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あ、やりがいとかいらないんで、とりあえず残業代ください

はじめに

「あ、やりがいとか要らないんで、とりあえず残業代ください」
大分問題のある発言です。
わたしの場合、どちらかというとやりがいがあれば残業代はどっちでもいいやと思ってしまいます。
「やりがいの無い仕事を死ぬまで続けることができますか?」
と逆に問いたいくらいです。
かれこれ20年以上ITサラリーマンをやっていますが、長いです。人生が長い。お金は必要ですけど、お金だけで仕事は続けられないです。
ただ、わからないでもないんです。そう言いたくなる気持ちも理解できるんです。嫌悪感と共感がなぜ起きてしまうのか気になって、「あ、やりがいとか要らないんで、とりあえず残業代ください」という本を読んでみました。

当たり前に気づいていない

実は、現代の労働者ってだいぶ恵まれているのです。以前の記事「蟹工船ってそういう話だったのか!」にも書いたように、昔はもっとブラックだったのです。今の労働環境はだいぶ改善されていて、先人たちの苦労を思えば「あ、やりがいとか要らないんで、とりあえず残業代ください」
なんて、だいぶ傲慢な労働者だなと思ってしまいます。労働者は、法で守られている立場に甘えすぎだろう、というところに嫌悪感を覚えます。

しかし、これは洗脳されているのかもしれません。まずは社畜診断からです。

社畜診断 あなたは何社畜?

奴隷型社畜
【特徴】
お金が無さ過ぎて会社を辞めるに辞められない。転職できる能力がない。労働者の権利を知らない。とにかく色々無い。

ハチ公型社畜
【特徴】
会社への忠誠心がやたらと高い。経営者目線を持っていると自負する。でも、その思いは片思いで終わることが多い。

寄生虫型社畜
【特徴】
何があっても会社にしがみつく。会社を利用しようという考えが根っこにある。寄生虫よろしく、会社が潰れると死ぬ。

腰巾着社畜
【特徴】
上司や先輩に媚びへつらう。派閥大好き。会社内のポジションが大事。役職重視。社内政治家。市場価値が低い。

ゾンビ型社畜
【特徴】
社畜でない人間を社畜にしようとする。社畜でない人間が許せない。他人に対して非寛容。

自己分析

社畜診断では、奴隷、ハチ公、ゾンビが該当しています。ただ、ここ最近はハチ公だけになりました。
奴隷に関しては、貯蓄を進めたので解放された感はあります。
ゾンビに関してはいろいろ本を読んで、人はそれぞれ考え方が違うんだな、と理解できるようになりました。他人は動かない、自分が変われという方針で生きていますので、他人が気になりません。
問題は、ハチ公だ……。

なぜハチ公になってしまうのか

やっぱり、就職したり、転職したりしたときに来て欲しいと言われると、うれしくなってしまいます。こんな自分を必要としてくれるんだから、有難いなと思ってハチ公化してしまうんですね。
特に就職氷河期のときの就職は、就職できることに感謝しかないわけです。完全に会社が強い立場でしたよね。
ところが最近は、労働者が売り手市場になっています。だからか、最近は上から目線の労働者が増えているのかな、と思います。
どっちがいい、悪いではないと思います。そういう時代の流れですから。ただ、この点については、なかなか分かり合えない部分なのではないかな、と思います。
就職が困難な苦しさは、味わってみないと理解できないです。生き死に掛かっていますからね。
親を信じて大学進学を目指して子供の頃から受験戦争をやって、勝ち残って大学出たら仕事がない、話が違うじゃんと思ったり、大学出てなかったらもっとやばかったと思ったり、とにかく親や先生が言っていたことと、大分違うぞ?と思ったのはありますね。
そんな状況で、我が社に来てくれと言われたら、そら尻尾もブンブン振るというものです。
そんな中、「あ、やりがいとか要らないんで、とりあえず残業代ください」と言っている人がいたら、なんて傲慢なんだと思ってしまいます。

でも、やっぱりおかしいんだよ

どんなに会社に忠義を尽くしても、上は何も見てくれていないと思ったことはあります。ハチ公のところに書いた、「その思いは片思いで終わることが多い」がすべてを言い表している気がします。
終身雇用制度が崩壊していく様をリアルタイムで見ているのが私たち40代の世代です。
終身雇用制度は、どんな理不尽にも耐えろ、忠誠を尽くせ、その代わりお前の人生は会社が守ってやる!という、男前な制度なんです。
ところが、すでに終身雇用制度は崩壊しています。
日本一の企業であるTOYATAがギブアップ宣言してしまいましたよね。
もう、崩壊してるんです。
ですが、忠誠を尽くせという空気だけがまだ残っている。
特に私たちの世代はそれがまだ残っています。
一方で、若い世代は終身雇用制度なんて知らない。忠義を尽くす理由がわからないのです。ですから、若い人たちにとっては、すでに終わった終身雇用制度の名残で、いつまでも尻尾を振っているハチ公が哀れに映るのでしょう。そう考えると、「あ、やりがいとか要らないんで、とりあえず残業代ください」と言う人の気持ちも共感できます。

どうすればいいのか?

自立しなさい、ということでした。別に会社を憎む必要はないのです。
ただ、会社に依存しすぎないように貯蓄をしたり、スキルを身につけたりして、自分自身を経営しなさいということです。
会社は自分の取引相手だと思って接するべきだと言っています。
確かにそうです。会社に求めすぎなんだよ、と言われれば共感しかありません。

まとめ

「あ、やりがいとか要らないんで、とりあえず残業代ください」
が、実は時間の流れによって会社の見え方が変わってきていることを象徴する一言だった、ということです。
会社が守ってくれる時代はとっくに終わっていることを認識し、対等な関係で会社と付き合えるようになりたいものです。
対等な関係でいるためには、ただ働くだけではなく、取引相手に対して必要とされる能力の獲得や、収入の分散化などの工夫が必要になります。
つまるところ、会社に守ってもらいすぎ、もうちょい労働者も頑張れということですかね?

ところで、あなたはどの社畜タイプに当てはまりますか?コメントで教えてください!


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