見出し画像

「今すぐじゃない。でもいつか絶対に子どもが欲しい」。そう願う人に知ってほしい11のこと

今夏、赤ちゃんを産みました。
41歳で妊娠、42歳で出産。自分の選択で晩婚・晩産になったわけですが、私は「いつか子どもがほしい」とずーっと願っていたんです。

「子どもがほしいけど仕事が安定するまで難しい」とか「パートナーがいないから」という時期もあったけれど、縁あって、さらに妊活や不妊治療を経て、出産しました。

それで思ったのは、「今すぐ」が難しくても、たとえ今パートナーがいなくても、できるプレ妊活はたくさんある! ということ。知っておくといいのではないかと感じた11のことをシェアしたいなと思いました。

ところで「不妊治療している・していた」というと、相手の表情が変わって気の毒そうに「大変でしょう…」などと言われることに、ちょっと違和感がありました。なぜなら、誤解をおそれずに言うと「不妊治療、けっこう楽しいこともあった」から。

こう言うと「あんまり苦労しなかったのでは」「赤ちゃんを産めたからそう思えるのでは」と思われるかもしれませんが、それなりにフルコースでしたし、恵まれなかった場合の覚悟も徐々に進めていました。

楽しかったのは、治療の副効用があったから(詳細は後述)。私の治療期間は1年半ほどで短いほうかもしれないし、多くの人にとって不妊治療がたいてい苦しいものであることも事実なんだけど、「けっこう楽しかったよ」って奴がいてもいいと思ったんです。でも、流産して手術をした日だけは、泣きましたけどね。

以下、主に女性に向けた内容になっています。

1 自分の子宮をよく知っておく
卵巣年齢(アンチミューラリアンホルモン。AMH)のことを知ったのは30歳過ぎだったかな。AMHって、卵巣の中に卵子がどれくらい残っているかの数値のこと。でも当時、それに興味をもって調べて「卵子の量は分かるが、それは質を示すものではない。大事なのは質である」と知り、「なーんだ」と、調べるのをやめてしまったのです。

でも、血液検査で分かるものだし、調べておくといいと思います! 低ければ卵子凍結などで対応ができるし、将来不妊治療をするならばその数値がすっごく重要になるので。

あと、自分の「体感だけ」で排卵日がだいたい分かるようになっておくといいと思います。生理の日から逆算して排卵日が分かるので、前後の体調をメモしておけば、だんだん分かっていきますよ。排卵検査薬もあります。

2 妊活や妊娠前に済ませておきたいこと
今のうちに済ませておいたほうがいいこと、けっこうあるんです。妊活や不妊治療をスタートしたときにいろいろ同時進行になるのは心身が大変だから。具体的にはジム、歯医者、整体、脱毛サロン、エステなどです。

私の場合は、古傷の腰痛がやばくて、根本から治しておかないとたとえ赤ちゃんに恵まれても抱っこするの大変! と思ったので、和歌山の整骨院まで(!)毎週2、3回、数ヶ月通いました。「いつか治さなきゃ」「いつかやらなきゃ」ってことに、今のうちにどんどん着手する。そう考えていくとけっこう忙しいんですよ!「今のうちに」という意味では貯金も重要です。

3 アラフォーの妊娠・出産経験談は効く!
必ずどこかで出会ってしまうこの言葉、「子ども、早いほうがいいよ〜」。私は今、そうは言いません。言えません…。「今すぐ」が難しい人にとって、その言葉がどんなに酷であるか…。

ネガティブな情報には出会っちゃう確率大なので、ポジティブな話を頭と心にたくさん入れておきましょう! 私の場合は40代で妊娠した友人たちの話や、妊娠率の高い高度不妊治療のある技術の話をたまたま聞けたことはラッキーでした。特に40代で自然妊娠した友人たちに聞いた、タイミング(排卵日の2日前が妊娠の可能性が一番高いというデータがある)やサプリ(体を温めるものや亜鉛系のものが多かった)の話は勉強になりました。

4 妊活の鍵は「睡眠」と「温活」
妊活を始めて基礎体温をつけ、自分の体を知っていきました。いろいろな本を読みましたが、一番目からウロコだったのは、峯村静恵さんの本。何冊か出ていますがほとんど読みました。年齢によって寝る時間が重要であること(40代だったら20時とか21時就寝!)、毎日タンパク質をとることなどを説いていて、実践してみたら調子がよくなり、結果が出始めたように思います。

卵子は排卵するまで3〜6ヶ月をかけて育つので、その間の生活や栄養が重要なことも知りませんでした(精子も同じだそう)。彼女の語り口や思想的な部分は苦手ですが、読めてよかった! と思える本です。

あとは、「とにかく子宮を一瞬たりとも冷やさないぞ」という覚悟のもと、漢方や入浴、腹巻き、靴下、鍼などあらゆる方法で下腹部をぽかぽかにするよう意識していました。

【2021/12/19追記:ご質問があったので追記。峯村静恵さんの本で一番おすすめなのは『妊娠一直線』です!『最強の妊活』はツボと食の話が多めで、2冊目としておすすめ。私はさらに峯村さんのブログを数年分読み込みました。】

5 できなかったら、不妊治療、する?
私は当初、「不妊治療なんて、する気ないない!」という人でした。自然に授かりたかったし、治療には抵抗がありました。でも、化学的流産を2度して、「着床まではいくけどそれが継続しないなぁ」と、年齢のことも含めて気になっていた頃、不妊治療を始めた親しい友人から「検査項目に引っかかって今(治療で)対処している」と聞き、「えっ」と思ったんです。

その友人に「検査だけでも受けてみたら?」と言われ、頑なに抵抗していたのになぜか素直に「そうしよう」と思えました。「子どもが欲しい気持ち」と「その手段にこだわる気持ち」を天秤にかけて、私の場合は「手段にこだわりすぎて将来子どもに恵まれなかったら、後悔するな」と思って。

不妊治療に抵抗がある人は、どちらを優先したいのかを考えておくといいと思います。その人の価値観・生き方だから、どっちでもいいんです! 0か100かの話ではなくて、「検査だけ受ける」「人工授精までは受けよう」とかでもいいと思うし。

6 不妊治療は病院選びで決まる
検査を受けたら、子どもを望む場合はそのままその病院で治療するか否かを決めなくてはいけません。だから検査を受ける病院もかなり調べ、普通の産婦人科では受けられないような詳しい血液検査(不育症検査など)を専門クリニックへ受けに行きました。

病院選びが超大事。はじめからそう思って動けたのには、理由があって。私がまだ若く超絶仕事モードで、結婚も妊娠も全く意識していなかった頃、女子大の同窓会の話題がいつもたいてい不妊治療だったんです。

そのとき、友人たちの多くが治療中で
「私の体だとあまり効果が見込めない治療法に、何年も使いすぎたわ」
「私もそうだった、まじで時間とお金返してほしい!」
「治療を始めたばかりの私はウブだった、お医者さんに自分の気持ちに共感してほしい〜とばかり思ってたの。でも、違った! 一番大事なのは、技術の高さだったわ…」
「そうだよね! どこのクリニック行った?」
「○○クリニック」
「やっぱり! 私もそこだよー」などと、大盛り上がりだったのです。

これを聞いて私は「へぇ…」と思っただけだったけど、10年後くらいにその会話に助けられることになりました。つまり、あえて言いますが無駄足は踏まずに済んだのです。年齢やその人の体によって治療法やステップは異なるし、病院ごとに治療方針、培養士の技術力、使う薬剤も違います。個人的には「治療は病院選びが6割、自力の妊活が2割、パートナーシップが2割」かなと思っています。

7 不妊治療の副効用がある
いざ不妊治療が始まったら、人生初の「患者」になりました。そりゃもう感じたことは山のようにあって、聞きたい人がいればお届けしたいです(実際の妊活や治療のことは、リクエストがあれば書いてみたいし長編になりそうですが、生理やら卵子やら、体内個人情報が多すぎて(笑)500円くらいの有料にさせていただくかもしれません。こっそり教えてください…!)。

意外だったのは、治療の副効用があったこと! 私の場合は、知らなかった世界を知れて、「悔いのないようやれるだけやってみよう!」と妊娠・出産の可能性に向き合って自分の体を試していくのはおもしろかったし、パートナーとの関係も良くなって。

さらに、「絶っっっ対に欲しい、子どもがいないと私の人生成り立たない!」とまで思っていた自分の気持ちが、「今やれることは全部やっているんだから、だめだったら、それはそれで最高に楽しく生きよう」とやわらいだ部分もありました。

8 パートナー探しと、子どもが欲しい強度
当たり前のことだけど、子どもは一人では授かれない…。だからパートナー必須なんですよね。パートナー探しとキャリアと年齢とお金のバランスで悩む人は多いのでは。

パートナーがいる人は、パートナーにプレッシャーをかけないようにするのは大事ではないかなぁ。足並み揃えておくことが、育児にも影響します。

パートナーがいない人は、どれほど子どもが欲しいのか。その強度を見つめておくのは大事だと思います。よく「(何かを)欲しい欲しい」と言いながら行動にはうつしていないように見える人っていますけど、あれは嘘はついていなくて強度がそんなにないんだと思うんです(事情があるかもしれませんが)。私は、もう1000%、絶対に欲しかったので、受け身はやめようと思って。だからこそ失敗もたくさんあったんだけど(笑)。よかったら、この記事も読んでみてください。

9 コントロールできないこともあるから「趣味」で!
コントロールできないこともあるのが人生。妊活や不妊治療では、生理がくるたびどーんと落ち込んで、なかにはうつ状態になってしまう人もいるそうです。強く望んでいるんだから、うまくいかなければそりゃ落ち込みますよね。

でも、妊活や不妊治療を「趣味」くらいに思って取り組めると、うまくいかないときの心持ちが違うと思います。これは、親友に教えてもらいました。「趣味くらいに思ってやってるよ。妊娠できたらラッキーってね」。「私にはこれしかない」っていう状態だとしんどくなりやすいのは、何事も同じかもしれません。ここに陥らないよう工夫しておくのはポイントだと思っています。

10 妊活中・治療中の人の気持ち。自分はどうなりそう?
私は全然知りませんでした。妊活・不妊治療中でなかなかうまくいっていない人たちの多くが、「天から赤ちゃんがお母さんを選ぶ」といった話や、「赤ちゃんはあきらめたときにできるって言うよね」などのアドバイスが苦手・嫌いだ…ってこと。20代の頃、誰かへ安易に言ってしまったことがあったかもしれないと反省しました。

赤ちゃんのSNS投稿を見るだけでつらい人とか、いろんな状況の方がいらっしゃるんですよね。妊娠できずに「人として否定された気持ちになる」と言っている人や絶望している人に接したこともありました。「育児のつらさを愚痴るのは贅沢」と言っている人にも。とてもつらそうだったし、彼女たちに私ができることは何もなかったです。

私の場合は、晩婚だったし、独身時代の孤独がつらかったので、「結婚して妊活できるなんてありがたいな〜」という気持ちがあり、そして20代でがんで亡くなった友人から命の大切さを教えてもらい「命があってありがたい」とも思っていたので、それほどつらいことはありませんでした。

11 結婚や妊娠・出産をゴールだととらえすぎない!
産前、あることを機に気づかされたのは「なぜそんなに出産の形にこだわっていたのだろう?」ということでした。そこを「ゴール」のようにとらえていたから、形にこだわってしまったんでしょうか。「あそこまで頑張ろう」という山頂のようにとらえていたかもしれません。

結婚にしても妊娠・出産にしても、むしろ、そこが「スタート」。一番大事なことはなんだっけ? 変に形にこだわっていない? と確認して、自分やパートナーや赤ちゃんの“ベスト”を探していくといいと思います。

以上です! 一生懸命書いてみたけど、偉そうに感じたらすみません。
これから“そこ”に飛び込む人の気持ちが少し軽くなればいいなと願って。