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なぜテック企業のロゴは似がちなのか | Brand Exploration vol.2

先月、米Facebook社の社名変更に伴い、新ロゴが発表され話題となりました。
変更前のロゴは2019年に刷新され、社名ロゴは大文字表記の下記ロゴが使用され、アプリは(現在も同じく)従来のままの小文字ロゴが使用されていいます。

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Meta社のロゴに見られるような、いくつかの特徴を持つロゴはここ数年でよく目にするようになりました。その傾向は特にテック系の企業に顕著です。
それはなぜなのか?を、今回は考察してみようと思います。

まず、その特徴とは?

1. 全体の印象として、要素が削ぎ落とされシンプルであること
2. シンプルであるだけでなく、ある一定の太さがあること
3. ロゴタイプのベースとなっている書体がサンセリフ体であること(なおかつジオメトリック系のものが多い)

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シンプルで強いロゴが求められる理由

テック企業の提供するサービスは、デジタルデバイスやメディア上でのものがほとんどです。当然ロゴもそこに乗る形となってくるわけですが、その際にはファビコン(下記のようなブラウザのタブに表示されるアイコン)やアプリアイコンのように小さく表示されても識別できる必要があります。

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また、紙や製品に印字する目的で使用されるロゴとは違い、見え方のコントロールができません。印字する場合はロゴが綺麗に再現できているか、ある程度確認した上で世に出すことができますが、デジタル上では、ユーザーの使用するデバイスや環境に依存するため、どう見えているか完全には把握できません。
そのため、小さくてもきちんと識別できる耐久性と、様々な環境でもなるべく理想に近い形で表示できる再現性が必要です。要素を削ぎ落としたシンプルで太さのある強いロゴは、耐久性と再現性を高めることができます。

サンセリフ体が多いのはなぜか

ロゴタイプのベースに使われる書体のほとんどがサンセリフ体である理由のひとつとして、上記と同じく、要素を削ぎ落としていった結果ということが挙げられます。
「サンセリフ(Sans-Serif)」とは「セリフ(Serif)」のない書体(「サン」とはフランス語で「ない」の意味)のことですが、セリフがないことで再現すべき詳細要素がひとつ減ることになります。

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また、書体としてサンセリフ体よりも古い歴史を持つセリフ体は、厳格さや高級感を演出することが得意ですが、場合によっては古臭い印象を持たせてしまいます。
サンセリフ体の中でも、幾何学的な図形を元に構成されている「ジオメトリック・サンセリフ」は、モダンで近未来的な雰囲気を感じさせることが得意な書体であり、テック企業の思想を表現する書体として相性が良いのだと思います。

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まとめ︰ロゴの役割の変化

ロゴはブランドを視覚的に認識するために重要な要素のひとつです。その起源は、所有する家畜に焼き印を押し、他人の家畜と差別化したことから始まったと言われています。
現代のテック企業におけるブランドとは、単に視覚的に他と異なるだけでなく、サービス全体を通した体験そのものがユニークである必要があります。ロゴが担う役割は、あくまでもその一部に過ぎないのだと考えます。
また前述したように、小さくても識別可能な「アイコン」の存在はとても重要です。ロゴそのものでサービスやブランドを差別化するのではなく、アイコンとして表示された場合にユニークな存在であれば良いとも考えられます。

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