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「遺産分割調停の手続きはどのように進むの?④」

遺産分割調停の時にトラブルになりやすいこと

今までお話ししてきたこと以外で、遺産分割調停でトラブルになりやすいことをお話しします。

使途不明金が生じている場合

被相続人Aさんの預貯金を、子であるBさんが生前から管理していた。
Aさんが亡くなった後で、Aさんの生前に、預貯金から多額の引き出しがなされていることが発覚した場合。

この引き出しについて、BさんはAさんのために使ったと説明をしましたが、他の相続人はそれでは納得ができません。

この場合、この「生前に引き出された預貯金」をどう処理するかという問題が起こります。
この処理について相続人全員で合意ができない場合には、改めて民事裁判で決着をつける必要があります。

また、ここが解決できないと具体的な遺産分割の話し合いに進めない場合も多いので、最終的な解決までには時間がかかることが予想されます。

葬儀費用を相続人が負担している場合

被相続人Cさんが亡くなったところ、その葬儀は子であるDさんが喪主として執り行った。
その際の葬儀費用は一旦Dさんが立て替えた

被相続人の葬儀費用を、分割前の遺産から清算できるかについて争いになることがあります。

葬儀費用は被相続人が亡くなった後に生じるものです。
そのためから、当然に遺産から清算ができるものではありません(被相続人が生前に葬儀会社と契約していた、などの事情があれば別です)。

相続人全員が遺産から清算をすることに合意をすれば清算できることになりますが、それができない場合にはこちらも民事裁判で決着をつける必要があります。

他に遺産の存在が疑われる場合

被相続人Eさんが亡くなり、遺産分割調停で遺産が確認された。
ところが、相続人の一人から「遺産分割調停で遺産とされているもの以外にも、遺産があるはずだ」と主張がされている

例えば、昔、両親はこの銀行に預金をしていたとか、もっと預貯金があったはずだ、ということで主張がされることがあります。
これは前回お話しした「遺産の範囲」や上記使途不明金ともかかわってくる問題にもなります。

この場合、家庭裁判所は積極的に独自に遺産の調査を行ってくれるわけではありません。そのため、他にも遺産があると主張される場合には、その方が証明を行う必要があります。
ただ、この遺産の調査などを行っている間、話し合いは進みませんので、それだけ時間がかかることになります。

まとめ

このように遺産分割調停においてはトラブルになりうることが、いくつもあります。
最近は認知症の両親の口座を、お子さんが管理をしているというケースも多いことから、使途不明金が問題になりやすいと感じています。

ただ、これらの問題についても被相続人の方が遺言を作成しておくだけで解決できる場合がほとんどです。

今回の記事をきっかけに遺言の作成についてご検討いただけると幸いです。

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