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子どもの貧困とネグレクト(育児放棄)その原因と、「母親だけを責めないで」

皆さん、如何お過ごしですか。「社会執筆家」になると決めた瑚心すくいです。そもそもそんな名詞あるのか?と言われればないかもしれません。(何で!((+_+)))

社会的課題をメインテーマに執筆活動をする人、と定義してください。
それでは今回も「気にいったらサポート!」よろしくお願いいたします。

増加し続ける児童虐待

平成30年の児童虐待件数は159,850件(平成29年が133,778件で26,072件の増加です。増加比19.5%)

児童虐待には大きく分けて4つあります。

1.身体的虐待:殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など

2.性的虐待:子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など

3.ネグレクト(育児放棄):家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など

4.心理的虐待:言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など、です。

平成21年から30年の児童虐待件数の推移と種類別実数は、
(厚生労働省)

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圧倒的に、心理的虐待が88,389件で全体の55.3%を占めています。

ネグレクト(育児放棄)の具体的なもの

ネグレクトは、保護の怠慢、養育の放棄・拒否などと訳されています。
(オレンジリボン運動より)

保護者が、
1.子どもを家に残して外出する、
2.食事を与えない、衣服を着替えさせない、
3.登校禁止にして家に閉じこめる、
4.無視して子どもの情緒的な欲求に応えない、遺棄するなどを指し、
5.育児知識が不足していてミルクの量が不適切だったり、
6.パチンコに熱中して子どもを自動車内に放置する、
なども入ります。

乳幼児や年齢の低い子どもに起こりやすく、安全や健康への配慮が著しく欠けたために、子どもが死に至るケースもあります。病気なのに病院に連れて行かない、医療ネグレクトも存在します。

事例1
夫に借金があるのがわかり、息子が6ヶ月になった頃から、泣き声が耳につき、だんだんうるさくなりました。息子はいい子なのに、私はミルクをあげるのがおっくうで、お腹がすいて泣くのを放っておくのです。息子は泣き疲れ、指をしゃぶりながら眠ってしまいます。申し訳なさに涙が出るのですが、また、同じ事をしてしまう二重人格の私がいました。

事例2
ふたりの子どもがいますが、上の子を、うまく愛せませんでした。下の子と同じように可愛がることも、抱き寄せてやさしくしてあげることもできません。側にこられただけでイヤな気分になったりすることもあります。いまのままでは上の子どもは精神的な面で将来大きな傷になりそうです。どういう風に育児をしていいのか全然けんとうもつきません。

ネグレクトについての考察

子どもを授かったものの、育児が出来ない。
そもそも母親自体が精神疾患者であることが多い筈だ。つまり育児の常識を逸脱しているからだ。

何故かと言うと、育児によるストレスが度重なって愛情に必要なホルモンが減少していくのである。

親子間で愛情を深め仲間と信頼感を育むとき、人の脳の中では「オキシトシン」と呼ぶホルモンがたくさん作られています。以前は分からなかった多彩な機能がこのところ相次いで見つかり、心身に安らぎをもたらす体内物質と注目を集めているのです。

子どもの貧困とネグレクト

ネグレクトや虐待は、個人的、家族的、社会的な要因が複雑に組み合わさって起こります。

親がネグレクトや虐待を行う可能性を高める要因は、片親である、貧困状態にある、薬物やアルコールの乱用の問題を抱えている、精神的な問題(パーソナリティ障害、自尊心が低いことなど)があることです。

また、親が子どもの頃に身体的虐待や性的虐待を受けたことがある場合、自分の子どもを虐待する可能性がより高くなります。貧困家庭の子どもでは、貧困でない家庭に比べてネグレクトが12倍も多くみられます。

初めての子育てや、両親が青年期であること、また5歳未満の子どもが数人いるような家庭でも、虐待のリスクが高くなります。

妊娠中に出生前ケアを受けていないか、喫煙や薬物乱用がみられる、またはドメスティックバイオレンスの被害を受けていた女性も、子どもを虐待するリスクがあります。

ときに情緒的な強い絆が親子間に形成されないことがあります。 このような絆の欠如は、乳児期早期に親から分離された未熟児や病気の乳児、または生物学的血縁関係のない小児(例、継子)でより高頻度に生じ、虐待リスクが高くなります。

身体的虐待、情緒的虐待、およびネグレクトは、貧困や社会経済的地位の低さに関連しますが、性的虐待を含めたすべての種類の虐待は、社会経済集団のあらゆる層で発生します。

ネグレクトや虐待によって現れる症状は、ネグレクトや虐待の種類や期間、小児一人ひとり、および特定の状況に一部依存して異なります。

症状には、明らかな身体的外傷に加えて、情緒障がいや精神障がいもみられます。このような問題は、ネグレクトや虐待を受けた直後に現れる場合や、しばらく経ってから現れる場合があり、長引く場合もあります。

ときに、虐待を受けている小児に注意欠如・多動症(ADHD)の症状が出ているようにみえることがあり、このような場合には、誤って 注意欠如・多動症と診断されます。

身体的ネグレクト
身体的ネグレクトを受けた小児は、低栄養状態に見えたり、疲れていたり、不潔だったり、適切な服装をしていない場合や発育不良の場合があります。

また、学校を休みがちになることもあります。極端な例では、小児が一人きり、または兄弟姉妹だけで暮らしていて、成人が監督していないことが発覚する場合もあります。

監督されていない小児は、病気になったりけがを負ったりすることがあります。身体的ネグレクトを受けた小児は、身体的発達や情緒的発達が遅れることがあります。なかには、飢えや野ざらしにされることによって死亡する小児もいます。

具体的なオキシトシンの効果

自治医科大学の尾仲達史教授はオキシトシンがもたらす効果を分かりやすく解説する。(日本経済新聞より)

最近の研究から、親子や友人、同僚などが一緒に食事をする際、良好な関係にあるほど体内でオキシトシンの量が増える傾向が分かった。不安な時に出るストレスホルモン「コルチゾール」の発生を抑え、信頼感を育んでいるという記憶を強める効果があるようだ。

約60年前に物質が判明したオキシトシンは当初、哺乳動物が出産時に子宮を収縮させる働きと授乳時に乳を出すように促す働きしか分かっていなかった。

ところが1990年代半ば、ネズミにオキシトシンを注射する米国での実験でつがいのきずなが強まる行動が確認されて以降、見方ががらりと変わった。

脳の中でどんな作用をしているのかを探る研究に火が付き、人間でも同じ効果があるのではないかと考えられるようになった。

授乳時のオキシトシンは単に乳腺を収縮させて乳を出しやすくするだけでなく、母と子の脳内で相互のつながりを記憶にとどめる役割を持つことが確かめられた。

スウェーデンで誕生した、肌に優しく触れる「タクティール・マッサージ」は、オキシトシンを促して神経を静める効果がある。慢性の痛みに悩む患者を抱える大学病院などで看護に役立てられている。

安心したからオキシトシンが作られるのか、オキシトシンが作られて安心感が高まるのか、原因と結果の関係がまだ十分に解明できていない面はある。

しかし「オキシトシンを促す行動や活動を意識すれば、日々健やかに過ごせる可能性が高まるのではないか」と尾仲教授は指摘する。

育児放棄(ネグレクト)の原因を解明

難しいですけど、是非読んでください(専門家の研究なので・瑚心すくい)

【本研究成果のポイント】
育児放棄をするネグレクトマウスを解析した結果、以下のことが分かった。
1. 将来、育児をするか?しないか?は、そのマウスの胎子期に決定する。
2. 妊娠時、プロラクチン分泌が少ない母親から生まれた子は将来ネグレクトになる可能性が高いが、プロラクチンを投与したネグレクトの母親から生まれた子は、将来ネグレクトを回避できる。
3. 胎児期の神経内分泌環境は将来(次世代)の育児行動の形成に重要である。

群馬大学医学部附属病院の西連寺拓臨床研修医、
群馬大学大学院医学系研究科の鯉淵典之教授らは、
高崎健康福祉大学の下川哲昭教授や静岡大学、ワシントン大学(米国)、オスロ大学(ノルウェー)、ゲーテ大学(ドイツ)の研究グループとの共同研究により育児放棄(ネグレクト)の原因を明らかにしました。

ネグレクトは幼児虐待の一つとして大きな社会問題になっています。しかし、その原因を実験的に明らかにしてネグレクトを科学的に理解するまでには至っていません。

研究グループは、出産数も乳腺の機能も正常だが子育てに興味を示さないネグレクトマウスを解析しました。

その結果、
(1) 将来子育てするか?しないか?は、従来から考えられてきた母親の妊娠期や出産後ではなく、母親自身がその母親の子宮内にいた胎児期の神経内分泌環境によってその方向性が決定される、

(2) その決定には、胎児期の脳内環境、特に母体の脳下垂体から分泌されるホルモンであるプロラクチン[1]が重要である、

(3) 母体からのプロラクチンによって将来育児行動に必要な脳内育児神経回路[2]が活性化する、などを明らかにしました。

今回の成果は、年々増加するネグレクトに対してその原因と発症メカニズムを理解し、ネグレクトを回避するための基礎的な知見になると期待されます。
本研究成果は、米国科学アカデミー紀要 (Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America) の電子版に米国東部時間 11 月 20 日午後3 時に掲載されました。

研究の背景

厚生労働省は、児童虐待の相談種別対応件数 122,575 件のうち 25,842 件が「保護の怠慢・拒否(ネグレクト)」で、全体の 21.1%を占めると報告しています(平成 28 年度社会福祉行政業務報告[3])。

この数は前年(27 年度)に比べ件数で約 1,400 件、割合で 6%増加しており、年々増加しています。ネグレクトの原因に関しては「幼児期にネグレクトされた人は、将来親となった際に今度は自分の子供をネグレクトする」といった断片的な知見が先行するもその科学的理解は極めて乏しい現状です。

研究の方法と結果

研究グループは、CIN85[4]という遺伝子を欠損し[5]ネグレクトするマウスを解析しました。

このマウスは、正常なマウスと同様に妊娠し同程度の数の仔を産みます。しかし、生まれた子供達はミルクも与えられず 2〜3 日後に死んでしまいます。

当初、母親がミルクを産生できないことを想定して乳腺の構造と機能を調べましたが、出産したネグレクトマウスは十分なミルクを産生していました。

このネグレクトマウスは、その母親の遺伝子型によってネグレクトの割合が異なることから、胎子期環境の違いを解析するため胚の交換移植[6]を行いました。

ネグレクトマウスの卵管に正常マウスの二細胞期胚を移植し、反対に正常マウスの卵管にネグレクトマウスの胚を移植します。それぞれ誕生した仔を成熟後、妊娠・分娩させ育児行動を観察しました。

ネグレクトマウス代理母より生まれた正常マウス胚由来の仔は成熟後、正常マウスにもかかわらず強いネグレクトを示しました。

一方、正常マウス代理母より生まれたネグレクトマウスの胚由来の仔は成熟後、正常な育児行動を示しました。これらの結果より、胎子期環境が将来の育児行動の発現を決定している可能性が示されました。

次に胎児期のどの因子が将来の育児行動に関わっているかを特定するために、脳下垂体ホルモンの一つであるプロラクチン (prolactin, PRL) の動態を調べました。

PRL は授乳や保温など育児行動の発現に必要なホルモンであると考えられています。妊娠後期におけるネグレクトマウスの血中 PRL 濃度を測定すると、正常マウスに比べ著しく低いことが分かりました。

また、胎子期における母体からの PRL の影響を検討するために、妊娠後期に PRL 分泌が低下しているネグレクトマウスに出産まで PRL を投与しました。
その結果、PRL を投与したネグレクトマウスから生まれた子供達はネグレクトせず正常マウスと同程度に育児行動を示しました。

さらに、育児行動発現のためには脳内育児神経回路(視床下部内側視索前野−腹側被蓋野−側坐核−腹側淡蒼球)の形成と活性化が必要です。

ネグレクトマウスでは正常マウスに比べこの神経回路の活性が著しく低下していますが、PRL を投与したネグレクトマウスから生まれた子供達の育児神経回路は、子育てする正常マウスと同じレベルまで 活性が上昇しました。

以上の結果は、将来(次世代)の育児行動の発現には胎児期の神経内分泌環境、特に母体からの PRL 受容が不可欠であり、ネグレクトはその機構の破綻によって起こることを示しています(以下図参照)。

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【本研究成果の意義】
将来の育児行動の発現に胎児期(子宮内期間)における神経内分泌環境が深く関わっていることが明らかになりました。

本研究はマウスで行われましたが、今後、人における出産後の育児行動に対して、母親自身の胎児期環境の解析という視点で研究が進められることが期待されます。

また、ネグレクトに関して、特に「養育に対する知識や経済力の不足」などの明確な理由のないネグレクト(積極的ネグレクト[7])の病態と発生メカニズムは医学的にも精査されていません。

法制度や行政の充実とともに、ネグレクトの医学的・神経学的側面からのアプローチによる研究が加速され、理解が深まることが期待されます。さらに、PRL などのホルモン療法によるネグレクト回避のための研究の展開が期待されます。

以下、著作権など参照

ネグレクトの本質

オキシトシン、プロラクチン、等ホルモンなどの物質のはたらきを調べることによって虐待やネグレクトが発生する研究がされていますが、ネグレクトは1つのことが原因ではなく、育児環境やいろいろな要因が重なっていることから、多数の専門分野の視点から考えなければならない問題です。

ネグレクトや虐待をしてしまう人は、いろいろな理由で幼少時代に自我が育っていないため、社会とコミュニケーションを取ることができないで、困っているときに困ったと言えない人たちも少なくありません。相談相手がいないため、行き詰まってしまう事があるのかもしれません。

最後に

女性の自殺が昨年より増加傾向にある話で、女性同士のコミュニケーションの大事さを考えさせられます。

自治医科大学の尾仲達史教授はオキシトシンの話はまさにそうで、昔からの女性の「井戸端会議」の些細な集まり(ストレスになっているケースもありますが)によって悩みが解消できればいいことです。

三世代家庭がめっきり減って、母親の子育ての負担が増えているのは事実ですが、食生活などはじめ日常生活の悪き習慣が子どもへの愛情の欠如につながっていることも事実です。

しかし母親だけを責めきれるのでしょうか?父親の役割は勿論のこと、マウスの実験で得られたように、胎児の頃からの愛情の注がれ方がその人の育ちに関わりをもっていることは明らかです。

やはり保健所・児童相談所・精神科が連携を取り、出産前からカウンセリングを実施するべきです。

精神科のカウンセリングを受けたことがない方も多いと思います。多少の当たり外れがあるかもしれませんが、きちんとした学校で教育を受け、臨床心理士、公認心理士の資格を持っているとか、きちんと教育を受けている精神科医院では、深層心理まで湧き出てくることもあります。

そういうところからアドバイスを受けたりすると、日頃から些細なことに注意したり、試してみたりすることができます。

あなたは、朝学校へ行ったり、会社へ出かける前にバタバタして出発していませんか?人間には体内でリズムを刻めるようになっています。これをルーティンと呼んでいます。

朝から歯磨いて、服着替えて、ご飯食べて出発の合間に、例えば、新聞に目を通して1つは話題を持って出かける。また10分だけ読書をする。鏡を眺めて今日の自分の笑顔はどうか確認して今日のテーマを必ず1ついう(誓う)等、日常生活に少しだけでいいのです。余裕を持つと人間変わりますよ。

因みにわたくしは、朝新聞をネット上で切り抜いて8つのブログに分けてから仕事に入ります。

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