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子どもと夏の旅。「食べる」楽しみを見つめなおす

昨年あたりから薄々感じていたことを、この夏の旅ではトライしてみた。
なんてことはない。でもわたしの中では突破口を見つけたと言っても良いくらいの、意味のある気付きだったかなというのを旅の思い出とともに、書いてみたいと思います。

子どもとの旅行。
子どもが生まれてから、わたしたち家族の旅は「子連れ旅行」になった。

一口に旅行といっても、子どもと行く旅行は、これまでの旅行とは全然ジャンルが違うということを、親になって知る。
全くの、別物。
余暇をリラックスして、思うように過ごすのが旅行だとすると、子どもと行く旅はスポーツか、時には修行かなと思うくらい。

体力はもちろんのこと、タフなメンタルが求められる。初めて行く場所で、臨機応変に対応する力も。
普段の行いが出ちゃうから、子どもと行く旅というのは、これまでの家での過ごし方を披露する場みたいだなと思うときもある。
普段してないことは、旅先でも急にはできない。
初めて子どもと一泊旅行に行ったとき、前日の夜は不安と楽しみと、それを上回る不安にドキドキして、眠れなかった。
でも行くんだけど。

最高だ、ああ幸せだと思う瞬間があって、なんでここに居るんだろう、と絶望する瞬間もある。

1歳を過ぎて、初夏の北海道に行ったとき。
青々とした芝生に寝転がって、家族3人で過ごした時間。牧場で一緒に馬車に乗ったときの子どものご機嫌な笑顔。いつまでも色褪せない大切な思い出。
普段と違う環境で寝付けなくて、寝かしつけに一晩中かかった夜の、眠たくて泣き叫ぶ子ども。申し訳なさと、疲労と後悔で、今すぐ家に帰りたいと思ったのも覚えている。
わたしが行きたいから、子どもを見知らぬ土地に連れ回している。北海道へ来たのはわたしたちの意思なんだけど、初めての長旅は、楽しさと後悔がとんとん、という感じだった。

旅はわたしの人生の大きな楽しみ、旅行は諦められない。
きっとそのうち、子どもと旅するスキルも上がる。
と思って、行っては後悔して、行ってはちょっと後悔が残ってを繰り返していると、スケジュールの組み立て方が上手になって、優秀な旅行グッズたちを味方に付けて、少しずつ子どもと行く旅行の、楽しいが大きくなっていった。

最後に残った、子連れ旅行の中でどうしても苦手なもの、旅先の食事。
現地ならではの、美味しいものが食べたいと思うんだけど、食事のことを考えるとちょっと憂鬱になる。

ご飯は食べたり、食べなかったりする気分屋ガール。
昨日食べたものを今日は食べないということはよくあるし、好奇心が旺盛だから、初めての場所には興味津々で、飲食店に行くと大興奮。
旅先ではどうしても外食せざるを得ないんだけど、お店に入ると初めての場所!という興奮で食欲はどこかへ吹き飛んじゃうみたい。

わが家が外食をするのは旅行くらいのもので、たぶんそれもあって、余計に楽しくなってる。
わたしはわたしで慣れないのと、過去の失態の数々を思い出したりして、お店に入って席につくと妙にソワソワしてしまう。


現地ならでは食というのは、旅の醍醐味。醍醐味だった。でもこの夏は旅の醍醐味ごとばっさりカットしてみた。
外食をしない旅。
美味しいお店に行くことを諦めて、旅の満足度をどう感じるのか、子どもと旅する楽しさは増すのか、そのバランスをみてみたいと思った。

淡路島ではキッチン付きのお宿を借りた。
朝夕はキッチンで作って食べて、お昼は軽食をテイクアウト。

旅行先でまで料理するのは疲れるかなと思ったけど、そんなことはなかった。むしろ子どもとの旅行の大変なところからすっきり解放されて、楽しさだけが残ってくれたように感じる。驚くほど快適で、しっくりくる。
旅の醍醐味をカットしても、こんなにも楽しめるんだという新しい発見。

気分屋ガールの大好物プチトマトは多めに買い込んでいたし、この時期の娘はパンのふわふわしたところを嫌がって、パン耳しか食べなかったから、朝も白ご飯を食べる。

家じゃない場所で、朝日の眩しさに自然と目が覚めて、家族3人ゆっくり朝ごはんが食べられる。これだけで幸せ。

プチトマトと白ご飯を頬張る 朝ごはん

夕食は道の駅で買った淡路島産の新玉ねぎを焼いて、地魚を焼いて、なんだかんだで現地の食を楽しめていた。

ご飯がしっかり食べられると、よく遊んで、良く寝れる。
自宅ではないキッチンで料理をするというのも、わたしは楽しくて、お宿に置いてあったフライパンがとても使いやすかったから、自宅に帰って同じフライパンを買った。
キッチンツールと出会った旅。
淡路島からの帰りにテイクアウトした明石焼きは美味しかった。

7月の箱根では、お客さんがほぼ100%外国の方という多様性あふれるお店の雰囲気に、勇気が出て、イタリアンに入ってみた。
イタリアンなんて、お洒落な場所は当分わが家にご縁がないと思っていたけど、むしろお店がシーンとしていないことで安心できた。今まで子どものことを考えて和食に行きがちだったけど、和食屋さんって案外難易度が高かったのかも。
パンは耳しか食べないと思っていた子は、ピザをぱくぱく食べるという一面があることも新しい発見。
いま一番好きな食べ物は、マルゲリータ。
好きな食べものはなんですか?
ピジャです。とのこと。


子どもが泣き叫ぼうが、何をひっくり返そうが、子どもを小脇に抱えながらでも何としても食べたいと思うものだけ、いまは食べに行けばいいかな。
北海道の旭川で食べたジンギスカンは美味しかった。これはなんとしても食べたい、食べないと帰れないと思った。

あとは、入りやすいお店がちょうど目の前にあって、親子共にコンディションがいいとき。箱根のイタリアンで、ちょっと自信がついた。
それが分かったこの夏。