大切な人を失った時の心の変化と向き合い方
大好きな人を失うのは、相手の年令関係なくやはり悲しいものですよね。
今日はかかりつけナースカウンセラーという、医療の知識と経験×心のカウンセリングを専門にしている私が、大切な祖母を失っての心の変化とどう向き合ってきたのかを含め、お伝えしますね。
1.「男の子に生まれたかった」腐りそうな幼少期
私は親戚がとても多い環境で育ちました。いとこだけでも16人。親族で集まると30人以上の大所帯でした。とはいえ、実はとてもとても男尊女卑がハッキリもしていたのです。
例えば同じようなケガをしても、男の子はとても心配されて病院にもすぐに連れて行ってもらえる。女の子である私は、病院どころか見向きもされない・・・なんてこともよくありました。
親族で集まれば、女性は台所でお料理したり片づけばかり。男性はお酒を飲んで大さわぎで片付けるなんて素振りさえない。子ども心にその世界は異様にみえていました。
だからこそ「男の子に生まれたかった・・・!」そう強く思ったことも何度も何度もあったんです。
2.それでも腐らなかった理由
父方の祖母は東北地方に住み、幼少期より部活動の合宿などがない限り、子どもが生まれてからも毎年会いに行っていました。
小さな頃から祖母と近所の商店に行くと、「東京さから孫がかえってきたんだべ~。めんこいやろ~」と、頬をゆるませながら嬉しそうに話す祖母。
そんな何気ない言葉と表情に、小さな私はとても救われていたのです。
男の子だから、女の子だからとか性別や年齢関係なく、無条件で愛してくれてた祖母がいた。
これが私が性根が腐らず、男性を恨むことなく(多少はあったけどw)生きてこれた大きな心の土台なのでした。
3.大切な人を失う時の心の流れ
大切な人を失うかもしれないと感じたり、失うという体験は、心に大きな負担があるものです。
私がいま平穏となり笑顔でいられるのは、この流れと心のケアをしてきたからです。まずはこの流れと心のケアを知ることからしてみませんか?
それでは、実際どういう心の流れだったのかというと・・・。
驚き、悲しみ:入院と危篤の連絡
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心身の疲労感:東京から東方地方への移動準備、仕事と学校の調整、日常
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予期悲嘆:もう会えなくなるのだと、アイロンをかけながら溢れてくる涙
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否定と願い:まだ大丈夫に違いない、持ち直すかもしれないという想い
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後悔:生きているうちになぜ病院に行かなかったのか?
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事実に直面しての喪失感、深い悲しみ:亡くなった祖母との対面
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受け入れ:一連の葬儀と弔辞を読む、写真の整理で少しずつ受け入れる
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日常へ:帰宅後、数日は気力がなくなり動けなかった。心も体も休んだことで回復
おおよそこのような心の動きでした。日常に至るまでには非常に個人差があります。右肩上がりにスムーズにいかないことも多々あるものです。
そして大切な人を失い、そのまま生きづらさや気力を失う=うつ状態になるケースでは、このプロセスのどこかに問題が生じたりしています。
さらに無理やりポジティブになろうとするのは危険な行為。これはご自身でご自身を否定しているのと同じ状態になるからです。
4.大切な人を失うという宣告や失った時に必要なこと
一番大切なことは、わいてくる感情とそれに付随する行動を否定しないことです。
・悲しい、驚き、後悔、淋しい、辛い
・涙が出る、ご飯が食べられない、眠れない、気力が出ない
こういった感情や付随する行動は、ごくごく自然な心の反応です(自律神経に影響を受けています)。
ところが大切な人を失うかもしれない、失ったという場合でも、事務的な手続きに加えて日常はこれまで同様にやってきます。仕事・家庭のこと・子どものことなど、心の状態に関わらずやってきてしまうのです。
そんな時に周りに心配をかけまいと、「何とかやらなければ!」と自分に喝を入れて動きすぎてしまうと心がオーバーヒート状態になります。
結果、プツン・・・・と糸が切れたかのようになる=うつ状態になってしまうのですね。
だからこそ、わいてくる感情とそれに付随する行動を否定しないことがとても大切です。人は感情を否定されることが苦しみに変わります。
まずはあなた自身が、あなたの感情とそれに付随する行動を「そう感じるよね」と受け止めることが大切なのです。
私自身も、溢れてくる涙は止めませんでした。一連の葬儀の中でも「しっかりしなくちゃ!」とはならず、気持ちを大切に祖母とのお別れをできたことが、現実を受け入れていく大きなキッカケだったと思っています。
5.もう一度笑える日は来る
大切な人を失うかもしれない、失ったあとは心の底から大笑いする日はもう来ないんじゃないか。こんな時に笑っていいのか?と疑問に思うこともあるかもしれません。
それでも、もう一度心の底から笑える日はきます。
笑っていいし、幸せになっていい。
もし日常が全く機能しないほど心が苦しい、何をしていても涙があふれてしまう。生きる気力を失ってしまった・・・という場合は、心の専門家を頼ってみるのはどうでしょうか。
第三者に話すことで、心のなかで止まった時間が少しずつゆっくり動き出していきます。また気持ちの整理もできるので、「○○しておけばよかった・・・!」という気持ちも薄れていきますからね。
大切で大好きな祖母を失い、正直、感情に飲み込まれそうになりました。
それでもやはり、心の流れとケアを知っていたこと・対処できたことで、感情に流され過ぎにスムーズに心が回復できたのでした。
心のケアは自覚する以上にとても大切なこと。
あなた自身がご自分の感情やそれに付随する行動を否定しないことで、あなたのペースで心が回復に向かっていきます。
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