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【連載】家族会議『誘導尋問』

「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。その様子を、録音記録をもとに書き記しています。

前回の記事はこちら。

【家族構成】
父:自己愛性パーソナリティ障害。頭に血が上ると大声で威圧する。
母:自己肯定感が低い。自分の意見を言えない。
姉:うつサバイバー。心理カウンセラーをしている。
わたし:性犯罪サバイバー。家族会議を主導する。
※遠方に住む姉は家族会議には参加していない。
※家族会議の目的は、夫婦仲の改善と、うつを抱える姉の気持ちをわかってあげられるようになることである。

家族会議8日目#4|誘導尋問

――母に子供のころの思い出や、そのとき感じていた気持ちを聞いてきたところで、突然父がインタビュアーを始めた。

それがなんとも、誘導尋問のようである。



おばあちゃんからの温かい、なんて言うの、いい思い出っていうのかな、あとどんなものがありましたか。


あった気はするんだけど、

わたし
抱きしめてもらえるようなこともあったのかな?


あった、あった、、あった、、かな?

わたし
あんまり思い浮かぶシーンはないんだね。


それは後からでいいとして、おじいちゃんから嫌なイメージを、持たれるようなことはありましたか。


おじいちゃんから?おじいちゃんに対して私が?


うん、やって欲しくない、これやだなって


嫌だなっていうのは、この間も言ったけど、友達に意地悪されて、それをおじいさん(父親)に勢い込んで言い始めたら、「人の悪口は言うんじゃない」って言われたのが、小学校、低学年の頃だと思うんだけど。もう場所も覚えてるよ。道路でなんだけど。

わたし
うん


なんでおじいちゃんと2人で歩いてたんだろう。なんか授業参観とか?わかんないけど道路で歩いてて、田んぼのところで。それまでも何か一緒に話しながらいたと思うんだけど、その話を始めた途端それを言われてやめたっていうのが、なんかずっと覚えてるな。っていうのがおじいちゃんにされて嫌だったこと。


あとはあまりまだ


すぐには出てこないな


ということは、母親に対してのイメージは、嫌なことが結構出てくるんだ。


そうだよね。


おじいちゃんにはあんまりない。逆におじいちゃんからいいイメージは、ちょこちょこ出てくるんだけど、おばあちゃんからあまりない。この差って何だろう。


なんだろう?なんだと思う?


――父の着地点は決まっている。父は「会話すると軋轢が生まれる」と思っていて、基本的に業務連絡以外の会話をしたくない。家族会議で本音を話そうなんて、父にとっては軋轢しか生まれない場なのである。

だから父は、母の子供のころの親との関係も、それに当てはまっているだろう?ほらみろ。と誘導したいのだ。



なんだって思うと、勝手な想像なんだけど関わりじゃない?


おばあちゃんとずっと一緒にいる。おじいちゃんとあまりいない?


いるかいないかっていうよりも、


接触する時間みたいなこと?


口出しの接触する時間、


うん、そうだね、おじいちゃんからはそんなに、、、おじいちゃんってそういえば注意するとき、優しく注意してくれて。

わたし
すごいねおじいちゃん。


なんか遠慮がち。そんな感じで、あまり注意されたことはない。


おばあちゃんはストレート


お母ちゃんはストレートというか、自分のイライラを乗っけてくるっていう感じ。

わたし
結構怒る感じ?


怒るというよりは、愚痴るみたいな感じかな。

わたし
ぐちぐちブツブツ言うみたいな。


そういう感じかな。で、人と比べるっていうのは、よくおばあちゃんがやってたと思うんだけど、おじいちゃんはそういうの、「あんまりよくない」ってことは言ってた。


で、なんで俺こういう質問したかというと、


なんでそれを先に言ってよ。答えさせてからじゃなく。


――祖父はあまりものを言わず、祖母はぐちぐち口数が多い。口数が多いほど、つまり会話が多いほど、その相手とは軋轢が生まれているだろう?だから余計な会話はしないほうがいい。余計なことは言わないほうがいい。父はその持論を展開したかった。

だけど母に「それを先に言ってよ」と、不快感をあらわにされたことで言及を避けた。



いや、ヒントいっぱいいただいたんですよ。おじいちゃんの文句言うにしても、何するにしても、自分の意見はこうだっていうのを、ストレートに言わずに柔らかく言うと。いうのがいいやねぇ、それね。


――父が質問した目的は、ヒントをいただくためではない。証拠集めをするためだ。それをヒントなどと美化するから、話がややこしくなる。


- 今日はここまで -


父は会話の主導権を握っていたい。そして自分の思い通りに誘導したい。

ひと昔前までは、思い通りにならなければ怒鳴って威圧すれば、妻も子供も思い通りになった。けど、わたしたちは知識を得た。一筋縄ではいかなくなったのだ。

だから論破テクニックを使おうとする。けどそれには、膨大な知識と確固たる自信が必要である。浅はかな論破テクでは、すぐに揚げ足をとられる。口を開けば開くほど、墓穴を掘るのが父なのだ。

確かにそんな会話では、軋轢しか生まれないだろう。わたしたちは、父の本音を聞きたいだけ。共鳴したいだけなのに。

<次回に続く>


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