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【連載】家族会議『違いを違いとして受け入れられない』

「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。2020年1月6日から約4ヶ月に渡って行った会議の様子を、録音記録をもとに書き記しています。

前回の記事はこちら。

【家族構成】
父:自己愛性パーソナリティ障害。頭に血が上ると大声で威圧する。
母:自己肯定感が低い。自分の意見を言えない。
姉:うつサバイバー。心理カウンセラーをしている。
わたし:性犯罪サバイバー。家族会議を主導する。
※遠方に住む姉は家族会議には参加していない。
※家族会議の目的は、夫婦仲の改善と、うつを抱える姉の気持ちをわかってあげられるようになることである。

家族会議17回目#2|違いを違いとして受け入れられない

――この日の家族会議は、2回目の会議の録音を振り返りながら話し合いをしている。



聞いてていろいろ思うことがあったんだけど、話しちゃっていいのかな。

わたし
うん、どうぞ


聞いてて思ったのは、お父さん、結婚するまでに実家を出て働き始めて、もう10年ぐらい経ってたわけだよね?

それまでにいろんな人の家に行ったり、いろんな世の中、自分の育ったところと違うのをいろいろ見てたと思うんだけど、なんかそれでも、私の実家の違い、自分が育ったとことの違いに、そんなにびっくりするんだなみたいな感じ。


――家族会議2回目の話題は、実家の習慣の違いだった。

母は結婚当初、父から習慣の違いを馬鹿にされていた感覚があり、父の意識下に、「俺の家が正しい。お前の家がおかしい」というものがあるのを感じていた。

もちろん父は「そんなつもりはなかった」。…と言っている。「知らなかったからびっくりした」のだと。

母としては、それぞれの家に習慣の違いがあることを、「20歳後半にもなって知らないってある?」「そんなにびっくりする?」と。

まぁ、他の家の習慣に、「へえ!」と驚くことはある。だけど多くは、「この家はそうなんだな」と思うにとどまる。父が問題だったのは、違いを違いとして受け入れられず、“間違い”としてしまったことにある。



いや10年間、確かに経ってはいるけども


しかも大阪とか四国とか、岩手のからすごい距離でしょ?すごいいろんなとこに行ってるから、もういろんなものを見たり聞いたりしてると思うんだけど、その割には・・・そうなんだなって思った。うん思った。


はいそうですね。


――「いや10年間、確かに経ってはいるけども」のあと父はどんな反論をしたかったのか気になるけれど、辞めたらしい。



で、あとは、結婚したばかりの頃、婿呼びで(私の)親戚に呼ばれて、「ちょっとあれはきつかったな」って言ってたじゃないですか。それを聞いてて思ったんだけど。


――母の実家には『婿呼び』と言われる習慣があった。親戚の中で結婚した女性がいた場合、その花婿を各家庭に招待してもてなすのだそうだ。

素敵な風習のようでもあるが、人見知りの花婿にとっては罰ゲームだろう。

父もこれが「きつかった」と言っている。のに対し・・・



お父さんが会社の人を家に連れてきた時に、(私が)「緊張してた」とか、「すごい気遣いすぎだ」とか言ってたけど、それはまあ事実だけど、その気持ちは全くわからないではないよね?


――父は、会社の人を家に招いたときの母の対応が不満だったと言っていた。気を遣いすぎだし緊張しすぎだから、もう家に人は呼べないと思ったと。(何度も呼んでいるけれど)



お父さんも、よく知らない人の家に行ったら緊張してたと思うんだけど。だからまあ、似たような感じじゃなかったのかな?

お父さんだけが知らない人の家にポコッと行って、そこでなんか話をしなきゃいけない。ある程度の時間一緒に過ごさなきゃいけないっていうのは、やっぱ緊張とか。「きつかったな」ってさっきも言ってたけど、同じような感じだよね?って。


おっしゃる通りですね。だからデリカシーがないって言われるんじゃないでしょうか。その通りだと思いますよ。


あとはそうだね。なんか私はまあ、とにかくお父さんの実家のやり方っていうものに、合わせようともしてたし。

もちろん老松との違いに、びっくりなんていうのはなかった。「あ、ここはこうするんだな」みたいな感じで、やり方とか見てそれに合わせようとしてた。だけど…これは何を言いたいんだ?私。

わたし
「私は受け入れられたよ」。みたいな?


そうそう!なんかそんなことを言いたいみたいな感じです。笑
私は受け入れてたんだけどな~みたいな感じ。


わかりました。立派でございます。


いやいや。笑

だから、なんかそうだね、お父さんがいろんなことにびっくりしたり驚いたりしてたのは、まあ別に、それはその通りだったんだろうけど。

無邪気っちゃ無邪気な感じかな~みたいな感じも、ちょっとしたの。っていうのが、今のところ私が思ったことなんです。


アホでございます。


まあだから、なんか純粋とか泉も言ってたけど、本当にまあ、思ったまんまみたいな。思ったんなら言ったりしていいと思うよ。いいと思うけど。

ああ、そうなんだなーって感じで、聞いてて思ったの。


――父の言うことには矛盾が多い。そのときどきで「思う」ことはいろいろあるだろうけど、それを相手の立場に立ったり、自分の立場に置き換えて考えることができない。

だからこうして、母に突っ込まれるのである。


- 今日はここまで -


今読んでいる『ちょうどいいわがまま(鎌田實著)』という本に、書いてある。

自分の思うとおりにやっていくというわがままは、自分を大切にするということです。(中略)ただしそれは「他人の大切な領域に踏み込まない」という意識とセットです。自分の主体性を守りながら、相手の主体性を敬う。その線引きが大切になるのです。(中略)良好な人間関係をつくるために、「自分の思い」と「相手の領域」のバランスを上手に取らなければなりません。

出典:『ちょうどいいわがまま』著・鎌田實

<次回に続く>


これまでの家族会議記事はマガジンにまとめています。お時間あればぜひ、わが家の会議をのぞきに来てください!

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