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田舎の公立小中学校からケンブリッジに行った話 - その1

タイトルの通り、私は田舎の公立小中学校に通い、その後いろいろないきさつを経て、ケンブリッジ大学の大学院に進みました。その経緯を少しずつ書き綴ろうと思うのですが、まずはなんでこんなことを書くのか、説明したいと思います。

なぜこの記事を書くのか

大きな理由は1つです。地方出身の人たちに、人生の選択肢を増やしてほしい、ということです。

きっかけはこの記事でした。

「底辺校」出身の田舎者が、東大に入って絶望した理由

この記事内にある言葉に、深く頷きました。

  • 田舎者は、田舎に住んでいるというだけで、想像以上のハンディを背負わされている。

  • 文化と教育の地域格差が、想像以上に大きかった

  • 大学レベルの教育を受け、文化的にも豊かな人生を送れたかもしれない田舎の子供たちの多くが、その選択肢さえ与えられないまま生涯を過ごすことを強いられている

  • 大学を「高校の次に進む学校」として捉える機会がない

  • 田舎と都会で根本的に異なると思われるのは、「文化」や「大学」といった存在が視界に入るかどうか、という差である。

東京、横浜、大阪といった大都市圏で育った人にはいまいち感覚が分からないのかもしれないです。同じような境遇に育った自分には共感できる点が多かったです。

特に最後の「文化や大学といった存在が視界に入るかどうか」という点は重要だと思いました。田舎に住んでいると、文化に触れる、大学という機会を知ることから、疎外されていることもあると思います。

実際に大学に進学するかどうか、海外留学するかどうか、という差ではありません。そういった選択肢が存在することを知っているかどうか、という差です。記事にあるように、この差が田舎と都会で大きいのだと思います。

私の場合は、最終的に海外に留学し、世界的に有名な大学で勉強できたことで、人生が大きく好転しました。もし海外留学していなかったら、どうなっていたのか恐ろしく感じることもあります。ですが田舎の公立小中学校に通い、そのまま田舎の高校に進学していたら、海外に留学するという選択肢を思いつきすらしなかったと思います。この記事では、昔の私と同じように地方に住んでいる人たちに、こういった選択肢がある、しかもその選択肢は実現可能である、ということを伝えたいと思います。また、地方出身の人だけでなく、都市圏に住んでいて大学進学を考えている人たちにも、海外留学という選択肢があることを伝えたいです。

誤解してほしくないのですが、全ての人に海外留学すべきだとか、地方に残ってそのまま就職するのは良くない、などと言いたいわけではありません。都市に住んでいる人だけでなく、地方に住んでいたとしても海外留学という選択肢もある、その選択肢を知った上で、将来のことを決められるようになってほしい、という事です。

すでに海外留学を考えている、という方はatelier basiをまず覗いてみてください(私は関係者ではないです)。海外大学への学部進学を無償でサポートしてくれる団体です。他にも似たような団体があるかもしれません。

この記事で書かないこと

海外大学へ留学するための試験対策、受験の仕組み、その他入学のためのテクニックに関することは書きません。私が知っているのは何十年も前の仕組みですし、イギリスの留学についてしか知りません。情報が正確でない可能性が高いですし、アメリカ、中国、フランス、などなど他の国への留学事例についてはわからないことの方が多いです。留学に興味を持った方は上に書いたatelier basiなどの団体に相談をするとか、オンライン上や書籍にある留学に関する情報を集めてください。

この記事で書くこと

田舎の公立の小学校から始まって、ケンブリッジに行くまでを順を追って書いていこうと思います。こうすればケンブリッジに行けるというわけではないですが、こういうルートもあるのかという点で参考になるのではないかと思います。また、個人的な経験から役立ちそうなことや、後々振り返ってやっておいてよかったことなどは書いていくつもりです。

特に転機となった出来事については詳しく説明していくつもりです。

どれぐらいの田舎だったのか

詳しいことは今後書いていきますが、まずは大体どのような境遇で子供の頃育ったか、それが理由で後々感じたギャップなどを軽く説明しようと思います。

出身地の特徴

まずどれぐらい田舎だったかというと、こんな具合です。

  • ○○市ではなく、○○郡○○町

  • 人口は数万人規模。企業の工場が多くある町。

  • 学校は全て公立。高校は1つだけある。

  • 保育園しかない。幼稚園はない。

  • 沿岸地帯で、海側は工場が並び、陸側は田んぼが多い。昔できた電車の駅を中心に街が広がり、以降はもともと田んぼだった地域が宅地化していき、住宅街が駅周りから郊外に移動するという、典型的な地方。

  • 住民は工場で働くか、電車で1時間ぐらいの中核都市に通勤して勤務する人が多い。なので駅には快速が止まる。

  • 図書館はある。体育館もある。ただし美術館、博物館はない。

  • 音楽ホールはない。もちろん人気ミュージシャンのライブなんかはこない。

  • 当時は全国区の大手塾はまだなかった。多分今もない。

  • 英語を話せる人がいない。中学の英語の先生と、英語塾の先生ぐらい。

  • 外国人に会ったことがない。初めて会ったのは小5の時に通学路で。

  • 同じ学年で飛行機に乗ったことがある人が一人もいない。海外に行ったことがある人も一人もいない。

公立の学校しかないので、中学までは99.9%が住んでいる学区の学校に通学していました。数年に一人ぐらいの割合で、私立中学に行く人がいました。どうも勉強ができるやつは私立中学というところに行くらしい、という情報しかなく、周りの友達も含めて私立中学校を進学の選択肢として認識している人はほぼいませんでした。

国際性もかなり低い町でした。英語を話せる人も周りにおらず、海外に行ったことがある人すら稀でした。今でも覚えているのは、教育委員会か文科省のアンケートなのか、夏休み明けなどに先生が休み中に海外に行った人、飛行機に乗った人、というのを教室で生徒に挙手させて聞いていたことです。もちろん一度も手が上がったのをみたことがなく、どうせ誰もいないんだから聞くだけ無駄だろうと毎年思っていました。

田舎を出て困ったこと

いずれ書く予定ですが、人生の転機のひとつが高校です。電車で1時間半ぐらいのところにある、都市部の学校に通うことになりました。この時に、これまで田舎であったことの文化の違いや生活習慣の違いを知りました。例えばですが、

  • 都市部では塾友達というのがいる。

  • 私立中学校はおろか、私立小学校に通っていた奴もいる。

  • 目が悪いやつはメガネではなくコンタクトレンズをしている。

  • 男でもピアノを弾けるやつや、バイオリンを弾ける奴がいる。

  • 田んぼを見たことない奴がいる。

  • すでに大学進学のために勉強をしている奴がいる。

  • 英語を話せる奴がいる。

などです。特に塾友達という概念を知ったのは高校に入ってだいぶ経ってからでした。どうも同じ中学でないと言っているのに、入学式の時から仲良さそうに話している人たちがいるのには気づいて、転校して昔小学校や中学校で一緒だった人たちなんだろうか、にしてはそういう人が多すぎるな、と全然理解ができませんでした。

まとめ

特に地方に住んでいる人たちに、多様な選択肢を提供したい、という目的で書き始めました。もっと田舎に住んでいる、そこまではひどくない、などあると思いますが、かなりの情報格差があったことは理解してもらえたのではないかと思います。もちろん地方に住んでいる人だけではなくて、都市部に住んでいても国内の大学しか目標になっていない人たちにも、海外で学ぶ機会を知ってほしいです。私の個人的な経験をもとにしているので、地方に住んでいる人向けの情報に偏ってしまうかもしれませんが、できるだけ都市部に住む人にも役立つような情報も書ければと思います。


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