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2歳と花びらを集める春

新学期の始まり。保育園に通う2歳の娘は、ひよこ組からうさぎ組になった。

小規模保育園の春は、新しいお友だちが沢山入ってくるんだけど、在園児の娘はというと、ますます保育園生活を謳歌している。

ある日の連絡帳には
「給食では新入園のお友達が気になるようで、
床に落ちたおかずを拾おうとしたり、スプーンで遊ぶお友達に「だめよ」と注意してみたりと、気分はすっかりお姉さんのようです。
かく言う(娘)ちゃんは、お椅子に膝を立てて座っていたので、思わずズッコケちゃいました。笑」
と、先生からのメッセージ。

先生、家では片膝を立てて椅子に座るようなことはしてないんです、ほんとなんです。

お調子者なところがあるから、勝手知ったる保育園に新しいお友達が来たら、ちょっと得意げに振る舞うんだろうなあとは思っていた。
戸惑う新入園児さん相手に、新人イビリのようなことをしているとは。

家でご飯を食べている時に、コップの水で遊んだり、スプーンでお皿をカンカンやり始めると私が「だめだよ」と言うから、この「だめよ」はきっとそこからきていると思う。
満面の笑みでカンカンカンカンやってるから、まだだめなことがよく分かってないのかと思っていた。確信犯だった。

最近の口ぐせは、眉を潜めて真剣な顔をしながら「おしゃないよっ!」(訳:押さないよ)
こっちはおそらく、毎月やっている保育園での避難訓練からきている。
押さない、走らない、について子供たちとお話しました、と行事のお便りに書いてあった。
何かあったときに子供がびっくりしないように、先生が本番さながらの雰囲気をつくって、訓練をされているんだと思う。
そんな先生の姿を家でも真似して、鬼気迫る顔で「おしゃないよっ!」と言いながら、小さな手で私の背中を押してくる。


夫に「今が一番可愛い時期なのかな」と言うと、決まって「それ前も言ってたよ」と返ってくる。もうお決まりのやり取りかな。子供が生まれてから、何度も夫とこのやり取りをしてる。

どの瞬間も見逃せないと思うから、コンタクトレンズか、メガネでもいいけど、見たもの全てを記録できるような、カメラ内蔵のレンズが開発されないかな。テレビの全録画機能みたいに。

散った桜が地面いっぱいに広がる公園で、娘と一緒に花びらを拾って集めていると、来年の桜が咲くころには、この手足のおぼつかなさは無くなっているんだろうなと、ちょっぴり切ない。
毎年春になると桜は咲くんだけど、子どもと一緒にいると、それは同じ桜ではないんだということを気づかされる。
スマホが登場して、気軽に動画を取れるようになったことは革命的だ。
誰かその一歩先を切り開いてくれる人いませんか。


すこし前のこと。
1歳とか2歳とかこのくらいがきっと可愛さのピークだよね、ということを、母に聞いたことがある。

母は、二日酔いだか何だか知らないけどソファで寝てる私の妹のことを見て
「こんなのでも、まだ可愛いよ。また小さい頃とは違った可愛さよ。」と言った。
30手前の娘にも、母はまだ可愛いさを見い出せるらしい。

ちぎりパンだった足のむちむちが消えてしまっても、可愛い言い間違いをしていた言葉が正しく言えるようになってしまっても。
そしたらまた、違う可愛さが見れることを楽しみに。
この週末も桜を集めに、公園に行こうと思う。






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