見出し画像

どんな作品を作りたいですか

「どんな作品を作りたいですか」


と、最近聞かれた。

ずっと脚本を描いてきた割に、自分がどんな作品を作りたいのかについて、今まで、あまり深く考えたことが無かった。

過去にも同じようなことを何度か聞かれて、サスペンスやらコメディやらと答えていた気がするし、実際、その時はそう思っていたんだろうけど、この質問に対する今の答えはなんだろうと少し考えて、頭で思いつくよりも先に口をついて出た「作りたいものは、ないです」という答えは、すごく素っ気ないけど、自分の本音だろうなーと思えた。

映画やドラマとかのコンテンツは全部好きだし、どのジャンルも幅広く観てるけど、自分が作りたいと強く思うものは、特にない。
もしかしたら、今までもずっと、特に作りたいものは無かったのかもなーと思う。脚本を描くのは好きだったけど。

でも、面白いと思うコンテンツはたくさんあるし、そういうものを作れる人たちがちゃんと評価されて活躍できるプラットフォームに携われたらいいなというのも、前職から今の会社に転職した理由の一つだったりする。
今の仕事ではクリエイターと1対1で向き合い、一緒にコンテンツを作る機会も多く、まだ1年しか在籍していないが、社内で一番クリエイターと接している社員だろうと思えるくらいには、クリエイターとの対話に時間を割いてきた。

そんな作りたいものを持っているクリエイターと密に接してきたからこそ、自分自身には実は作りたいものが無いのかもしれないと思う事も増えたのかもしれない。代わりに、もっと1対1でクリエイターとコンテンツを作り、作ったコンテンツを拡げることに注力したい欲が出てきた。

ということで(?)、なんやかんやあり、来年、出版業界へ転職することになった。出版不況と言われて久しく、自分は元々が公務員志望だったくらいの安定志向な人間なので、本当に出版不況なのか色々と調べた結果、意外と大丈夫そう、という結論に至り(保証はないけど)、転職を決めた。

冒頭の質問も、面接中に聞かれた。
会話には続きがあって「作品を出す媒体から逆算して、媒体特性に合った、ウケるコンテンツを作ろうとするから、自分が作りたいものはない」と、続けた。作家としては良くないけど、転職先では、そう答えた自分の特性が活かせるんじゃないかなーと。

芸能→IT→出版と、変なキャリアと言われたりするものの、業界は違ってもずっとコンテンツ作ってきただけなんだけどな~、と思ったり。
むしろ、これまでの芸能、ITの仕事経験、プライベートでの脚本執筆など、紆余曲折あったらこそ、やっとたどり着けたような感覚もあり、上手くいくかはわからないんだけども、今は、次の仕事が自分の一生の仕事になったらいいな~と思っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?