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「明治・大正・昭和 不良少女伝 -莫連女と少女ギャング団」著・平山亜佐子 読書感想文

内容は題名の通りで、出だしはまるで大学の卒論のようだった。
本の最後に主要参考文献の羅列があるのだが、それの多いこと。
スマホで読んでいたので、量が多く感じたのかもしれないが、卒論感が最後まで色濃く出ている。

ひとつに不良少女といえど、やはり分類化はされているようで、興味深かったのは中間層にそれはいなくて、富裕層と貧困層に多いということ。
特にこの本では富裕層出身の少女たちの悪事が連ねられていた。
その証拠と言っては何だが、だいたいの不良少女たちが女学校を出ている。
「ええとこのお嬢さんがこんなことして」みたいなギャップが大衆に喜ばれるのは今も昔も変わらないようだ。

また、少女たちが悪事に手を染めるきっかけや理由は今とほとんど変わらないのが面白く、人間というのは本能的な部分はあんまり進化しないものなのだなと再確認した。

私が痺れたのは、不良少女たちのあだ名。
「ジャンダークのおきみ」「カルメンお静」「夜嵐お節」「満州おふみ」。
など、たまらん名前が次々と出てくる。特に「夜嵐団」の「夜嵐お節」とは何とカッコいい。また、昭和に入る頃には、不良集団のリーダー選びは腕っぷしより美貌が優先されたとか。その演出も何とも日本らしいなと思った。

少女たちのやったことは窃盗や美人局など許されることではないが、中には親に朝鮮へ娼妓として売ると言われ、男装をして逃げる道中で罪を犯した者もおり、同情をせずにいられない側面もあった。

親の勝手で売買された子供も多くあった時代に、一人で、または徒党を組んで「親の気持ちや知るかボケ」と言わんばかりに駆け抜ける少女たちの姿を想像すると、「逃げろ!大人の手の伸びないところへ」と応援したい気持ちになるのだった。

https://1003books.stores.jp/?fbclid=PAAaYD5-dW3z1eCaTBh54TrarRjzGoT15zVvLJ-RyajQ0Gs3EMcRaOmpNdczY

この本を見つけた本屋さん。神戸大丸近くの古い雑居ビルにあります。こじんまりとした雰囲気が熟れています。
私は老眼ゆえ、読んだのはKindleにて。




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