小説|創作物を食べる怪獣
土が硬く作物の採れない国で怪獣は暮らしていました。作物の代わりに、怪獣は創作物を食べます。人々は飢えに苦しみながらも遊び心を忘れずに、小説や詩や俳句、絵や曲や写真やエッセイを創り、怪獣に分け与えました。
怪獣は食べたものを大声でほめてくれるので、人々は喜んで創作物を贈ります。彼らは仲良く暮らしていましたが、ある日、怪獣はお腹を壊します。創作物と間違えて、人々が蓄えていた、なけなしの作物を食べたのでした。
創作物が喉を通らず怪獣はみるみる痩せていきます。人々は怪獣を責めることなく、自らも空腹に耐えながら、知恵をしぼりました。そして、小さな作品を創ろうと思い至ります。一分で楽しめるような、創作物のおかゆ。
人々が懸命に看病したおかげで、怪獣は元気になりました。怪獣は人々の痩せた笑顔に涙します。怪獣は大木を引っこ抜いて大きな鍬を創りました。朝も晩も硬い土を耕します。おかゆの味を思い出しながら。
ショートショート No.230
企画終了!
企画「1分マガジン」にご参加くださった皆様、ありがとうございました!
感謝の気持ちを込めて、怪獣が思い出していた創作物を掲載いたします。
全121作品ひとつひとつ手作業で載せたので漏れがあればお教えください。
(掲載順は創作日時が新しい順)
いただいたサポートで牛乳を買って金曜夜に一杯やります。