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発展途上の、味覚のおはなし。

 私がofficial髭男dismを初めて聞いたのは、社会人1年目の2017年。あまり有名な曲ではないが、『始まりの朝』という曲をたまたま入ったお店で聞き、すっかり惚れ込み髭男を聞き始めた。2019年、髭男がブレイクした時は「推し」が人気になった時のように、嬉しかった。

今でこそ、『pretender』『yesterday』『宿命』などサビを聞けば誰もが知っている曲が多くあるが、私が髭男から勇気をもらった曲が『コーヒーとシロップ』である

このミュージックビデオは、とある企業の新入社員が主人公。自分の不甲斐なさに悩みつつ、社会の厳しさに弱音を吐きながらも、「いつか一人前になるために、今を頑張ろう」というメッセージが込められている。コーヒーの苦味を嫌なこととして書いてあり、社会人に突き刺さる内容となっている。
特に印象に残る言葉が、サビの歌詞である。

嫌なこと全部飲み干して
そのままやり過ごして
すっかり甘くなって、
苦さも感じなくなってしまったな

少しずつ、嫌なことを飲み込んでいると、気づくと苦さも感じなくなっていく。この言葉は髭男は社会人を経験している人であれば誰もが共感できる比喩としてこの言葉を使っているが、言葉のまま、『すっかり甘くなって苦く感じなくなってしまったな』を受け取ってみても共感できる言葉である。

 20歳を過ぎてから、味覚に関する話の中で「今まで嫌いだった(食べれなかったもの)が食べれるように(飲めるように)なった」という話を多く聞くようになった。

その代表がブラックコーヒービールである。
社会人になり久しぶりに友達にあうと、ブラックコーヒーが手放せないというカフェイン中毒になっている友人がいたり、大学の時はビールを一滴も飲めなかった子が、「とりあえず生〜」と大声で店員さんに注文している場面に出くわすようになった。

この様子をみて、私は周囲の友人が大人になったな、と嬉しく思う反面、少しだけ焦りを感じることもある。自分はまだ、大人になりきれていないな。と。

自分の味覚の話をすると、少しずつ大人の味覚に変わりつつあるものの、
その味覚は発展途上で年齢にするとまだ16歳くらいだと思っている。

例えば、ブラックコーヒーとビールはまだ自分から好き好んで飲むわけではないし、打ち合わせなどでご好意でコーヒーが出されたときは少しだけ気持ちが下がり(どうせなら冷たいお茶が飲みたいな…)と少しだけ心の中で毒づいてしまうこともある。大人数の飲み会の時、有無を言わさずビールを飲まないといけないときは、息を止めて流しこむこともあるくらい。
私が飲めないことを知っている人は、さりげなく私に注がれているビールを飲んでくれたり、こっそり別のものを頼んでくれる人もいる。本当にこういう方々の気遣いのおかげで16歳の味覚をもつ私も、どうにか年齢に不釣り合いな飲み会の場も乗り越えることができた。

だが、私の中でも少しだけ大人になり変わった味覚もある。

・無糖の紅茶が毎日飲みたくなるくらい好きになったこと
・梅干しが食べれるようになったこと
・レモンがとても好きになり、酸っぱいものを好むようになったこと
・ゴーヤ、ピーマンなどの苦味は難なく食べられること
・ワインが飲めるようになったこと

大学1年生くらいまでは、上記のものは自ら好んで食べることはしなかったが、
食べる機会や飲む機会があり、食べたり飲んだりしているうちに、好きになっていた。まさに髭男の歌詞である。

味覚というのは子供のほうが大人より敏感らしく、また子供の頃は、本能的に危険とされる苦味や酸味を避ける傾向にあるそうだ。
大人になってから苦味や酸味が食べられるようになるのは、味覚を感じるセンサーである味蕾(みらい)が子供の頃に比べ半分程度になること、また経験から苦味や酸味を危険ではないと判断するかららしい。
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このように、味覚の変化が多少はあるということは、ビールもブラックコーヒーも飲むことができるようになると思う。
おそらく、私にはビールとブラックコーヒーを飲む経験が足りておらず、
どちらの飲み物にもあまりいい思い出がないからかもしれない。
ビールに関しては、初めて飲んだ飲み会が散々な飲み会だったし、
ブラックコーヒーに関しては生ぬるいコーヒーを飲んでしまったから、その記憶が邪魔をしてしまい苦手なままなのだと思う。

いい経験をすれば、味覚は変わる。
だからこそ、今年の夏は積極的に「本当に美味しい」ビールとコーヒーに出会いたいと思う。

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【後日談】
この記事は6月中旬には書き終えていたのだが、少し誤字確認をしてから6月末に投稿しようと2週間寝かせている間。
先日、お付き合いでビールを飲まないといけない場面が発生し、いやいやながらもサッポロ黒ラベルを頼み乾杯をすると…。
とても美味しかった。人生で初めてビールが美味しいと感じたのだ。
ちなみにその勢いで白穂乃果というこれまたサッポロが出すビールを飲んでみたが、極上だった。あんなに苦手だったビールを一瞬で克服できたのだ。

実は、この黒ラベルを飲む前、私は仕事で2万歩都内を歩き回り、しかも遅刻をしてはいけない飲み会の会場を間違え大慌てで全力疾走をしており、純粋に飲み会の場所に来る頃には、どんな水分でも欲していたのだと思う。
結果、苦手だと思っていたビールも、たまたま美味しく感じ、ジョッキを一気飲みするくらいにビールが美味しいと私の頭にインプットされたのだ。
この2週間の大きな成長である。高校生だった私の味覚も、ようやく20歳くらいになれたのかもしれない。

次の目標はブラックコーヒーを心から美味しく飲めることである。
来年の誕生日までには、【大人の味覚】に成長できるように努めていきたい。

※最後に、サッポロビールの回し者ではありません。。

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