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トラウマケアの基礎理論13 安定化段階でなにをしていくべきか?④ セルフケア編


安定化について、Part.4になります。

Part.1・2・3はこちらから。

Part.1

Part.2

Part.3



※今回の内容もあくまで私の考える「安定化」であり、
お読みの皆さんの背景まではわからないので、絶対視せず、ヒントの一つとしてご覧ください。すでに治療中の方は、ご自身のセラピストとの治療計画を優先してください。


安定化記事のシリーズ全体の目次

<目次>
1、治療同盟
2、心理教育

3、感情のアップダウンを静める

4、解離が阻むもの
5、身体の感覚が分からない
6、セルフケア 〜自分をいたわること
7、記憶に触れるのが怖い
8、愛着テーマ
9、その他


今回は、
「6、セルフケア 〜自分をいたわること」

「7、記憶に触れるのが怖い」


を扱います。


1、セルフケアとは

セルフケアとは、読んで字の如く「自分で自分をケアする」ことです。

「今日は頑張ったな…」
「ちょっとここのところ無理しすぎたかな…」

というとき、自分をお疲れ様、といたわる行動です。

やり方は人によってさまざまです。一般的には、

・ゆったりお風呂に入る
・パーっと飲む
・美味しいものを食べる
・マッサージを受けに行く
・趣味に没頭する

などなど。

安定化段階で、カウンセラーと
自分にとっての息抜き・ガス抜きの時間の取り方を話し合うことは大切です。


(1)セルフケアが苦手な人もいる

セルフケアにはいわゆる「休む」という意味合いもあります。

・のんびり過ごす
・何もしないでぼーっとする時間を取る
・タスクをなるべく空にする

等なのですが、

この「休む」という行為はなにげに人によっては
難しい、と感じる人もいます。

ここも実はトラウマの影響で、それがしづらくなっている時があります。

・「頑張っていない自分は価値がない」

・「周りの人のほうが頑張っているのに、自分が休むわけにはいかない」

・「周りに迷惑がかかるから…」

など、休む行動へのブロックがかかってしまう時はないでしょうか?

周囲から「そろそろ休んだ方がいいよ」と助言されるものの、
自分の中ではなかなかOKが出せない…ような時はないですか?

それはそれで、そうあることがその人にとっての
過去のしんどい場面を生き延びる対処であった可能性があります。

なのでそうした方は、無理に休もうとすると、
逆にしんどくなってしまいます。

どんな形なら「自分なりの」休みが取れそうかを
話し合っていくことが肝要です。

ここの話は、実は安定化Part.2の
「気分のアップダウンを静める」と重複しています。
併せて参照ください。



(2)好きなことがわからない

セルフケアに関連してもうひとつ。

余暇を過ごそうにも、
自分の好きなことがわからない(自分には趣味がない)
という方もいるでしょう。

これも割と共通してある話です。

・自分の欲求よりも周りの欲求を優先させなければいけない

・周囲の求めに応じることはできるけど、自分がなにをしたいかがわからない

といったものが多く、
概ねその方のライフストーリーと関連があります。

愛着テーマが根深いところで絡んでいたりもするので、
そのテーマの理解が進むと、
徐々に自分の欲求自体を大事にできるようになることもあります。


2、記憶に触れるのが怖い


EMDRを行う準備段階をひととおりやった上で、
もうひとつ確認しておきたいのは、

「記憶の処理にとりかかることへの怖さはどうか?」

というポイントです。

人によっては、言葉にするのもきつい出来事もあります。

その人にとって、過去にとりかかる気持ちの準備ができることが
なによりも優先されるべきだと思います。

また周りの生活環境が落ち着いていることも大切です。

受験や、論文作成、子育て、引っ越し、など人生のライフイベント
があるときは延期した方がいい時もあります。

セラピストと話し合いながら、
自分にとって安全に、落ち着いて過去と向き合えるタイミングを探したいものです。


怖さ自体については、
もちろん、完全に怖さがなくなる必要はないと思います。
大事なのは、耐性領域から外れないで向き合える、ことです。

本記事シリーズでも何度か触れてきた、
「現在に留まりながら、過去を眺められる」
というやつですね。

チェックポイントとして、
・ある程度、出来事を言語化しても耐えられる
・仮に耐性領域外に外れても、戻ってくる方法と見通しが持てる

のは大切です。


(1)滴定(あるいは、ペンデュレーション)

いきなり出来事に全部向き合うのがむずかしい、というときは
「滴定(てきてい)」という考え方があります。

容れ物いっぱいに溜まったトラウマの中身を、
一気に浴びるとさすがにきついので、

「一滴ずつ」「ちょっとずつ」
取り出して、安全に処理するという発想です。

このとき必要なのは、
「安心感・安全感」の足場
です。

安心の感覚を軸にして、少しづつトラウマ出来事と
「行ったり来たり」しながら、徐々に緊張を減らして、
感情的な負荷量を減らしていきます。

安全に不安を取り出しながら処理するトラウマ技法は
近年たくさん開発されてきているので、
そのセラピストの最も得意なやり方で進めていくといいと思います。



私の記事も、滴定。。

さてさて、安定化シリーズは、
自分でも想定外にけっこうなボリュームになってきて、

これいつ終わるんだ?と自分でも書いてて若干引いています。

なんで私も今回はここらへんまでで「滴定」して終わろうと思います。
(いつも長くてスミマセン)

どうぞご参考までに。
今回もお読みいただきありがとうございました。


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