マガジンのカバー画像

未来人の常識~成功者が語った誰もが豊かになる日常の過ごし方~

9
実在の成功者たちをひとりの人格イメージにまとめ、その教えを物語にして綴ります。豊かな世界を生きる未来の人々はみんな普通にこういう考え方をして生きている。未来からの教えをこの現代に。
運営しているクリエイター

記事一覧

教え:土足で踏み荒らせ(1)

教え:土足で踏み荒らせ(1)

(実在の成功者達をモデルにし、ひとりの人物「先生」として描く小説です)

 神力満(しんりきみちる)。
 本名だというからすごい。

 何だかよくわからないけど「陰陽師」の組織を持っていて主にリッチな方々をお相手に「目に見えない世界のお仕事」をしているそうだ。
 真っ赤なコートに真っ赤なエナメルのパンプスを履いているその服装からは、とてもそういうスピリチュアルな?仕事をしている人には見えない。
 

もっとみる
それで、0点(5)~いらない縁~

それで、0点(5)~いらない縁~

(実在の成功者達をモデルにし、ひとりの人物「先生」として描く小説です)

 3日経っても田中君からは何の連絡もなく、逆に智子からは「あんた本当にバカだね!だから言ったじゃん」といった感じのメッセージが何通も来ていた。それに返信するのももう面倒で放置していた。
 私がメッセージを読んだことが相手にわかる機能って、こういう時は特にいらないと思ってしまう。でも、これだけスルーしていたら、既読したことが通

もっとみる
それで、0点(4)

それで、0点(4)

(実在の成功者達をモデルにし、ひとりの人物「先生」として描く小説です)

 仕事が終わって友達と夕食を済ませてから、田中君は21時過ぎにうちへやって来た。それで、私と食事する気分じゃなかったんだなと思った。
 ちょうどいい。私も、もやもやしたまま食事を作り、一緒に食べる景色は想像できなかった。

 田中君専用のマグカップにコーヒーをいれて「はい」と渡すと、彼は少しかたい表情で受け取った。

「あ、

もっとみる
それで、0点(3)

それで、0点(3)

(実在の成功者達をモデルにし、ひとりの人物「先生」として描く小説です)

 それは、先生のお店で高橋さんに買ってもらったピンクのコートを着て出かけた日のことだった。

「うわ、年甲斐もなく、なにその服」

 待ち合わせのカフェに入った私の姿を見つけるや、智子はそう言った。

「はやく脱いでよ、一緒にいるのが恥ずかしい!」

「え、そんなに?」

 正直に言うと、私も人目が気になっていた。

 ミニ

もっとみる
それで、0点(2)

それで、0点(2)

(実在の成功者達をモデルにし、ひとりの人物「先生」として描く小説です)

 ピカピカに磨き上げられた白い大理石の床。
 猫足の上品なシャンパンピンクの3人がけソファ。座った足元にはホコリひとつからんでいない毛足の長いふわふわのラグ。
 小さく繊細な泡を立ち上らせたシャンパンが、目の前のガラスのテーブルに置かれている。緊張とともにそのグラスを口元に運んだ。

 すきっとした味わいの中に優しい甘みを少

もっとみる
それで、0点 (1)

それで、0点 (1)

(実在の成功者達をモデルにし、ひとりの人物「先生」として描く小説です)

「御厨さんって、おじさんだよね」

 渋谷のとあるお店でうな重を一緒にいただいている時、先生は唐突にそう言った。

 いや、唐突に感じたのは私の方であって、先生からしたら自然な流れだったのだと思う。ずっと思っていたことが言葉になるようなことが起きた(私がやった)に違いない。

「え、私、おじさんですかっ?」

「御厨さんに限

もっとみる
成功者の好むものを好むべし:マニキュアを塗る

成功者の好むものを好むべし:マニキュアを塗る

(実在の成功者モデルたちをひとりの人物「先生」として描く小説です)

 コートダジュールの海を見下ろせるヴィラの一階のテラスに出てマニキュアを塗っていると、向こうから足音が近づいて来た。

「なにしてんの?」

 ライトブルーのジャケットに白とブルーのストライプのネクタイを合わせた高橋さんが、中身がいっぱいに詰まったショッピングバッグを両手に持ってやってきた。

「マニキュアを塗っているところです

もっとみる
成功者の好むものを好むべし:リラックマのスマホケース?!

成功者の好むものを好むべし:リラックマのスマホケース?!

(実在の成功者モデルたちをひとりの人物「先生」として描く小説です)

 先生とカフェに入って、先生のオーダーしたバナナスプリットとピーチメルバを待っている。

 何を隠そう、この時間は私にとっては試練の時。

 何が試練かと言うと、会話!

 私には先生と共有する話題がないのである。
 生きている人生の違いをひしひしと感じながら困っていると、先生の方から口を開いてくれた。

「その携帯ケースは、色

もっとみる

言い方は大事ではない。

(実在の成功者モデルたちをひとりの人物「先生」として描く小説です)

「言い方って、あるよねー」

「そうだよね、もっと丁寧に言えないのかなぁ?!」

 先生と入ったカフェの一角に腰を落ち着けると、斜め後ろの席からそんな声が聞こえて来た。私からは死角になっていて姿は見えないけれど、30代半ばの女性ふたりだと感じた。

 先生はそちらに一瞬視線をやって、フッと口元を緩ませた。
 バカにしているわけで

もっとみる