見出し画像

勉強だけできればいい、わけじゃない

「学校で求められること」と「社会で求められること」って違うよなぁ。
今回はそんなお話です。

教員時代に担当していた、進路のこと

こんにちは、元国語教員、現ライターの国語の庭です。

教員時代は、子どもたちの進路に関する業務も行っていました。
主に見ていたのは高校生だったので、卒業後の進路は多種多様でした。

勤務年数を重ねるごとに少しずつ段取りもわかっていった業務ですが、当初、困っていたことがありました。

それは、「就職」。

進学なら自分が経験しているからなんとなく流れもわかるのですが、就職のことになると、もう完全に初心者です。

先生、って呼ばれるのも恥ずかしくなるくらいわからないことだらけの世界でした。

よく、「教員は社会に出ていないからうんぬんかんぬん…」みたいなお説教を聞きますが(実際に言われたこともあります)、でもあれ、あながち間違ってないぞ…?なんて。

自分が就職指導なんてできるのか?

葛藤しながら、でもやるしかないので毎日手探りで業務に当たっていました。

就職に関する業務は、生徒たちに対する「面接対策」や「試験対策」だけではありません。

就職先の企業の方とのやり取りも重要な業務でした。

学内の就職説明会に参加してもらえないか、とお願いしたり。
求人票を見て企業訪問のアポ取りをしたり。
生徒からの希望があれば求人票がない企業にも問い合わせをしてみたり。
卒業生の様子を見学させていただいたり。

私が勤務していたのは地域とのつながりが深めな学校だったので、特に地元企業の方々とのやり取りはとても多い方だったと思います。
(やり取りの方法はさまざま。電話、対面、手紙、パソコンを通してなどなど、就職シーズンは毎日緊張の連続でした…)

こんな感じで企業の方々ともやりとりをさせていただくうちに、企業が求めている人物像がぼんやりと見えてくるようになりました。

企業が求める理想の人物像

企業が求めるのは、こんな子です。

「勉強は多少できなくてもいいから、とにかく受け答えができる子
「最低限の一般常識があればいい。素直な子に来てほしい」
「ハキハキとコミュニケーションを取れる子がいい」

企業が求めているのは「素直さ」とか「コミュニケーション能力」

もちろん、勉強できるに越したことはないけれど、というニュアンスは含んでます。

コミュ力さえあれば勉強しなくていい!なんてお話ではないのですが、それでも上記の素直さやコミュニケーション能力の方が重要、という企業がほとんどでした。

学校にとっての「いい子」、企業にとっての「いい子」

企業が求める「素直さ」や「コミュニケーション能力」。

これって、学校では特に求められない項目ですよね。

学校は勉強をするところで、成績がいいと「すごいね」って評価が得られます。
学校では、テストで点数を取れる子が「いい子」とされています。

テストでは常に上位で、宿題や提出物もきちんと出す子。

でも、それだけではやっていけなくなるのが社会人。

学校で求められることと、社会で求められることにはギャップが存在しています

社会人になってつまずく子、輝く子

学校で働いていると、卒業生が遊びに来ることもあります。

「楽しい」を前面に出している子もいれば、「どうしよう」と助けを求めに来る子も。

社会人になってつまずいている子の多くに共通するのは、いわゆる「優等生タイプ」であること。

学生時代は優秀でも、社会人になったとたん周りからの評価が変わってしまうんですよね。(勉強ができること、が価値を持たなくなってしまう)

学生のときに「いい子」と評価されてきたのに、社会人になると見向きもされなくなって、人間関係や心身のバランスが保てなくなってしまうんです。

逆に、社会人になって輝く子に共通しているなと思うのは、学生時代から「周りとうまくやっている子」。

たとえば、風邪で学校を1日休んだとして、その翌日に「ねえ、昨日どこまでやった?ノート見せてよ」って言える子。

ルールを守らないとかちょっとやんちゃな子に対して、敵対心むき出しになるんではなくて「まぁそんなこともあるよね」って流せる子。

うまく周りを頼ったり頼られたりする柔軟な子、って感じですかね。

この辺はわかりやすく点数化できないので、学校の成績には表れてこない部分です。

座学というよりは、休憩時間や課外活動、あと学校外での活動で養われることの方が多い部分なのではないでしょうか。

テストの点数だけで「優秀な子」とされてしまうと、他の見えない能力を伸ばせないまま「成績優秀で万事オッケー」とされてしまって、その後行き詰ってしまうことが起こり得るのかなと思います。

個人的に思うこと

「素直さ」とか「コミュニケーション能力」とか。

点数化できないし、授業で教わるわけじゃないし。

じゃあどうやって学べばいいの?ってことですが、いろんなことを体験してみること、これに尽きるのではないでしょうか。

たとえば、自分と年齢の異なる人たちと何かしらの活動をしてみる。
自分の身の周りにはいない立場の人の本を読んで、追体験してみる。

そうすると、自分以外の「人」の存在が見えてきます。

「この人はどう思っているんだろう」とか、「これを言ったらこんな反応が返ってきた」とか、「こうしてもらえて嬉しかった」とか。

そうやってトライ&エラーを繰り返して、対人関係の経験値を積んでいけばいいんじゃないかなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?