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お帰りなさい、ロックヒーロー

思わず「半分、青い。」の鈴愛のようなことを言ってしまう。
夢なのか?現実なのか?どっち?どっちどっち?!

8月15日(水)
転職してから初めて使用した有給は10年ぶりに活動を再開したELLEGARDENへと捧げられたのでした。

10年前の2008年、彼らは活動休止を発表した。
9月の新木場スタジオコーストでの休止前ラストライブは当然のごとくチケットが取れなかった。

7月のある日、学校の後だったと思う。母がリビングで「お姉ちゃん、ちょっと目瞑って」とにやにやを無理やり抑えたような顔で言ってきた。なんだろう、怖い、と若干びくびくしつつ目を閉じて数秒待つ。「開けていいよ」の声で目を開けると、目の前のテーブルに置かれていたのはASIAN KUNG-FU GENERATIONが主催する夏フェス、NANO-MUGEN FES.2008のチケットだった。そう、ELLEGARDENが出演する日の。

今まで数々のプレゼントをされてきたけれど、あの日以上の驚きと感動のあるプレゼントはなかなか無いんじゃないかなあと今でも思う。「え!?」と何度も口に出し、目はチケットと母の顔を何度も行き来した。
わたしの通っていた高校はアルバイトが禁止だったため、フェスに行くという発想が金銭面的にそもそも無かったのだ。

最初で最後になるだろう、母と2人で行ったフェスは今でも鮮明に思い出すことができる。2008年の7月21日、わたしは初めてエルレを観た。横浜アリーナの上から彼らのライブを観ていたが、ライブ自体もお客さんも熱量が凄まじかったのを覚えている。ロックバンドだ、と思った。わたしにとってのロックヒーローだ、と。


あれから10年が経った。
解散ではなく、活動休止。メンバーのインタビューも読んでいていつか復活するだろうと思ってはいたものの、いつかが来るのかは不安だった。
ボーカルの細美さんが新しくthe HIATUSを始めた時までは良かったけれど、MONOEYESを始めるってなった時には「あれ、もうエルレの復活ってないのかな」と思ってしまった。

だから復活のニュースを見た時には、ちょっと、信じられなかった。

Twitterで数々のバンドマンやライブ好きの友達が、興奮しているツイートをしているのを見て、だんだんとこれは現実なのか、と胸が高鳴っていった。


チケット争奪戦は覚悟していたものの、最初から最後まで全ての申し込みが外れてしまった。「やっぱり駄目だった…」と友人にLINEを送ると、返信は画像が1枚。それは当選通知のメール画面だったのだ。
感謝してもしきれない。。

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OAを務めたONE OK ROCKがこれまた良かった。
TAKAが「俺らにとってのロックヒーローはハイスタじゃない。BOOWYじゃない。間違いなくエルレガーデンだった」って話していて全力で頷いてしまった。事前告知一切無しで16年ぶりにハイスタがCDを出した時も音楽ファンとして興奮したけれど、わたしにとってはそれが今回のエルレなんだ。
エルレをリスペクトしていることが真っ直ぐに伝わって来る良いライブだった。

復活ライブが対バンだって発表された時に、対バン相手は当時(2008年まで活動していた頃)から親交のあるバンドだろうと勝手に思っていた。アジカンかなあ、ストレイテナーかなあ、ってね。だからワンオクだって知った時は「あれ、そうなの?」とちょっと拍子抜けした部分もあった。
だけど今年のアジカンのツアーでゴッチが「エルレのいない10年間、その穴を埋めたのはワンオクだったからね」というMCをしていて、その言葉を『Take what you want』の時に思い出しながら聴いた。
本当だ、ゴッチの言った通りだ。

あれ、なんだかわたしはエルレに関してすごくアジカンに救われているな…?


そして、いよいよ…!


1曲目はきっと『Supernova』だろうと思ってはいたけれど、いざ「There is notheing I can do as well〜」と細美さんが歌い出すと、もういきなり涙が止まらなくなった。すごい、わたしの目の前に4人がいる!エルレガーデンがいて、エルレガーデンの曲を歌っている!
最初は涙が止まらなかったものの、気がつくと心の底から楽しんでいた。だって全曲イントロから身体が反応する。全曲口ずさめる。

途中で細美さんが歌い終わった後にしみじみと「良い歌詞だなあ」ってへへへと笑っていたけれど、わたしも自分で思っていた以上にエルレの歌詞に今まで散々背中を押されてきたんだなあと思いながらライブを観ていた。

間違ったことが いつか君を救うから
数え切れないほど無くして また拾い集めりゃいいさ
『ジターバグ』

一体何度『ジターバグ』を聴いたんだろう。高校生の頃のわたしを一体何度奮い立たせてくれたんだろう。

間違いとか すれ違いが
僕らを切り離したって
僕らはまた 今日を記憶に変えていける
『虹』

いまの自分に歌詞がリンクしてぼろぼろに泣いたのは『虹』だった。この曲はどのライブDVDを観ても高橋さんのドラムを映すシーンが印象的で。だからこの曲が始まるときにスクリーンに高橋さんが映し出されたときはぞくっとした。
「今日」の部分を細美さんが拳を握って力強く歌ってくれたことをわたしは忘れないんだろうな。

重なって 少し楽になって
見つかっては ここに逃げ込んで
笑ったこと 思い出して
We're Missing We're Missing
We're Missing
『Missing』

「懐かしい曲やります」ってそもそも10年ぶりに復活した人が何言ってるんだ、ぜんぶ懐かしいわ!とへらへら笑っていたら大好きな『Missing』であっという間に泣かされた。

最後に笑うのは正直な奴だけだ
『金星』

この歌詞から始まる『金星』は細美さん自身も、正直不安になったと話していた。わたしもこの曲を願いのように聴いていた時期があった。大丈夫、正直者は救われる。大丈夫。と自分に言い聞かせてお守りのように何度も聴いた。
「真面目すぎるから」とか「損するよ」とか散々言われてきた。自分より周りを優先させがちでそれ故に傷つくこともあった。だけど、やっぱり信じていたい。大事なことなんていくつもないから。ほんのすこしの大事なことをぎゅっと離さないで守っていけるようになりたい。

今後の活動について何も語られなかったけれど、わたしは欲深くも「また観たい」と思ってしまった。次はライブハウスで観たい、なんて。まだまだ聴きたい曲もあるし。(とはいえこの日は2時間弱で24曲も演奏していた。全曲名曲…)
「今日だけはロックヒーローになってもいいかな」って細美さんが言っていたけれど、わたしにとってはとっくにロックヒーローだ。

いわゆる「世代」じゃない人にも聴いてほしいなと思うので、今度お勧め曲を紹介するnoteでも書きますね。何かきっかけがないと聴くこともなかったりしますし。特にエルレは曲数も多いし、まず何から聴けば?って人も多そう。逆にハイスタ世代の人はハイスタのお勧めを教えてくださいな。

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平成最後の夏、いちばんの思い出できました。
お帰りなさい、エルレガーデン!

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