物乞い
中学生の頃、認知症の祖母に食事を与えない母が理解できなかった。
見かねて菓子パンを一つ、祖母に差し入れした。
のちに、あのときすでに母は精神疾患を患っていたのではと理解する。
そのうちに祖母は認知症の進行により入院したが、
それでよかったんだと思う。
だって病院の方が、温かいご飯が食べられるから。
そして私も菓子パンと給食が唯一の食事だった。
時々、母がどこかから稼いできたお金で夕食の弁当が与えられた。
そんな日は「ラッキー!」
訪問看護をしていると、
あちこちのお宅で「おもてなし」をうける。
手作りのいももちや、
「これって晩御飯?」みたいな一汁一菜がデザート付きで出たりする。
そして連日の蒸し暑さにありがたいのが、棒付きアイスやかき氷風アイス。
帰りにおやつとペットボトル飲料を必ず持たせてくれるおばあちゃんもいる。
そして、そんなつもりはないのに「これ素敵。どこで買ったの?」
なんていうと、持っていきな!と手作り雑貨をくれたりする。
仕事上、そしてコロナ禍ということを考えると
一度は断ることが礼儀なのだろう。
それが、小さい頃の貧困が起因しているのか、断ることはできないのだ。
だって、今断ったら次いつ食べれるかわからないもの。
決しておねだりしているわけじゃない。
自然とそういう運びになってしまう。
けれども「おもてなし」ができるうちは元気な証拠でしょう。
そして調理ができるということ、きちんと味付けできるということも大切。調理されたものを食べる、提供されたものの消費期限の確認は、
認知機能の確認、看護でいえば観察項目[observation-plan]の
1つだと思う。
そして「おもてなし」をうけることは信頼関係を築く第一歩ではないかと考えている。
そんなん言い訳やん!
なんて思われた方もいるかもしれないけれど、
幼少期の貧困体験は、そう簡単に体から消えることはないし、
食べられるときに食べないと死んでしまうんです。
これじゃあ食事が与えられるから訪問看護やってる人みたいだけど、
訪問看護の魅力ってそれだけではないから、追々お伝えしたいと思う。
追記:食べる機会が多い、運転が多いので運動不足な状況などから、
この仕事を始めて7kg太りました!
今日も筋トレにはげみます……。
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