工さんという感じでもある。
建築士の役割は、顧客の要望を聞いて、お好みの家を設計する。パースや設計図面を完成させる。そして、その設計書に基づいて、大工さんが家を建てる。もちろん、実際の施工現場では基礎や設備屋さんなど色々な職人が関わる。

建築の場合、顧客は、よっぽどのことがない限り、家の構造や建築の法律を知っている訳ではない。だからシンプルに顧客としての住まい体験をベースに、どんな家にしたいかの要望を出す。もちろん、限られた予算というのを前提に。

一方、SEというのは、当該ソフトウェアを作成する顧客と言うのは、その対象業務のプロである。SEの役割はおのずと、その当該業務に精通したお客様からヒアリングなどを通して、どんなソフトウェアを設計するかということになる。設計の基は、顧客にある。
もちろん、SEが対象業務に精通していれば、より良い設計書が出来上がる。
また、ここまでの話は、IT活用という企業の取り組みが、オーダーメードで自社の業務にあったソフトウェアを開発する話である。
だから、この当時のSEは業務に精通すればするほど、評価された。

あれから、企業経営におけるIT活用の現場は大きく変わった。
クラウドサービスに代表されるように、すでに多くの企業が活用している業界別、業務別の標準機能を搭載したソフトウェアを活用する方向へ動いてきた。
私も20年以上前から、オーダーメードよりもソフトウェアパッケージを使うことを推奨してきた。そして、自然とASP、SASS、クラウドという流れとなった。こうなって来た中、どんどんSEの役割は無くなっていく。つまり、ソフトウェアの設計は、ソフトウェアパッケージのメーカーやクラウドサービス会社では必要だが、企業にIT活用を提供する会社には必要ないように思える。
もちろん、官公庁や大企業から始まり、中小企業もいわゆる昔のソフトウェアを使っている会社が沢山ある。それは自前で自社仕様に合わせて作っている。こういうソフトウェアのメンテナンスは今しばらく必要なので、ここではSEは活躍できる。また、世の中には標準化されていない独自のソフトウェア開発という仕事も少なからずある。ここにもSEは必要だ。

だが、総じて、20年以上前のようなSEは必要がなくなる。当然、それと連動する仕事であるPGの仕事も減っていく。
世の中はDX対応で喧しい。IT活用はどんどん進んでいく。
そして、クラウドサービスにしても、テレワーク環境にしても、選択肢が増える一方である。流石に、顧客が自ら適正な選択をするにはハードルが高い。
昔のSEでは、役に立たないが、これからはIT活用を総合的に指南するITプロデューサーならば対応できる。
私の言うITプロデューサーとは、専門特化した技術だけでなく、幅広く、IT業界に精通しつつ、企業の経営陣との連携で、経営戦略、経営計画に合致したIT活用を指南する。
その中心の考えは、あるものは使う。ないものは登場するのを待つ。それではどうしてもダメな時だけ、自前で作る。そして、その外販も視野に入れておく。
こんな仕事の領域が必要な時代が来たと思っている。

以上

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