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そのひとにしか語れない言葉がある -コンテンツ会談-

先月 #妄想noteフェス の企画で「リアルコンテンツ会議」が見たい、と妄想全開で書いたら、有難いことに妄想がいくつか現実になりました。
妄想だけど、妄想じゃなかった!

さらには「コンテンツ会談」まで実現しまして、コンテンツへの愛と熱量が高い松本侃士さんと2人でお話もさせて頂きました。光栄すぎる!

主観と客観。コンテンツ記事の書き方が違うわたしたち2人に共通していたのは、コンテンツについて書くひとがもっと増えたら楽しいよね、という想いでした。



主観と客観のバランス

ライブの感想だったり、自分の体験とコンテンツをリンクさせて書くことは出来ても、コンテンツそのものについて語るのって難しいなあと思います。わたしはそれがとても苦手。ある1曲について書くとか、そういうの。でも松本さんはそれがとても上手いんです。

松本さんの強みのひとつは、俯瞰の視点

「音楽シーンや映画史の”文脈”っていうのを俯瞰して見てきたので。職業病でもあるんですけど、全体の流れや背景を俯瞰して見てきた自負があります」

わたしはどちらかというと、コンテンツにどっぷり浸かりながら書くタイプです。書く時の視野は狭く、映画やアニメについて書くときはその世界観だったり登場人物に自分を投影して、主観として書くことが多いかもしれません。

一方の松本さんは新卒でロッキング・オンに入社。ご自身でも職業病、と仰られていますが、松本さんの音楽レビューは主観ではなく客観的にその曲について書かれているのにそれが単なる情報になっていないのが惹かれるポイント。アーティストに対するリスペクトがあるからこそだと思います。

全体の流れや背景。
そのアーティストの歴史だけではなく音楽シーンの中での立ち位置等まで見て書かれているのは、わたしには真似出来ないし本当にただただ凄い。そしてそれは多くの音楽に触れていないと出来ないことです。

「人より多く触れていたというのがベースとしてあるかもしれません。全てのアーティストに対して詳しいわけでは決して無いので。本当に自分の好きなアーティスト、好きな曲のことを書いていて、趣味でしかなくて。自分の得意領域だからっていうのがあると思います」

「十分幅広いと思いますよ。そうじゃないとベスト50とか書けないので。笑」

「あれは…気が滅入りましたね。笑」

ベスト50の記事は途中から有料記事なのですが、本当に「売れるnote」だなあと思います。ただのコンテンツレビューではない、「温度を感じられる読み物」なんですよね。


主観と客観。
その点だけ見れば、わたしたちは真逆の書き方かもしれません。

「意識していることといえば、客観と主観の両極があるとしたら、主観100だと悪い言葉ですけど独りよがり、客観100だと血の通っていない、ただの情報になっちゃう。その両極のどこに落とし所を見つけるのかにいつも悩んでますね。だから記事ごとにターゲットを毎回想定して書いています。僕の場合は、米津玄師を何も知らない人というよりは、前のアルバムも聴いていて今回のアルバムも興味を持っているっていう人に向けて、じゃあこのアルバムどうですか?って勧めるような、そういうのが僕の中で勝ち筋としてひとつあるかもしれません」

「記事ごとに毎回ターゲットを想定している」っていうのはコンテンツレビューを書くうえで重要なポイントのような気がします。

わたしの場合はそのコンテンツを知らないひと向けに書くことが多いです。そこに少し足し引きを加えます。

たとえばハイキューについて書いたnoteは、ハイキューという作品自体を紹介するのが目的だったのでメインキャラクターを中心に構成しました。
そこに縁下というレギュラーメンバー以外を足したことによって、元からハイキューを好きなひとにも「わたしだから紹介したポイント」として楽しんでもらえるかなあ、と。(縁下、メインじゃないとか言っちゃってごめん…許して…)

足すのではなく引いた例としては、映画『友だちのパパが好き』について書いたnoteです。noteを読んでから観てくださった方がいた場合に「書いてあった通りだった」で終わってしまうのはつまらないなと思ったので、あえて登場人物の1人に全く触れずに書きました。映画を観たらもう1人やばいのがいた、って思ってもらえた方が楽しいなあと思ったので。


「何が正解とか悪いとか良いとかじゃないと思うんです。そもそも正解とか良い悪いを決めたくないな、っていうのがあって、みんなが思ったことを思ったように語れる文化ができれば良いと思っているので。僕は本当に主観100で書けるひとを尊敬しています」

「主観100で読ませられる記事を書けるひとは本当にすごいですよね」という話もしました。100じゃなくて70、80くらいかもしれないけれど、ちゃこさんとか。
わたしと松本さんは書くnoteの9割がコンテンツについてですが、普段違うもの(エッセイや小説)を書いている方が書くコンテンツ記事にビリビリくることありますよね、と。

アーティストは自分の時間や魂を捧げて作品を作るけれど、同じようにレビューにも作品に対する想いが捧げられているのを感じるし、そんな濃い記事がタダで読めるnoteは本当にすごい。宝の山だ。

「僕はこういうひとたちには絶対叶わないなあってずっと思ってます。僕は主観寄りの記事が苦手なんだなあって。良い悪いの話じゃないですけど」

わたしは松本さんの向上心に敵わないなあ、と思いました。
ひたすら上を向いている姿勢、格好良いです。


レビュー自体がひとつの作品

そんな松本さんに「レビューを書く時に心掛けていることはありますか?」と質問をしてみました。

「音楽とか映画の感想や思ったことを言葉にして語るひとがもっと増えていったら良いなと思っていて。誰かのための道標になるような、そういったひとのきっかけになるような記事を作りたいと思っていて」
「たとえば、The Beatlesって半世紀以上愛され続けているバンドだから昨日今日知った女子高生の私が語るなんておこがましい、みたいなのあるじゃないですか。でも絶対そのひとだからこその観点や視点、今のそのひとだからこそ響いた部分とか、そのひとにしか語れない言葉があると思っていて。その音楽レビュー自体がひとつの作品なので、そういうのがもっと増えていったら良いなあって思っています」

わたしも「個人的には」っていうのがコンテンツレビューのいちばんの面白い部分かなあと思っています。そのひとが、そのコンテンツのどこに惹かれたのか、どういう出会いがあったのか。
個人的にはこのキャラが好き、個人的にはこのシーンが好き、とかそういうのがもっと読みたい。個人的な「好き」を知りたい。

「カルチャーを伝えたい、が自分の一番上にありますね。誰でもとっつきやすいところにボールを投げているので”わたしも書いてみよう”が増えたら嬉しいなと思っています。
音楽や映画などのカルチャーを言葉にして語るひとが増えていったら良いなと思いつつ、実際に増え始めている現状が嬉しいし、それにまた刺激を受けつつ、って感じですね」


コンテンツ記事での挑戦

松本さんは誰もが知っているアーティストについてよく書かれています。知っているアーティストのことを改めて好きになるような、そんな文章なんですよね。

「このアーティスト実はこんなすごいところがあるんだぜ、を紹介できた時が嬉しいし、背伸びして挑戦している時もありますね。”好き”とは違う角度で伝えることを挑戦しています」

日々、挑戦をし続けている松本さん。今後はもっと有料記事を増やしていきたいと考えているそうです。
やってみると面白いですよ、と言われたのでいつか挑戦してみたいなあと思いつつ、わたしが有料記事を書くのは当分先になるかもしれません。長期目標にします。

現在わたしが挑戦しているのはコンテンツエッセイ
音楽の記事は比較的読んでもらえそうですが、アニメだと「このアニメの話か」と入口でそもそも読まれにくくなるケースがあるかもしれないなと思い、エッセイから入って途中でコンテンツ紹介を挟む、という書き方に挑戦中です。

「コンテンツについて書くひとの宿命ですよね」と言って頂けたので、コンテンツ記事を書くひとのあるあるかもしれません。

タイトルに作品名を入れるとTwitter等でシェアしてもらった際に目に留まりやすくなりますよね。それを捨ててまでコンテンツエッセイとして書く内容なのか、そこに悩みながらも現時点で3記事書きました。共感してくださる方がいれば、よければご自由にハッシュタグお使いください。

【コンテンツエッセイ】
1、今にも落ちてきそうな空の下で
2、「憧れ」に間違いなんて無いんだよ
3、悔しさを忘れてしまった君に
(何の作品かは読んでからのお楽しみ!)


noteでコンテンツ記事を書く特権

コンテンツ記事ならではのポイントに「鮮度」も挙げられるかと思います。

映画だったら上映後すぐ、ライブだったら終わってすぐ。
その新鮮でホットな勢いのままスピードをとるか、それとも量や質をとるか。早ければ良いってものではないけれど、長ければ良いってものでもない。

noteのSEOが強くなっているという話を聞いてからダッシュボードを見てみると、なるほど、確かにコンテンツ記事のアクセスが前より良い気がします。

ちょっと前まではnoteでコンテンツ記事は読まれにくいなと思っていたのですが、最近は昔書いた記事もキーワード検索で読まれやすくなっているように感じます。

たとえばGoogleで「アジカン」と入力して検索すると、

松本さんのこの記事が上位に出てきます。(すごい!)

わたしも昔書いた『耳をすませば』のnoteがやたら読まれるなあと思って色々検索してみたのですが、どうやら「コンクリートロード」で検索すると上位でヒットするようです。

コンテンツ記事は細く長く読まれる傾向にあります。だからこそ長く読まれ続けることを想定した上質な記事を書いていきたいというのが、わたしと松本さんの共通の想いです。

どのコンテンツが後から人気が出るのかもワクワクします。これはコンテンツについて書くわたしたちの特権であり、楽しみのひとつ。

いま読んでもらうことだけではなく、いつか読まれるかもしれない、ということを今後はより意識して書いていきたいなあと思います。



松本さん、有意義で楽しい時間をありがとうございました!

そして同じく妄想を現実にしてくださった、左頬にほくろさん長谷川晃子さん、改めてありがとうございます。読みたいとリクエストしたものを書いて頂けて贅沢な体験でした。


さて、これで終わりではありません!

愛するコンテンツについて、コンテンツを愛してやまない方々と、なんとオンラインイベントをやることになりました!どひゃー!

オンラインイベントをやる側になるなんて、とドキドキしております。映画について楽しくおしゃべりしましょう、という集まりですのでお気軽にご参加くださいな。
緊張していたら笑い飛ばしてくださいね。

みんなでサタデーナイトを楽しみましょうっ!



改めて妄想を現実にして下さった皆様ありがとうございました。

これからも各コンテンツへ、惜しみない愛を。


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