今でも父さんは

父さんは母のことが大好きだった。あまり人付き合いがない父にとって母さんが全てだった感じだった。

お母さんが亡くなって7年以上が過ぎた。


昨日は晩御飯を食べている時に「最近、よく昔を思い出すのだけどその度に胸が締め付けられるようになる場面があるんだよ」と話し始めた。

まだ結婚する前、父さんが初めてお母さんを北海道の実家に連れて行った時の話なんだ。俺の母さん、康平のおばあちゃんはもうその時は重い病で病院に入院していたんだ。だけど「この人と結婚するんだよ」と報告したくて実家に帰った。

おばあさんはその日だけお母さんに会うために家に戻っていたんだよ。でも起きていられないから他の部屋で寝ていたんだ。

それで父さんの兄さんやおばさんたちに紹介した後、姉さんが「じゃあ、ちょっとおばあさんを連れて来ましょうかね」って言っておばあさんが寝ている部屋に行っておばあさんの脇を支えて立たせようとしたんだ。

すると、お母さんはすっと立ち上がってすっと姉さんについて行っておばあさんの脇を一緒に支えて一緒に歩いたんだよ。

俺はそれを見てとてもびっくりしたんだよ。なんかとても自然にすっとそういうことをするお母さんを見て「この人のこういう素直さはなんて素晴らしいんだろう」と胸が締め付けられるような気持ちになったんだよ。あれがまさにお母さんっぽいところだったんだよ。

、、、とそんなことを僕に話してくれた。

父さんの目には涙が浮かんでいた。今でも父さんは思い出話で「お母さんはね、、、」と「お母さん」という単語は口に出すだけでも涙ぐんでしまうのだ。

父さんはお母さんの夢をほとんど見ることがない、たまには俺の夢に出て来て欲しいのに、、と愚痴っていた。たまにはお母さん、父さんの夢にでてあげてね。


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近藤康平/絵描き・ライブペインティングパフォーマー。鳥取大学大学院農学研究科にて森林学を学ぶ。絵本書店員・絵本編集者を経て、今は絵描きです。絵描きの日々、旅の話、考えていること、絵の手法、畑のことなど書いています。よろしくお願いいたします。【web】kondokohei.net
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