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世界は意外とやさしかった

今日は外での用事続きだった。美容院に行ったり、食材の買い出しをしたり、病院に行ったり。

美容院はいつものところのいつもの美容師さん。もう数年来のお付き合い。その時々のわたしの「こうしたい!」をいつもイメージ通りに、そしてけっこうな頻度でイメージ以上にいい感じにしてくれる。

今日も大満足な仕上がりにしてもらった私は、ご機嫌で街を歩いていた。耳にはイヤホンをし、音楽を聴きながら。すると。道端で明らかに道に迷っていそうな男性が声をかけてきた。

「すみません、XXってどこでしょう?」

残念ながら、私はその場所を知らなかった。

「ごめんなさい、ちょっとわからないです」

私がそう伝え立ち去ろうとすると、たまたま私の後ろを歩いていた女性に私たちの会話が聞こえたらしい。
 
「私、わかりますよ。XXなら、ここをまっすぐ行って…」

去り際、女性が男性に丁寧に説明しているのが聞こえた。

ああ、やさしいなぁ。

女性のやさしさに触れ、私はまたご機嫌な足取りで歩みを進めた。これからコンビニに寄って、書類のコピーを取らなくてはならない。

コンビニのコピー機には先客がいた。結構な量のコピーをしている。これは時間がかかりそうだ。次の予定までにはまだ少し余裕があったので、後ろに並んで、棚の商品を眺めながら順番を待つ。すると。コピー機を使用中の男性が声をかけてきた。

「あの、あと15枚くらいあるんで、もしすぐ終わりそうだったらお先にどうぞ」

私はその親切な申し出に少しびっくりしたが、私がコピーする書類は3枚くらいだったので、お言葉に甘えさせてもらうことにした。コピーを終え、男性にお礼を言う。

「ありがとうございます。助かりました。」
「いえいえ。」

人を待たせているのが落ち着かなかったから故の申し出だったのかもしれないが、私は思った。

ああ、やさしいなぁ。

テレビを見ると、痛ましい交通事故や殺人事件のニュースで、世界は悲しみや憎しみにあふれているように見えるけれど、世界はそんなことだらけではない。今日の世界は意外とやさしかった。


ありがとうございます。いつかの帰り道に花束かポストカードでも買って帰りたいと思います。