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6話 自転車で冒険

僕の名前はココロ。
今日は、友達のナオと自転車で冒険に出発。
ナオは僕の幼なじみ。
小さいときからずっと一緒に遊んでいて
もう、兄弟みたいな関係だ。
僕たちの自転車の冒険は
いつも、目的地を決めない。
なぜなら行ったことがない場所へ
いつも向かっていくから。
道さえあればガタガタの砂利道や
草だらけの山道もガンガン進む。
今日は、学校の裏にある山道へ向かった。
山に入る道は石畳できれいにしてあった
少し入ると木漏れ日がスポットライト
みたいに小さな花たちを照らしている
昼間なのに少し薄暗く、
空気もなんだか少し冷たい感じ。
風が吹いては木々たちが葉っぱを揺らし
いつもと違う音楽を奏でる。
なんか異世界に向かうトンネルみたい。
この山道は村の子供たちは
不気味で近寄らないらしい。
でも、ナオと僕の二人は顔を見合わせて
目を輝かせて…笑った。
僕たちは怖いという気持ちより
ワクワクとドキドキでいっぱいだった。
僕たちは焦る気持ちを抑えて
一気に自転車で駆け上っていった。
長く暗い道を抜けると、
そこは今までがウソだったかのように
太陽が降り注ぎ、
両脇にキレイなモミジのきが並び
真ん中に先が見えないくらいの
石の階段が現れた。
「うわぁ!すげぇ!」
ナオがデッカイ声で叫んだ。
「階段のテッペンまで競争だっ!」
っと僕は自転車を放り投げて
走って上った。
どこまで登っても全然テッペンが
見えてこない。
ハァハァと息を切らせながら
ついにテッペンまで到着した。
両手をヒザに置き、息を整えて
二人で前を向いたそこには
太陽のスポットライトを浴びた
大きな建物があった。
どれだけ昔からあるかわからない
ほど、古い建物だ。
「この家カッコいいなっ!」
っとナオが笑った。
「これは家じゃなくてお寺だよ。」
僕がそう言って近づくと
玄関みたいなところに
賽銭箱が置いてあった。
僕たちはお金を持っていないので
二人でパンパンと手を叩き、
お辞儀をして、
「素敵な出会いをありがとうございます」
っと心の中で伝えた。

知らない場所に行くのは
勇気のいることだと思う。
行った先に何があるかわからない。
何かあるかもしれないし、
何もないかもしれない。
でも、怖がってばかりで
一歩を踏み出さなければ
何も見えてこないし
何も出会えない。

僕たちは今日も出会いがあった。
だから、これからも知らない
場所や風景を求めて
自転車で向かっていこうと思う。

僕の名前はココロ。
この日記は未来の僕に送る手紙…。

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