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サッカー/日本×イラン前半を振返る/準々決勝/AFCアジアカップ2023(開催は2024)


1.「先発」

2度目の地上波放送となる準々決勝まで勝ち進んだ日本代表、準々決勝の相手はFIFAランクでアジアの2番手につけているイランでした。
実力で言えばアジアトップクラスのチーム、戦前から日本とイランどちらが勝つのか読めない試合になるのは分かりきったことだと思います。
では、先発から話をしていきます。
日本の先発は大きな変化がないように思いましたが、注目点はGKに鈴木彩艶(スズキザイオン)、左MFは前田、あとは右SBの毎熊あたりでしょうか、彩艶に関しては森保監督が大会を通して成長してほしいと考えているのだと思います。
今は色々言われていますが、恐らく将来必ず日本にとって貴重な存在になると考えて、今から多くの経験を積ませたいのでしょう。
それ以外で考えられるのは、もう別のGKを試すタイミングではないと言う考えもあるのだと思います。
前田については、まず伊東純也がチームを離れ右MFが堂安になったところから考えて、常に両サイドのMFはタイプの違う選手を起用し、片方に必ず足の速い人を置くのが森保監督の特徴だと思うので、右に足の速い選手を置けないぶん左に前田を置いたのかと思います。
これに関しては様々な理由が考えられると思いますが、監督のこれまでの先発起用方法から考えてこんな理由ではないかと思いました。
毎熊は前回と前々回の内容から菅原と比較した結果、毎熊の方が良いと判断されたのでしょう。
もう準々決勝まで来ると選手を試してなどいられないのが当たり前ですから、信頼を勝ち取った選手として毎熊が先発起用なのでしょう。
他に気になる点は、イラク戦しか見ていない私にとって伊藤洋輝は若干不安要素であるということです。
インドネシア戦、バーレーン戦と地上波放送が無かったため観ていないし、情報もほぼ入れていなかったため不安なところではありました。
あとは、前線選手の交代カードが手薄なことと今回もイラク戦同様にイランの応援が目立つところが気になる点でした。
イランは前の試合でPK戦までいって勝利したため消耗は激しいですが、実際に戦ってみないとわからない部分でもありますし、イラク戦のようにイランも応援を力に向かってくるのが想像できたので怖い部分だと思いました。
試合前に気になった点は以上です。

2.「試合開始」

スタートから両チームボールの奪い合い、競り合いで激しさを見せ緊張感も感じられる中、イランのほうが結果的にファウルになっても構わないという雰囲気を漂わせながら競る姿が見られ、球際は若干イランの強さが目立つ感じがしました。
序盤日本が自陣ゴール前でボールを回すと、イランの前線4人が日本の最終ライン4人にマンマークのような形でつき、前線からプレッシャーをかけ奪う、またはボールを繋がせない意図が見られロングボールで回避すると、強靭なイラン最終ラインが待ち構え跳ね返すといった狙いが見えたように思いました。
日本がボールを繋ぎプレスをくぐり抜けたり、ロングボールのあとセカンドボールをおさめた場合には、イランが自陣に戻りブロックを敷くような形で守っていたため、状況に応じた守り方がチームの共通認識として徹底されている感じがしました。
しかも、ブロックを敷きつつもボール保持者に素早くプレッシャーをかけられていて抜け目ない印象を持ちました。
では、日本はと言うとイランの素早い対応で基本的にビルドアップからの攻撃が多い印象があり、中央ラインを使いながら縦パスに食いつくというか素早いプレッシャーに来るイランに対して、ダイレクトプレーとそれに反応する味方のサポートというか動き出しで、イランのプレッシャーをかいくぐりゴールを目指しますが、さすがにイランも対応が早く最悪ファウルですぐ止めてくるので、中々ペナルティエリアに侵入するのは難しいといった感じがありました。
攻撃でボールを奪われるとすぐに切り替えて、日本も最悪ファウル覚悟で相手を止めるくらいの勢いをもち守備をしていたので、カウンターを食らう心配は当然ありましたが何とか防げていたと思います。
ですが、アジアの強豪イランですファウル後のリスタートもボールを保持した状態からの攻撃が強力です。
ビルドアップからサイドを使いしかけると、それに日本はプレスで対応して奪おうとします。
するとイランは後ろに下げプレスで偏った日本の逆サイドに、対角線のロングボールを入れて日本陣地の深くまで入り込みます。
そして、前線の4人が日本の最終ラインと一対一の状況を作り、日本最終ラインにカバーリングできる選手を作らせずにボールを放り込んで、ゴールもしくはスクランブル的な状況を作り出そうとしているように見えました。
日本の今までの戦いからゴール前にボールを入れると、何かミスをする可能性は十分にあるとイラン側が考えても何も不思議では無いために、最終ラインに一対一の形を取っていたのか、それとも単純に競り合いならイランのほうが強いという自信からなのか分かりませんが、比較的シンプルで日本が嫌がるであろう攻撃を仕掛けてきたのは間違いないと感じました。
両チームともに相手の長所を潰して短所を攻める作戦があったと思いますが、日本は比較的持ち味を出そうという感じの方が強く見えて、イランは積極的に日本の短所を攻める姿勢が見えた気がしました。
これは、イランが自分たちの特徴と日本の短所を相性がいいと考えて、どんどんそこを突こうと思ったのでしょう。
実際に日本の最終ラインにロングボールを放り込まれると、負ける姿も目立っていたと思いますし、アジアカップが始まって日本が常に抱えていた課題というか問題だったと思います。

3.「日本の先制点」

両チーム決定的な場面を作り出せないまま時間は進んでいきましたが、チャンスは急に訪れました。
ここまで特に日本が押していた訳でもなく、流れが来ていた訳でもありませんでしたが、前半27分に守田のゴールで日本が先制しました。
内容としては、右サイドで日本がファウルを受けてリスタートすると、すぐにハーフライン上で左サイドにボールを回し、中央ラインから左サイドに流れた守田に伊藤洋輝がパスを出すと、イラン右ボランチがそれに食いつき右MFと一緒にライン際で囲い込み奪いに来ました。
一旦は守田のサポートに近づいてきた遠藤にパスを出し危険な状況を回避しますが、もう一度伊藤洋輝からパスを受け前を向いた守田が、継続して食いついていたイランの右ボランチに対して、勝負する姿勢を見せたところで一瞬のスキを突き、食いついて空いていた右ボランチの裏のスペースを利用する形で中央の上田めがけパスを出しました。
それに上田が反応し少し下がりイランの左CBを背負いながらボールを受けると、パスを出した直後前に走り出し右ボランチの先手を取っていた守田が、上田のポストプレーから大きなワンツーの形を作りだし、ボールを受けドリブルでイラン選手の間を縫うように、中央の左CBが空けたスペースめがけ侵入していくと、ペナルティエリアに入ったところでシュートを撃ちました。
するとイランGKは足に当てましたが、ボールは弾かれてもなお勢いが無くならずにゴールへ吸い込まれていきました。
この得点は、一瞬守田が囲まれたところで奪われると、ショートカウンターの危険性もあったと思いますが、冷静に対処して守田が右ボランチの食いつきで生まれたスペースを、見逃さず勇気を持って仕掛けたことで、上田に引き出されたイラン左CBの裏にスペースが生まれ、足を止めずにボールを受けゴールまでの侵入経路を、見失わなかった守田の見事なゴールだったと思います。
イランは激しいプレッシャーをかけていたことが仇となり、食いつきすぎてブロックのバランスを崩したことが失点の要因だったと思います。

4.「日本の流れ」

得点後も互いにやることは変化していない感じでしたが、イランは失点したので当然攻撃のとき、激しさや今までよりエネルギーを使い攻めてきたように思いました。
ですが、日本の攻撃になりビルドアップの状況になると、ブロックを敷きますが失点前までの食いつきは少し控え気味になり、最終ラインも失点からかラインを上げれなくなった感じがありました。
そうなると日本はビルドアップのときに、今までより縦パスを入れる隙間やボールを受けるスペースが生まれ、攻撃のリズムが少し良くなっていく感じがありました。
その中で久保がマークされないようなポジション取りをして、ボールを受けイラン選手を引きつけながら、イランブロックのバランスを崩しにかかり、それに反応できる選手を待ちますが現れず、久保はスペースに動き出す選手にパスを出したいように見えましたが、意図が伝わる前に囲まれてしまいボールを失ったり、失いそうになる場面が見られせっかくのチャンスを、イメージの共有が出来ないことで潰してしまうところがありました。
奪われたボールは早い切り替えで奪い返し危険の目を摘み取っていましたが、久保のプレーを簡単に言えば守田がやったことを久保がいち早く再現して、ボールを受けた瞬間に上田にポストプレーを要求したかったり、イランの選手が食いついて空いたスペースに誰か走り込んでほしかったのですが、上田はその前の動きで裏を取るプレーを見せてしまい、ポストプレーに入るタイミングを失ったり、周りの選手達も気づくことが出来ずに、チャンスと流れを無駄にしてしまう場面が見られました。

5.「イランの変化」

その後は板倉の競り合いからボールロストで、シュートまでいかれる危険な場面を作られたり、日本が左サイドからの攻撃で上手くいきそうな場面を作ったりしていると、イランがボランチの選手を1人CBの間に置いて、両SBに少し高いポジションを取らせ変化させてきました。
形としては3−3−4のような形になり、これにより日本は4−4−2の形でブロックを敷きながらプレッシャーをかけていたのですが、イラン最終ラインは3枚で日本の前線は2枚のため、プレッシャーがかかりきらずにイランがビルドアップをしやすくなっていきました。
そして負けているイランは奪われる危険性を下げ安定したビルドアップから、前線の4枚の選手めがけロングボールを蹴り、それを空中戦で勝ちイランボールにすると、日本のゴール前まで入り込んでいき、日本にとって危険な攻撃を仕掛けるようになりました。
この辺からイランは、板倉のところで競り合うことをあえてしてきたように思います。
板倉も競り合いに勝てず思うように動けていない感じがありました。
前半も終わりに近づいてくるとイランは更に変化をしていき、ビルドアップから両SBも上げて、前線を6枚にした完全なパワープレイの形で攻めてきました。
パワープレイでサイドにロングボールを入れると、比較的フリーで受けたSBの選手がそこから味方に繋ぎ、押し込んでくるようになりかなり危険を感じる場面もありましたが、なんとか日本は守りきり前半を終えました。

6.「前半まとめ」

前半は両チームとも激しく、スキの少ない展開で締まった感じの内容だったと思います。
ですが、攻撃面で日本が一瞬のスキを突いて得点できたのはとても大きなことでした。
欲を言えば、久保が作り出そうとしていたチャンスを実現できていたら、2点目も取れた可能性は十分にあったと思うので残念でなりません。
守備では、前田が前半の終盤に良い働きをしてチームを助けていたと思いました。
ですが、気になるのは同じく終盤イランに最終ラインが、競り合いで負ける場面も多く作られて、特に板倉が負けて苦しんでいるように見えたのが、後半にかけての不安要素だと思いますし、イランは後半更に力で攻め込んで来ることが考えられるため、どう日本が対処していくのかが求められる点だと感じました。

後半につづく

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