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「料理」と「経営」を両立する哲学とは?〜「幸せの分母を増やす」ミシュランシェフ〜|人成塾(sio株式会社・鳥羽周作シェフ)

ノンフィクション作家・小松成美がゲスト講師を選び、次の時代を生きるためのヒントをありのままの言葉で学ぶ『人成塾(じんせいじゅく)』。今回の対談ゲストは鳥羽周作さんです。

鳥羽さんは、東京・代々木上原のミシュラン一つ星店「Sio」のオーナーシェフ。「Sio」のほか、「 o/sio 」「 パーラー大箸 」「 Hotel’s 」など、合わせて 6 つの飲食店を運営するsio株式会社の代表取締役の顔もあわせ持ちます。料理の世界で多角的に活躍する鳥羽さんは、実は、Jリーグの練習生、小学校教員を経て、32歳で料理の世界へ飛び込んだ異色の経歴の持ち主です。

そんな鳥羽さんの魅力をノンフィクション作家の小松成美さんが掘り下げます。お互いを「周ちゃん」「成美さん」と呼び合うほど、仲がいいお二人。和気藹々とした雰囲気で、人成塾が開幕します。
<文>三間有紗<編集>池田アユリ,yasu

レシピに対するこだわりはない!?

小松:今日は私が大好きな、そして尊敬している料理人の鳥羽周作さんをゲストにお迎えしています。鳥羽シェフ、今日は本当にありがとうございます。

鳥羽:こちらこそ、呼んでいただいてとても嬉しいです。

小松:初めて鳥羽シェフにお会いしたのは、代々木上原のフレンチレストラン「sio」でした。そのときから、鳥羽シェフのことを「周ちゃん」と勝手に呼んでおります(笑)。

本日は、周ちゃんが手がけるレストラン「o/sio」に来ています。店内は満席! 活気に満ちていますね。

鳥羽:ありがとうございます。「o/sio(オシオ)」は、代々木上原のフレンチレストラン「sio(シオ)」を拠点に、2019年10月にオープンしました。

小松:「sio」は、周ちゃんがシェフとしての経験を積んだ「Gris(グリ)」を買い取って、リニューアルオープンしたお店なんですよね。

鳥羽:はい。そしてこの「o/sio」は、自分が好きなものを「sio」のフィルターを通して作って、お客さんと共有するお店です。だから「o/sio」では、唐揚げやナポリタンなど、家庭的なメニューも提供しています。

小松:以前「o/sio」でご馳走になったナポリタン、美味しかった......! それにしても、「sio」や「o/sio」がオープンした頃は、コロナ禍なんて想像すらできませんでしたね。コロナ禍になって、飲食店の経営者の方にとって苦しい状況が続いたと思うんです。そんな状況で周ちゃんは、圧倒的に行動したよね。

鳥羽:コロナ禍では、主に2つの軸で活動しました。まず、SNSやメディアでのレシピの発信。スッキリ(日テレ)の「みんなの食卓」にも月1回出演させていただきました。同時に、「sio」でテイクアウトメニュー「Hey!バインミー」を展開しました。

小松:まずSNSやメディアで発信しているレシピですが、周ちゃんのレシピは信じがたいほど易しいのに、おいしい。どのようにして、あんなレシピを考えたんですか。

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