田舎の公立小中学校からケンブリッジに行った話 - その7

今回は留学先の大学をどうやって選ぶのか、ということについて紹介します。イギリスの大学の選び方についてです。他の国の事情はよくわからないのですが、多少参考になる点はあるかもしれません。

イギリスの大学選び

何を学ぶか

日本の大学とイギリスの大学選びで大きく異なるなと感じたのは、あまり大学名が関係ないというところです。どういうことかというと、学部によって同じ大学でもかなりレベルが違うので、学ぶことによってはこちらの大学の方が良い、など大学名だけで決めないということです。

なのでどの大学に行くか、というより何を学びたいか、がまず決まって、その後ではその学問をするにはこれらの大学がレベルが高いから、その中でも自分の成績でいけそうなところを探す、という感じでした。

イギリス人の学生の間でも学部によるレベルの差というのは、少なくとも2000年前後は認識されているようでした。家をシェアして一緒に住んでいたイギリス人の学生が言っていたのですが、当時通っていたWarwickという大学は、数学ではオックスフォード、ケンブリッジの次ぐらいだ、ということでした。あとは例えば映画学というのがあって、これはWarwickが研究でも教育でもイギリスで一番レベルが高い、ということでした。

ケンブリッジ、オックスフォードはだいたいの学部でイギリスで一番で、そのあたりは別格なのですが、〇〇学部ならこの大学のがいいよね、という話はよく聞きました。この点が日本と少し違うと感じました。

日本ではとにかく東大、京大なら何学部でも構わない、というより誰も学部なんか聞きません。知人に聞いた話では、学部によっては東大、京大でも結構簡単に入れるところもあるらしいのですが、東大生は東大生として一括りに捉えられます。

私も大学を選んだのは学部からです。イギリスに留学したことがある日本の大学の先生に、金融を数学的に扱う分野に興味がある、と相談しました。するとWarwickは経済学でも非常にレベルが高いと有名だし、数学などの理科系のレベルも高いから、そこがいいんじゃないか、という紹介をされました。

大学ランキング

日本だと偏差値ランキングのようなものがあって、東大が1番、次に京大、など旧帝大が続く、となっています。

もちろんイギリスにも大学ランキングはあります。Wikiにもあるぐらいです。新聞社が発表しているランキングがいくつかあります。日本と少し違うのは、偏差値という入学の難しさでランキングするのではなくて、学生と先生の比率、授業の質、など10ぐらいの項目を評価してランキングしている点です。たまに雑誌などで、就職活動で評価される大学ランキング、みたいな特集記事がありますが、そちらに近いかもしれません。ただイギリスの大学ランキングの方がもうちょっと客観的にやろうとしています。

大学ランキング自体をそう重要視する必要はないのですが、全く情報がない状態だとそれぞれの大学のレベルの違いがわからないので、参考情報にはなります。もしUCASを通じて学部から留学しようと考えている場合など、自分の成績から大体どのあたりの大学なら受かりそうか、などと考えることもできます。

1つ気をつけないといけないことがあるとすると、ランキングは上位10位ぐらいでも変わることがある点です。

あともう1つ付け加えると、ランキングはどうであれ、イギリスだと卒業しないとあまり意味がないのと、卒業時の成績の方が大事だということです。ランキング10位の大学でギリギリ卒業(Passという成績がつきます)だったら、ランキング50位ぐらいでもトップの成績(Firstという成績がつきます)をとった方が、イギリス社会での評価は高いです。

住む場所

最初にこっちを考慮した方が良いかもしれません。留学費用のところで触れましたが、ロンドンか、ロンドン以外か、という点は考えた方が良いです。というのも生活費が全然違うからです。家がお金持ち、というのであればそんなに気にすることはないでしょうが、数百万単位でかかるお金が変わるので、気をつけた方が良いです。ロンドンの方が遊ぶ場所はたくさんあって生活は楽しいと思いますが、その辺は財布事情と相談する必要があります。

ロンドン以外の大学に進む、とした場合、多少住む町についても気にした方が良いと思います。イギリスの大学は1960年代に多くの大学ができて、その頃できた大学の特徴として、街の中心街から離れた郊外に大学があります。だいたいバスで15分ぐらいのところにキャンパスがあり、生活の中心はキャンパス内に限られます。寮を出て中心街に近い便利なところに住むことはできます。その時に、その街があまり魅力的でないというか、あまり自分には合わないな、という街だと住むのが結構辛くなるかもしれません。なので余裕があれば一度その近くの街を見に行った方が良いと思います。

私がいたWarwickはまさに1960年代にできた大学で、Coventryという街の郊外にありました。コベントリーはどちらかというと工業都市で、いわゆる観光地ではなかったです。なので休みの日にちょっと気晴らしに行くといっても、特に市内でできることはそんなになくて、結局キャンパス内にいることが多かったです。キャンパス内に映画館や劇場など一通りに施設はあったので助かりましたが、レストランなどはないのでその点は不便でした。

ケンブリッジは街中に大学があるという感じなので、歩いて行ける範囲にお店も適度にあるしレストランもあるし、生活は便利でした。ただ、ロンドンの大学に通っている知人からすると、田舎すぎてやることがなくて、ケンブリッジに行かなくてよかった、ということもありました。

奨学金の有無

最後ですが、奨学金がもらえるかどうか、というのも重要です。運良く第一希望の大学から合格通知がもらえたとしても、金銭面で奨学金がないと難しい、という時には、やはり奨学金がもらえる大学に進学せざるをえないと思います。留学費用のところで少し触れましたが、イギリスでは大学ごとに給付型の奨学金を持っているところがあるので、奨学金が充実しているかどうか、給付型の奨学金はどれぐらいあるか、留学生でも応募できるかどうか、というのは事前に調べておいた方が良いです。

まとめ

今回はイギリスの大学選びについて紹介しました。日本ほど大学名の重要性というのはなくて、学部によるレベルの違いを考慮する、というのがイギリスの大学選びで面白い点だと思います。
あとは住む場所、奨学金の有無も考えた方が良いということを紹介しました。

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