デザイナーがマーケターと同じ目線になるためにしたこと
デザイナーとしてキャリアをスタートさせ、プロダクションからクリエイティブエージェンシーと、広告制作業を中心としたクライアントワークに携わってきました。その後、自社サービスの開発や運用に関わってみたいと思い、前職であるリクルートに入社しました。
入社当初は、内製組織を拡充しているタイミングということもあり、デザイン部ではなく実質マーケティング部直下のアートディレクターとして、自社サービスのマーケティングコミュニケーションを担当していました。それまでの環境とはガラッと変わり、関わる社員はほぼマーケターか事業企画のBizDevメンバー。当然ながら壁にぶつかります。コミュニケーションが上手く取れず、プロダクションやエージェンシーとの違いに戸惑いました。その時に戸惑いながらも、自分が取り組んでいったことをまとめてみます。
取り組み①:知識をつける
・マーケティング用語の理解
マーケティングに関する知識が殆どない状態だったため、ミーティング等で交わされる「この施策のROAS*は?」「CPA*0%下がりました」という会話についていけません。まずは基本的な専門用語から、マーケティングの概念まで、書籍やウェブサイトを活用し勉強していきました。
・一次情報を取りに行く
担当しているサービスのユーザー像がわからなければ、何をコミュニケーションすべきかもわかりません。実際のユーザーへのインタビューを始めとする定性調査や、定量調査、計測ツール等で実際の数値を追うことで、実態を掴んでいきました。またユーザーの置かれている環境や、業界のドメイン知識なども合わせて情報収集していきました。
取り組み②:ロジカルに考える
・言語化を惜しまない
デザイン制作の現場にいると、良くも悪くも制作物中心のコミュニケーションになってしまいがちです。その前に、背景・課題・目的・ゴール(場合によっては仮説)を明確にし共通認識を得た上で、結論であるアウトプットを提示し、その際には必ず理由もセットで丁寧に言語化して伝えるよう心掛けました。
・ツリー構造を意識する
事業計画をブレイクダウンし、自分の担当領域で何をすべきか把握するだけでなく、課題を細分化し捉えることで解決策を提示しやすくなります。
例えば「LTV*を上げたい」というやや抽象的なお題に対して、「アップセル*施策をしたらどうだろう」や「離脱を防ぐために期待値とのギャップを埋めるコミュニケーションに変更しては」などいくつか考えられてきます。
取り組み③:マインドセットを変える
・Howの前にWhy/Whatで目線を揃える
これまでのデザイナーとしての経験上、自分の価値提供はアウトプット(Howの部分)にあると思ってきました。そのため、最初の頃はマーケターと会話していても「なぜやるか?」「何をやるか(言うか)?」のWhy/Whatの理解をそこそこに、「どうやるか?」のHowの話ばかりしていました。Why/Whatを重視するマーケーターとは当然話が噛み合わず、なぜ噛み合っていないのかもその時は理解できていませんでした。
徐々に戦略全体を意識しながら会話できるようになることで相手との目線が揃い、信頼されるようになっていったと思います。
こちらの記事がとても勉強になったので、あわせてどうぞ。
・相手の立場に立った提案を行う
広告費や開発費に対してどれだけの成果を上げられたか、BizDevのメンバーは特に数字に責任を負っています。責任があるからこそ、「決める」ことにはエネルギーを必要とします。担当者が不安であればあるほど「ここをもう少し目立たせた方がいいんじゃないか」「やっぱりこっちももっと訴求したい」と、結果的に振り回されてしまうデザイナーも少なくないのではないかなと思います。
そんな相手の立場を想像し、上手くエビデンスを用いた「決めやすい」提案を意識していきました。ここで役立ってくるのが、取り組み①での一次情報です。各種調査結果を併せて提示していくことで、決断する際の納得感が生まれやすくなります。
まとめ
今振り返ってみると、こうしてまとめることができましたが、当時は不安な中とにかく試行錯誤してやってみるしかない状況でした。
これらの取り組みを通して改めて一番重要なことは、お互いの専門性を尊重できる信頼関係を築いていくことだったのかなあと思います。
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