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人事3年目の人におすすめしたい本2冊

はじめに

人事の仕事は意外とルーティンワークが多い。
採用だったら「2月は新卒採用の準備」「3月は会社説明会の運営」といった具合で動いていくし、個別人事も同様に異動や昇進調整の年間スケジュールが決まっている。

ルーティンだからといって楽な仕事というわけではない。(私も5年目になっても昇進調整の時期は毎年ひーひー言っている)
ただ人事3年目、しかも同じポジションをずっと担当していたらそろそろこう思うのではないか。

「もっと新しい仕事をしてみたい」

そんな人のために、おすすめの本を2冊選んだ。
どれも人事の仕事を今までとは違う文脈で捉えなおす、そんな気づきを与えてくれる本だ。

1冊目:濱口桂一郎『新しい労働社会-雇用システムの再構築へ』

ページ数:212ページ
専門度:★★★★☆

今巷で話題の「ジョブ型」という言葉の産みの親として有名な濱口桂一郎先生の著作。
「ワーキングプア」「長時間労働」「名ばかり管理職」「偽装請負」など日本の労働社会、働き方が抱える問題を丁寧かつ明快に解説していく。
海外の事例も含めて、労働法令の変遷が書かれているので少し専門的だが、日本の雇用契約の特徴をズバッと指摘していく様が面白くどんどん読み進めてしまう。

この本を通じて、自分たちが当たり前に行っている人事の仕事がいかに日本特有のものか、社会課題に影響しているかに気付される。

人事制度を今後どう改善していくか考えるとき、今の制度が生まれた背景を知ることで地に足をつけた議論ができる。業務を一通り覚えたいま、ぜひ一読されることをお勧めしたい。

2冊目:リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』

ページ数:399ページ
専門度:★★★☆☆

人生100年時代とはどんな時代か、いかに働き生きるか、を論じたベストセラー。
長寿化の進行によって、これまで80歳程度の平均寿命を前提に〈教育〉〈仕事〉〈引退〉の3段階で考えられてきたライフコースを考え直す必要が出てくる。例えば、働く期間が長くなる一方、スキルの価値はどんどん変わっていくため働きながら学ぶことが重要になる、といった具合で、今までのライフコースは通用しないのだ。

人事に向けて書かれた本ではないが、今後どのような働き方の変化が起きるのかを学ぶことで、人事のあるべき仕事を考え直すことができる。

テレワーク、フリーランスなど新しい働き方が拡大していくなか、もう一歩先を思考するために極めて有効な一冊になるだろう。

おわりに

濱口先生の『新しい労働社会』では日本の労働社会の過去と今、『LIFE SHIFT』では未来について学ぶことができる

同じルーティンワークでも「何のためにやるのか」「どのように経営や社員に影響するのか」「本当はどうあるべきなのか」を考えることによって、取られる行動も面白さも変わってくる。
そのための気づきを得ることができる、上記2冊をぜひ「人事3年目」の方におすすめしたい。



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