吹っ切れた時こそ
気が付けば就活したのはもう四半世紀も前…
それでも自分の人生に於いて、とても重要な時だったし記憶も色濃く残っている
私は氷河期と言われる世代の中心で、
世の中が「あ、バブル弾けたんだ?景気悪くね?」と気づき始めて
何もかもが縮小していく時代でした
先輩たちは内定は降って来るものに近く、(当時は)ハガキを出して資料請求すれば向こうから来てください、と言われていたそうだ
しかし、自分達の時代になった途端、その門はほぼ閉められ学歴フィルターなるものが大っぴらになってきた時代でもあった
実際、何度資料を請求しても無視した企業も多数(今でもそこの物は買わない)
それでも、自分なりに頑張っていたが、最終面接で落とされる事多数で気づけば内定の無いのは自分だけになっていた
7月にもなり、流石にまずいとは思いつつ学業をサボり倒したお陰で、テストから手を抜くわけにもいかず、焦りが増す日々だった
そして、社会人の先輩から海で遊ぶお誘いが来た
何だかどうでもよくなりつつあった自分は、その誘いに乗り2泊で海水浴に行った
日焼け止めなど塗る頭はなく、2日間丸焼けになった私は全身火傷の状態で帰ってきた。
翌日は小さな食品卸の会社の説明会が1社
そこも何度か説明会はしていた様だが、時期も時期なので直接電話を掛け、まだ募集はしているのか?説明会はするのか問い合わせ、アポを取ったのだ
Yシャツを着ると全身皮を剥いで服を着ているのかと思う位に痛く、電車のシートに座って服が擦れると激痛だった
そして、会社に着くと案内されたのは社員食堂の片隅
人事のおじさん(当時はそう思っていた)が前に座り、パンフレットを広げ説明を始めた
半分ほど過ぎた辺りで、私は手を挙げて話を止めた
「あの…内容はほぼ読めば分かるので、正直な話、この時期にまだ採るおつもりはあるのでしょうか?」
と、今思えばなんと生意気で失礼な態度でしょうか
ですが、その人事の方は目を丸くしながらも相好を崩し
「だよね!私もそう思ってた!」と
「君は面白いね!君みたいなタイプ初めてだし、ウチに合うタイプだよ!
ぶっちゃけ、もう一人位欲しいと思ってた所だし、ウチ来ない?」
と、その場で内々定の話に
2時面接を兼ねて、役員と倉庫とか会社案内をするんだけど、他に2名呼んでるが、本命は君
二人には言っちゃだめだよ!と言われ、当日駅からタクシーに役員と私、
二人とその人事の方(後に部長と知る)
タクシーの中で、他の内定は?とか一般的な事を聞かれ、じゃあ内定なので後日書類を送るね!と言われ
何だか悪いような、嬉しいような気持ちで見学をした
そこからはもう、ハガキで資料請求→会社説明会→書類選考→面接など時間もないので、片っ端から直接電話しまくり、枠があるなら会ってくれと攻勢をかけた
もうぶっちゃけて振り切ってしまった人間に怖い物などない
最終面接の待合で、会議室に座り担当のお姉さんから
「何か必要な物はありますか?」と聞かれ
落ち着きたいので灰皿が欲しいと、また失礼極まりない要求をし
持ってきてもらった
後日、知ったが会議室は通常禁煙だそうだ…
面接中に社長から
「タバコ吸うんだって?私も吸うし良いよ、ここで吸って」
と言われるが、
これは罠なのか、本気なのか全く区別が付かず、取り敢えずテーブルに煙草を置くと
「吸って良いって言ってるだろ!」と怒られる
今の時代で考えたら、なんて無茶苦茶なのか
そして、30分の予定が空気を読まない社長と読めない求職者の語らいは
気づけば4時間以上も話し込み、最後にまた私は
「で、私どうなんですか?」と無作法をぶちかまし
「え?これだけ話して不採用なんてしないよ、時間の無駄だもの」
と良くわからないままに採用となった
それ以外にも、その会社には面接のために京都⇔東京の自由席チケットをもらっていた
それまでも何度か他の会社でも支給されていたが、
京都から自由席はなかなか座れず、
何か最終面接に対して、時間など希望はありますか?と聞かれて
座れないから指定席のチケットをください、と失礼をぶちかました
こんな私でも、あの超氷河期に数社から滑り込みギリギリセーフで内定を1か月で貰えた
かっこ付けたり、良く見せようとしたりした所は全部落ちた
ありのままで行ったら全部受かった
その後の転職もほぼ一緒
自分を出して落ちたら仕方ない、それは奇をてらって悪目立ちするのではなく、社会経験の不足から来る失礼なんて仕方がない
特に、採る側の年齢になってそれは特にそう思うようになった
マナーは必要、でも出来ないから落ちるモンでもない
出来る限りはすべきだと思う、寝ぐせはつけないとか綺麗なシャツ着るとか
それはいつだって、人に会う時の最低限のマナーだから
要望だって言えばいい、言って落とすならそんな会社入ってもモノ言えない会社だと思う
大きく見せなくって良い、そんなの見透かされてるから
伊達にサラリーマンで何年も飯食ってないのよ、オジサン達だって
自分には必ず価値がある
臆さず隠さず見せつけて行けば、その原石の価値を見抜く人が必ずいます
結局行かなかったけど、最初の食品卸の会社は今でも恩を感じてます
あの経験がなかったら、今の私は存在していないから
もっと書きたいことあるけど、これからの人には自分らしく堂々として欲しい、意味不明なマナーなんて知らなくていい、素直で真っすぐ向いて未来を感じさせてくれる人、そんな人たちにオジサン達は出会いたい
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自己肯定が爆上がりします! いつの日か独立できたらいいな…