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お金のカタチから見る資産運用 -おまけ2-

1.今回のテーマ


過去3回について、資産を増やす方法として、

お金を他のものに変えて運用することを説明してきました。

前回収益還元法の話が出ましたが、
そのままでいくと難解な話になりますので、
よりシンプルな方がよいと考えました。

今回具体的な例として、保険のモデルを用いながら、
時間キャッシュのロック
という観点で説明できたらと思います。

備えとしての保険・貯金としての保険とは別の視点で
持論展開すると共に皆様の視点の一つになればと思います。

それではまいりましょう。


2.時間による複利効果


投資とやっている人であればこの話はよく耳にするかと思いますが、
改めて復習しましょう。

【例題】
100万円を年率3%で複利で運用します。
10年経過後はいくらでしょう。

単利ではなく、複利です。



計算イメージです。

(1)単利
100万×3%=3万 (年間利益)

10年間の利益は? 3万×10年=30万

元本と合わせて、100万+30万=130万



(2)複利
100万×3%=3万 (1年目の利益)

ここまでは同じ。として、複利はこの利益を再投資する所が異なります。
イメージは買った株の配当で新たに株を買う感じです。


2年目:103万×3%=3.09万 (2年目の利益)
3年目:(103万3.09万)×3%=3.1827万 (3年目の利益)
4年目:(103万3.09万3.1827万)×3%=3.278181万 (4年目の利益)

と、毎年の利益が少しずつ積み上がっていますね。
計算式はごくごくシンプルです。

100万×(1.03の10乗)=134.3916…万

10乗の部分が10年経過の意味ですね。
複利の方が積み上がる利益が増えてます。


次に逆の視点から入ろうと思います。


【例題2】

年率3%の複利運用をした場合に、
10年後に100万円を手にしようと思ったら、
いくら投資したらよいでしょう?



答え:74.4万円

計算式いきます。

100万÷(1.03の10乗)=74.4…万


検算します。

74.4万×(1.03の10乗)=99.987…万円


印象だけの話ではありますが、
あれ?少ない?と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この視点を踏まえた保険商品があります。

学資保険 ですね。

こちらは目的のタイミングこれだけのお金の準備が必要で、
そのためにはいくらずつ払い込んだらよいか、
という問いに切り替わっています。

具体的にいきましょう。


【例題3】

今年、子供が産まれました。
年3%の保険での複利運用を考えた場合に、
18歳で大学用に400万を作る準備をしたい。
手元にはまとまったお金があるので、
0歳の今のうちに保険料を一括払いしようと思います。
いくら払えばよいでしょうか。


勘のいい人は計算が早いと思います。

答え:234.8万円


計算式 400万÷(1.03の18乗)=234.8万

※端数で答えが微妙にずれるのはご了承ください


検算しましょう。

234.8万×(1.03の18乗)=399.731…万円


ただ、一括払いは現実味がないので、
更に応用いきます。


【例題4】

例題3を基に、
保険料を年1回払いにした場合の、毎年の払込み額はいくらでしょう。

これは我が家でも実際に払い込みを行っているパターンです。


答え:16.6万円 (合計払い込み金額:298.8万円)


毎年の払込額が時間の経過と共にどういう金額に化けるか
表にしてみました。


目が痛くなりそう…

16.6万円がそれぞれ個別で18年、17年、16年、、と運用され、
18歳到達時にそれぞれがいくらになったかを表しています。

合計額も出していますが、一括払いと比べ、元金は数十万オーダーで変わっています。
これが時間による力だと理解していただいてよいかもしれません。



3.時間を活かすことの最大のデメリット


ここまで散々と複利運用で儲かりそうな話をしてきましたが、
実はこの話、毎年そんなにうまく運用できるのか
(年利も高すぎるんじゃないか)
という話と共に、
契約が何年も続く保険などは大きな問題を一つ抱えています。

それは、

契約が終わるまで投じたキャッシュが回収できない


という所にあります。
個人年金も同様です。

契約者貸付という制度を使うことで緊急の入用は対応できますが、
 これも金利が発生します。


この話、個人の話に限らないです。

法人でも、同様です。

法人税対策で保険に加入するのはよくある話ですが、
(昔ほど露骨ではなくなってきましたが)

税金を減らすために保険に入る
→保険にキャッシュが流れる
→会社にお金が残らない

という話も実は珍しくはないです。


しかも、10年以上のオーダーで縛りを設けることは、
その後に発生する事象にも対応ができなくなります。

日銀の金利政策も、今の緩和状態から変えるようであれば
利回りも大きく変わる可能性があります。

しかも、後に出てくる商品が有利なものであれば、
先行して不利な条件に全ツッパしてこれほど悲しいものはありません。

これらを踏まえ、
あくまでも資産のバランスと手元の流動性は考えるべきかと思います。


4.おかねを別の形にすることは別のメリットも


先程の保険のように、あえておかねを別の形にしておくことは、
儲かる儲からないの話とは別の大きなメリットもあります。


それは、

無駄遣い抑止効果


結構地味な話なんですが、これって結構大きいです。

支払が決まってる、キャッシュでもないので使えない。
ゆえに強引の貯金をやっているような感覚でもあります。

運用という視点を持たないのであれば、
これが安全な方法かもしれません。

とはいえ、老後2,000万問題も含め、
単純に老後の年金を頼るだけで暮らしていけないと公にも言われる中で
自分のおかねの事を考えることは今後重要性が増すでしょう。


5.最後に

今回は保険をベースに考え方の軸を作ってみましたが、
複利運用の計算ついて、実は私が受験してきた税理士試験の相続税法でも利用します。
そのため、国税庁の中にも複利表という、
〇年後の分を現在価値に引き直す数字のヒントを置いてくれています。

更に難解になってしまうためここでは触れませんが、
会計の業界にいる方、税理士を目指される方は
保険という金融商品の建付け、その中でのお金の計算方法に
振れるために相続税法を勉強してみるのも悪くないかもしれません。

次回、もっと噛み砕けるようにがんばります。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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