田舎の公立小中学校からケンブリッジに行った話 - その3
今回はイギリス留学のプロセスについて簡単に説明します。
留学する方法
主に欧米系の大学への留学ですが、大まかに言って留学するための方法は下記の4つです。
日本の高校から直接大学に入学
日本の大学に入って交換留学制度を利用
日本の大学に入って数年後海外の大学に編入
日本の大学卒業後に海外大学の大学院に進学
1. 高校からイギリスの大学に入学
イギリスの大学留学の場合ですが、1のパターンはかなり難しいです。個人的にはこのパターンでイギリスの大学に入学した人を知らないです。難しい理由は、イギリスの大学に入るための試験を受験するか、国際バカロレアなど国際的に認められた資格試験のスコアを持っていないと、イギリスの大学の入学要件を満たせないからです。もちろん日本の高校を出ても、そんな国際要件は満たせません。
ただし最近だと、日本の高校でも国際バカロレアなどの試験を受験できるところがあるようなので、中学、高校受験の段階から計画していけば不可能ではないと思います。日本の高校から直接ではないですが、高校からイギリスに留学して、そのあと大学に進学するというパターンもあります。こうやって留学した人は何人か見たことがあります。が、たいていいい所の息子・娘で、都市部の人でした。
2. 大学の交換留学制度を利用
このパターンが一番やりやすいです。大体どの大学でも交換留学制度を持っていて、提携先の海外大学に1年間通うことができます。しかも留学先での取得単位を日本の大学の卒業単位にできるので、大学卒業も遅れないです。
大学で教えている知人に聞いたのですが、最近は留学を希望する学生が少なすぎて、倍率がかなり低いそうです。なので応募すれば行ける可能性はかなり高いのではないかと思います。
デメリットとしては、1年間しかいけないこと、卒業資格は日本の大学になってしまうこと、欧米の大学だと秋入学なので帰国すると就職活動で遅れが出ること、などがあります。
3. 大学から編入
これは私がやったパターンです。イギリスの場合(当時)は、日本の大学で取得した授業の成績を利用することができて、英訳した成績表を大学入学の審査に使用できます。イギリスの大学の場合UCASという制度があり、この仕組みを使って願書を提出します。大学で学んでいたのと同じ学部であれば、2年次から編入というようなこともできるようです。私の場合は学部自体を変えたので、3年生の1学期まで日本の大学に通い、イギリスの大学で1年生から始めることになりました。イギリスの大学の学士課程は3年なので、1年留年して大学に入った人に比べると、半年ぐらい卒業が遅れるぐらいです。
4. 大学学士課程を卒業後イギリスの大学院に進学
これは3のパターンに似ています。大学の成績表を英訳して、願書を提出します。イギリスの大学院は大学ごとに申し込みをするので、UCASのような制度を通す必要はありません。
個人的な留学のプロセス
私の場合は3のパターンで、一度日本の大学に入りました。大学には交換留学の制度があり、ケンブリッジの1つのカレッジも交換留学先に含まれていました。その他イギリスの大学、アメリカ、オーストラリアなど英語圏の大学、中国、フランスなど他の留学先もありました。
最初はここのどれかの交換留学に行きたいな、とぼんやりと考えていました。ただし当時はまだ交換留学が人気で競争率が高かったこと、加えて入った大学の授業がつまらなくて、何にも身につくことがない、このままいくと将来が危うい、と思ったことから、退学して留学する道を選びました。
準備をいつから始めたか
本格的に準備をし出したのは大学一年生の冬ぐらいでした。
まずは情報収集をしました。British Councilというイギリスの公的機関があって、今では東京にしかありませんが、昔は全国にいくつか拠点があり、たまたま住んでいる地域にありました。また、当時は大学のパンフレットが置いてあったり、留学相談会があったりと、留学のサポートが充実していました。
留学したことがある人に聞いたほうがいいだろうと思い、そういえば高校時代の先生でケンブリッジに行っていたという噂がある人がいたので、当時の担任の先生伝いで紹介してもらい、会いに行くことにしました。相談した所まずは一回イギリス行ってみたら、と言われ、1週間ぐらいのホームステイに行くことにしました。
ちなみにこの時初めてパスポートを取りました。何せ家族で海外旅行に行ったことある人がいなかったので、航空券をどこで買えば良いのかわからなくて、聞いたことがある航空会社に電話して、予約しました。正規料金になるけど本当にいいのか?というようなことをコールセンターの人に言われ、でも何を言われているのかわからなかったので、20万ぐらいの往復チケットを買いました。この後旅行代理店で買うともっと安いということを知りました。
何をしたか
ホームステイに行くことを決めたので、まずは英語の勉強です。会話をしたことがなかったので、British Councilの英語コースに1週間だけですが通いました。他にはBBCのニュースが入ったCD(カセットテープだったかもしれない)を買って、毎日聞いていました。
1週間ロンドンに滞在しましたが、英語があまり話せなかったこともあってあまり楽しめず、これではまずいと思い、夏休みにイギリスの語学学校に通うことにしました。また、UCASでの願書提出に、英語が母国語でない場合は英語の試験結果の証明書も必要と知り、語学学校に通いながら英語の試験勉強もすることにしました。イギリスの場合はIELTSという試験があり、筆記だけでなくリスニング、スピーキングもあるという結構難しいものでした。語学学校に通った後にイギリスでIELTSの試験を受けて帰国しました。これが大学2年生の夏休みです。
帰国後は願書の準備のために、大学の先生に推薦状を書いてもらうのと、願書と一緒に提出する志望動機文の添削をお願いしに行きました。日本の大学では1、2年生のうちは一般教養と言って専門とは異なる分野の授業を受けないといけないのですが、この時たまたまイギリス文化を教える授業があり、その時の先生が行きたいと思っていた大学に留学していたことを知ったので、その先生のところにお願いに行きました。
あとは大学の事務室に行って、成績表の英訳を作成してもらいました。
こうしてUCASで提出する英語の試験結果、志望動機の文章、推薦文、成績表の英訳を揃え、出願しました。UCASで出願する場合、当時は6個の大学まで選べました。確か5校申し込んだ記憶があります。
この時、もう少し早く準備しておけばよかったと思ったのは、ケンブリッジとオックスフォードに申し込む場合は締め切りが10月と他の大学より2ヶ月ぐらい早く、時間的に間に合わなかったことです。どうせ受からないと思っていたので、特に急がなかったのですが、せっかくなら一緒に出願しておけばよかったと思いました。
いつ留学が決まったか
最初に合否通知が来たのは、年が明けて2月か3月ぐらいでした。それぞれの大学から個別に合格通知がきて、最初の大学から合格と来た時は正直驚きました。と同時に、あ、本当にこれで留学することになるんだ、と不安も覚えました。
出願した5校のうち、1校からはメールで質問が来ました。大学の試験の成績表があるけど、それぞれどんな分野なのか説明してほしい、というような内容でした。確か電話で連絡してくれ、みたいなことも言われ、百円玉を大量に持って近くの公衆電話から国際電話を夜遅くにかけた記憶もあります。
面白かったのは、問い合わせが来た学校からは、一応合格通知出すけど、うちは数学科だから数学に自信がなかったらやめておいたほうがいいよ、でもその判断は君に任せるよ、と言われたことです。日本の大学と違って結構適当だな、と感じました。
留学するまで
合格通知は2種類あります。conditional offerとnon-conditional offerです。non-conditionalは無条件で合格、というものです。conditional offerは特に留学生に多いのですが、英語のテストのスコアを入学までに何点以上にすること、という条件付きの合格通知があります。そのため、留学生は入学式の2、3ヶ月前からそれぞれの大学で開かれるFoundational Courseというのに通うことがあります。ここで入学前に英語を磨いて、それで英語の試験で条件を満たせば無事入学が認められる、というものです。私は出願の時にIELTSのスコアが6.0とギリギリ条件を満たしていたのでFoundational Courseに通う必要はありませんでした。それでも早めに行って現地の生活に慣れておくとか、留学生の友達を作るとか、Foundational Courseは役立つので、2ヶ月前から通うことにしました。
もう1つ留学前に気を付けた方が良いのは、寮の確保でした。イギリスの大学寮はなかなか設備が整っていて、基本的には個室で、キッチン、トイレ・バスをシェアという形態で、料金もものすごい安かったです。これが早いもの順で決まっていくので、なるべく早く寮の申し込み手続きを済ませておく必要がありました。
まとめ
今回はイギリス留学のプロセスと、個人的な留学までの準備から出願について説明しました。
気付いたと思いますが、私の本格的な留学準備は大学1年生の終わりぐらいからで、英会話もできなかったし、パスポートも持っていなかったし、海外に行ったことすらない状態でした。留学を考えている人には、小中学校などから準備をしないと遅すぎるのでは、もう自分には遅すぎて間に合わないとか、焦る必要はないということを伝えたいです。
次回は留学を経験して、留学のメリットについて書く予定です。また、少しゆるい話で田舎で苦労した話などをちょくちょく紹介していこうと思います。
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